銃で撃たれた患者が搬送されてきたら…何から対応すればいいのか不安になりますよね。
ABCDEは習ったけど、銃創の場合は何が違うのか分からない…そんな悩みを感じていませんか?
この記事では
- 銃創の初期対応で最優先にすべきこと
- XABCDEの考え方と実践の流れ
- 看護師が現場で見るべき観察ポイント
が分かりますよ♪
結論👉
銃創の初期対応は「安全確保」と「大量出血のコントロール」が最優先で、その後にXABCDEの順で全身評価を行うことが重要です。
この記事では、銃創患者に対する初期対応の考え方と、看護師が現場でどう判断し動くべきかをやさしく解説します😊
銃創の初期対応で最優先は安全確保と止血
銃創患者への対応では、通常の救急対応とは少し考え方が異なります。
特に重要なのは、「まず安全」「次に止血」という優先順位です。

焦って患者に近づきたくなりますが、順番を間違えると看護師自身の危険や対応の遅れにつながるため、冷静な判断が求められます。
安全確保が最優先となる理由
銃創の現場では、患者だけでなく周囲の環境にもリスクが潜んでいます。
例えば、加害者が近くにいる可能性や、爆発物などの二次被害が完全に排除されていないケースもあります。
そのため、まずは
- 周囲の安全確認(銃・刃物・不審物など)
- 自分自身の安全確保
- 必要時は安全な場所への移動
を行うことが重要です。
看護師が倒れてしまえば、患者を救うことはできません。
まずは「自分が安全か」を最優先で確認しましょう。
大量出血のコントロールが生命を左右する
銃創では、短時間で致命的になる原因の多くが「大量出血」です。
特に四肢からの出血は、数分で命に関わることもあるため、最優先で止血を行います。
具体的には以下の対応が基本になります。
- 直接圧迫による止血
- 圧迫包帯の使用
- 必要時はターニケットの使用
ここで重要なのは、「止血できているか」を必ず確認し続けることです。
一度止まったように見えても、再出血するケースは少なくありません。継続的な観察がとても大切です。
XABCDEの考え方とは
通常の救急ではABCDEアプローチが基本ですが、銃創では「XABCDE」という考え方が用いられます。

これは、ABCDEの前にX(大量出血)を優先するという意味です。
なぜなら、気道や呼吸よりも先に、大量出血で命を落とすリスクが高いためです。
つまり優先順位は以下の通りです。
- X:致死的な出血のコントロール
- A:気道
- B:呼吸
- C:循環
- D:意識
- E:全身観察
この順番を理解しておくことで、緊急時でも「何からやるべきか」が明確になります。
銃創では「止血→評価」の順番が基本と覚えておくと、現場で迷いにくくなりますよ。
銃創患者の初期評価の流れ(XABCDE)
銃創患者の対応では、優先順位を間違えないためにXABCDEの流れで評価を進めます。
ここでは「何を見るのか」「どう判断するのか」をセットで理解していきましょう。実際の現場では、この順番を頭に入れておくだけで動きやすさが大きく変わります。
X 大量出血の評価と止血方法
最初に確認するのは、命に直結する大量出血です。
以下のような出血はすぐに対応が必要です。
- 噴き出すような出血(動脈出血)
- 止まらない持続的な出血
- 衣類がすぐに血で染まる
対応としては
- 直接圧迫
- 圧迫包帯
- ターニケット(四肢の重度出血)
を状況に応じて使い分けます。
「迷ったらまず圧迫」が基本です。
止血できているかは必ず再評価しましょう。
A 気道の評価と確保
次に気道の通過性を確認します。
- 呼びかけへの反応
- いびき様呼吸(気道閉塞のサイン)
- 口腔内の血液・異物
必要に応じて吸引や気道確保を行い、窒息を防ぎます。
B 呼吸状態の評価ポイント
呼吸は「見て・聞いて・触れて」評価します。
- 呼吸数・努力呼吸の有無
- 胸郭の左右差
- SpO₂
銃創では特に
- 気胸
- 血胸
- 緊張性気胸
に注意が必要です。
呼吸音の左右差や急激な呼吸困難は、危険なサインです。
C 循環とショックの評価
循環評価では、出血性ショックを早期に見抜くことが重要です。
観察ポイントは以下です。
- 脈拍数(頻脈)
- 血圧
- 皮膚の冷感・蒼白
- 毛細血管再充満時間(CRT)
ここで覚えておきたいのは、
血圧低下は遅れて出るサインということです。
頻脈や冷感など、初期変化を見逃さないことが大切です。
D 意識レベルの評価
意識状態は脳への血流や酸素状態を反映します。
- GCSやJCSで評価
- 反応の変化
- 瞳孔の異常
急な意識低下は重症のサインとして捉えましょう。
E 全身観察と見逃し防止
最後に全身を観察し、見逃しを防ぎます。
- 背部・腋窩・臀部の確認
- 創の数と位置
- 出血の有無
銃創では、
見えている傷だけが全てではありません。
特に背中側は見逃しやすいため、必ず体位を調整して確認しましょう。

また、創の数が奇数の場合は体内に弾が残っている可能性も考えます。
看護師が行う具体的な初期対応とケア
ここからは、銃創患者に対して看護師が実際に行うケアを具体的に整理していきます。
評価だけで終わらず、「どう動くか」まで落とし込むことが現場ではとても重要です。
止血と創部管理の実際
銃創対応で最も優先されるのが止血です。
基本は直接圧迫ですが、出血の状況に応じて方法を使い分けます。
- ガーゼやタオルで強く圧迫する
- 圧迫包帯で固定する
- 止血困難な場合はターニケットを使用する
ターニケットを使用した場合は、
- 装着時間の記録
- 再出血の有無
- 末梢循環の変化
を必ず継続して観察します。
「巻いたら終わり」ではなく、その後の管理が重要です。
酸素投与と呼吸管理
銃創では呼吸状態が急変することがあります。
そのため、基本的には高流量酸素投与を行い、呼吸状態を安定させます。
- SpO₂の継続モニタリング
- 呼吸数・努力呼吸の観察
- 呼吸音の変化
呼吸状態が悪化する場合は、すぐに医師へ報告し対応を依頼します。
ルート確保と輸液・輸血管理
出血性ショックに備えて、迅速なルート確保が必要です。
- 太い静脈路(18G以上が目安)を確保
- 輸液・輸血の準備
- バイタル変化の継続評価
近年は、過剰輸液を避けるDCR(ダメージコントロール蘇生)の考え方が重要とされています。
看護師は、
- 輸液速度
- 血圧・脈拍の変化
- 出血量
をリアルタイムで評価し、チームに共有します。
保温とショック予防
外傷患者では、低体温が状態悪化の大きな要因になります。
低体温になると、
- 血液が固まりにくくなる(凝固障害)
- 出血が止まりにくくなる
という悪循環に陥ります。
そのため、
- ブランケットで保温
- 露出を最小限にする
- 必要時は加温輸液
などを行います。
「冷やさないこと」も重要な治療の一つと覚えておきましょう。

銃創患者の観察ポイントと見逃しやすいサイン
銃創患者の看護では、初期対応だけでなく、その後の観察の質が予後を大きく左右します。
特に重要なのは、「変化に気づく力」です。
状態は短時間で急変するため、継続的なアセスメントが欠かせません。
出血性ショックの早期サイン
銃創では出血性ショックが最も多く、見逃すと致命的になります。
初期に見られるサインは以下です。
- 頻脈(脈が速い)
- 皮膚冷感・蒼白
- 冷汗
- 不穏・落ち着きのなさ
ここで大切なのは、
血圧は最後まで保たれることがある
という点です。
「血圧が正常だから大丈夫」と判断せず、細かな変化を拾うことが重要です。
見た目に騙されない観察の重要性
銃創は、見た目以上に内部損傷が広がっていることが特徴です。
外出血が少なくても、体内で出血が進行しているケースがあります。
例えば、
- 腹部膨満(腹腔内出血)
- 呼吸苦(胸腔内出血・気胸)
- 意識レベル低下(脳・循環障害)
などは見逃してはいけないサインです。
「軽そうに見える=安全」ではないと常に意識しましょう。
銃創特有の観察ポイント
銃創では、受傷機転を踏まえた観察が必要です。
- 入口創と出口創の位置関係
- 創の数(奇数なら体内残弾を疑う)
- 弾道(どの臓器を通過した可能性があるか)
例えば、胸部を貫通している場合は、肺や大血管の損傷を想定します。
また、背部・腋窩・臀部などは見逃しやすいため、体位を調整して必ず確認します。
「見えていない損傷を疑う視点」がとても重要です。
継続観察と再評価のポイント
外傷患者では、一度の評価で終わりではなく、繰り返しの再評価が必要です。
観察すべき項目は以下です。
- バイタルサインの変化
- 出血量の増減
- 意識レベルの変化
- 呼吸状態の変化
状態が変化した場合は、すぐにチームで共有し、対応を見直します。
「今どうか」ではなく「どう変わっているか」を見ることが、重症化を防ぐポイントです。
銃創患者への心理的ケアと長期看護
銃創患者の看護は、急性期の救命だけで終わりではありません。
身体的ダメージに加えて、心理的なダメージが非常に大きい外傷であることが特徴です。
そのため、回復期や社会復帰までを見据えた関わりが重要になります。
疼痛と不安への対応
銃創患者は強い痛みと同時に、恐怖や不安を抱えています。
- 銃で撃たれたショック
- 命の危機に対する恐怖
- 今後への不安
など、精神的ストレスは非常に大きいです。
そのため看護師は、
- 鎮痛薬の効果と副作用の観察
- 痛みの評価(NRSなど)
- 安心できる声かけ
を行います。
「痛み」と「不安」はセットでケアすることが大切です。
PTSDとトラウマ反応への支援
銃撃という体験は、強いトラウマとなることがあります。
代表的な反応としては、
- フラッシュバック(体験の再現)
- 過覚醒(常に緊張している状態)
- 回避行動
などがあります。
看護師にできることは、
- 安心できる環境づくり
- 患者のペースを尊重する関わり
- 無理に話を聞き出さない
などです。
必要に応じて、精神科や心理職につなぐことも重要です。
リハビリと機能回復支援
銃創では、骨・神経・筋肉の損傷を伴うことが多く、機能障害が残る可能性があります。
そのため、早期からのリハビリが重要です。
- 関節拘縮の予防
- ADLの再獲得支援
- 装具の使用支援
など、多職種と連携して支援を行います。
また、
- 慢性疼痛(神経障害性疼痛)
- 幻肢痛
などの問題にも注意が必要です。
「命を救った後の生活」まで支えるのが看護です。
家族への支援も重要
銃創は突然起こるため、家族も大きなショックを受けています。
- 状況説明の補助
- 精神的サポート
- 面会時の配慮
など、家族への関わりも大切です。
患者本人だけでなく、家族も含めて支える視点を持ちましょう。
看護師が陥りやすいミスと注意点
銃創対応では、知識があっても現場で判断を誤ってしまうケースがあります。
ここでは、実際に起こりやすいミスを知り、事前に回避できるようにすることを目的に解説します。
見た目だけで判断してしまう
銃創で最も多いミスの一つが、「傷が小さい=軽症」と判断してしまうことです。
しかし実際には、弾丸のエネルギーによって体内の組織が広範囲に損傷している可能性があります。

例えば、
- 小さな入口創でも臓器損傷がある
- 出血が外に出ていないだけで内出血が進行している
といったケースは少なくありません。
「見た目より重症」を前提に行動することが重要です。
出血が少ない=軽症と考える
外出血が少ないと安心してしまいがちですが、銃創では特に危険です。
胸腔内や腹腔内など、体内で大量出血している可能性があります。
以下のような変化があれば注意が必要です。
- 頻脈
- 冷感
- 意識レベルの変化
外に出ている血だけが出血ではないと理解しておきましょう。
全身観察を省略してしまう
忙しい現場では、見えている傷だけで対応してしまうことがあります。
しかし銃創では、複数箇所に損傷がある可能性があります。
特に見逃しやすい部位は、
- 背部
- 腋窩
- 臀部
です。
体位を調整して、全身を確認することが必要です。
「見えている場所以外も必ず確認する」ことを徹底しましょう。
優先順位が崩れてしまう
焦りや不安から、対応の順番が崩れてしまうこともあります。
例えば、
- 止血より先にモニター装着に時間をかける
- 呼吸評価より創処置を優先してしまう
といったケースです。
こうしたミスを防ぐためには、
XABCDEの順番を体で覚えておくこと
が大切です。
緊急時ほど、基本に立ち返ることが安全な対応につながります。
チーム連携が遅れる
銃創は単独で対応するものではなく、チーム医療が前提です。
報告が遅れたり、情報共有が不十分だと、対応が遅れる原因になります。
看護師は、
- 状況の変化をすぐに伝える
- SBARで簡潔に報告する
など、チームの一員としての役割が求められます。
「一人で抱え込まない」ことも重要なスキルです。
✅まとめ|この記事で学べる銃創初期対応の看護
この記事での再重要部位👉
- 銃創では安全確保と大量出血のコントロールが最優先
- XABCDEの順で評価し、止血を最初に行う
- 見た目に惑わされず全身状態と変化を観察する
記事のまとめ
銃創患者への対応は、通常の救急とは異なり優先順位の判断がとても重要になります。
特に、「安全確保 → 止血 → 全身評価」という流れを理解しておくことで、緊急時でも落ち着いて対応しやすくなります。
また、銃創は見た目以上に重症であることが多く、初期対応だけでなく継続的な観察やチーム連携が欠かせません。
最初は難しく感じるかもしれませんが、今回の内容を意識しておくことで、現場での判断に自信がついてきますよ😊
「何からやればいいか」が明確になるだけでも、急変対応の不安はぐっと減ります。
ぜひ今回のポイントを、日々の学習や実践に活かしてみてくださいね🩺
引用・参考
引用
- 日本外傷学会 銃創・爆傷患者診療指針
- 銃創・爆傷に関する看護師ガイドライン(オリパラ対応)
- 国立保健医療科学院(H-CRISIS)銃創・爆傷対応資料
- 厚生労働科学研究費補助金 銃創対応資料
- 外傷初期診療関連資料(救急医学)
