看護師の勤務形態の一つ「オンコール勤務」の実態を知っていますか？

「オンコール勤務って何するの？」

「手当ってどうなってるの？」

「そもそも夜勤との違いって何？」

看護師として働く上で必ず耳にする、オンコール勤務。これは、待機して呼び出しがあった際に対応する勤務形態のことを指します。具体的な勤務内容や手当のことをしっかり理解した上で、オンコール勤務に対応したいもの。それが自分にとって働きやすい環境を作るためにも第一歩です。

この記事では、以下のような内容を紹介します：
オンコール勤務の業務内容
オンコール手当の金額と支給条件
オンコール勤務のストレス解消法

プロの現場を知る看護師目線で、**「オンコール勤務のアレコレ」**を解説しています。ぜひブックマークして、オンコール勤務で困った際に役立ててくださいね。

看護師のオンコール勤務とは？ 夜勤とどう違う？

看護師の勤務形態には、通常のシフト勤務だけでなく「オンコール勤務」と呼ばれる待機型の勤務があります。これは、勤務先からの呼び出しに備えて自宅などで待機し、必要に応じて現場へ向かうスタイルですが、「夜勤との違いが分かりづらい…」と感じる方もいるのでは？ そこで、オンコール勤務の具体的な業務内容、夜勤との違い、実際の負担などを紹介します。

オンコール勤務の業務内容

オンコール勤務とは、あらかじめ指定された時間帯に自宅などで待機し、医療機関や施設からの連絡があれば速やかに出勤する勤務形態です。呼び出しがあった場合は、急変時の対応や緊急処置、看取り対応、医療機器の不具合対応などを行います。特に訪問看護や在宅医療の現場では、深夜や早朝の対応が求められることも多い傾向にあります。

夜勤との違いは…？

「夜勤」と「オンコール勤務」は、どちらも夜間帯に対応するため同様に思いますが、働き方は大きく異なるのです。まず、夜勤は勤務時間が明確に決められており、病棟や施設に常駐して業務を行います。

それに対し、オンコールは「待機」が基本。呼び出しがなければ出勤しなくてはいけません。つまり、夜勤は「常時対応」、オンコールは「必要時対応」という違いがあります。手当や労働時間のカウント方法も異なるため、混同しないように気をつけましょう。

オンコール勤務での負担はどれくらい？

オンコール勤務は、表面上は「待機」の時間ですが、精神的な負担は決して軽くありません。いつ連絡が来るか分からない緊張感の中で過ごすため、「十分にリラックスできない」という人も多いようです。

特に、頻繁な呼び出しがある職場では睡眠が断続的になることもあり、疲労が蓄積しやすい傾向に。また、家族との時間や自分の予定が制限されるなど、プライベートにも影響を及ぼすかもしれません。

オンコール中は外出できる？

オンコール中に外出できるかどうかは、勤務先の方針や業務内容によって変わってきます。たとえば、急な呼び出しに即対応できることが前提なら、自宅や施設から30分以内に到着できる範囲での外出に限られるケースが多いでしょう。

また、移動手段や連絡の取りやすさも考慮されて、車移動が必須の職場もあります。外出自体は禁止されていない場合も多いですが、実際には「呼ばれるかも」という不安から控える人も…。

オンコール手当の金額と支給条件のリアル

オンコール勤務では、通常業務とは異なる負担や制約があるため、専用の「オンコール手当」が支給されるのが一般的です。しかし、支給の有無や金額、条件は職場によって大きく異なります。

なかには待機中の手当しか出ないケースや、実際に出勤したときだけ支給される職場もあるでしょう。ここでは、オンコール手当の種類や支給条件の違い、そして平均的な金額相場について解説していきます。

待機手当と出勤手当の違いを確認しよう

オンコール手当には、大きく分けて「待機手当」と「出勤手当」の2種類があります。まず、「待機手当」とは、自宅などで呼び出しに備えて待機している時間に対して支払われるもの。一方、実際に呼び出されて現場で業務を行った場合に支給されるのが「出勤手当」です。

待機だけで終わる日もあれば、深夜に出勤して対応する日もあるため、手当の総額はその日の状況によって大きく変わります。どちらが支給されるかは職場ごとに異なるので、しっかり確認することが大切です。

オンコール手当の平均金額【一覧表】

オンコール勤務に対する手当は、勤務先や地域、対応内容によって大きく異なります。以下の表は、主に訪問看護ステーションにおけるオンコール手当の相場をまとめたものです。

待機手当の相場（1回あたり）

※出典：日本看護協会「2014年 訪問看護実態調査報告書」

また、一般社団法人 全国訪問看護事業協会の調査による、待機手当の金額帯の分布は以下の表をチェック！

※出典：一般社団法人 全国訪問看護事業協会「平成27年度 全国訪問看護事業協会研究事業 訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業 報告書」

オンコール手当は残業扱いになる？

オンコール勤務中に支払われる待機手当は、基本的に「労働時間」とはみなされないことが多く、自宅などで待機している間は労務提供がないため、残業扱いにはなりません。

一方で、呼び出しを受けて実際に現場で業務を行った時間については、当然ながら労働が発生しており、時間外労働としてカウントされます。

つまり、待機中は労働時間に含めず、出勤してからの時間のみを残業とみなす運用が多くの職場で採用されていますが、詳細は職場ごとの就業規則によって異なる場合があります。

職場によって、オンコール手当は異なる！

オンコール手当の金額や呼び出しの頻度、対応内容は、勤務先の種類によって違いがあります。たとえば、病院と訪問看護では必要とされるスキルや緊急度が異なり、それに伴って手当や勤務の負担感にも差が出ます。

また、老人ホームやクリニックなど、夜間の対応頻度が少ない施設では、オンコール自体が形式的なものにとどまる場合もあります。では、職場ごとの違いや傾向を確認していきましょう。

病院と訪問介護で手当や対応内容はどう変わる？

病院と訪問介護では、オンコール勤務の実態が異なります。病院では、夜間帯に当直医や常駐スタッフがいることも多く、看護師の呼び出し頻度は比較的少ない傾向があります。

一方、訪問看護では、夜間や早朝の緊急訪問に対応することが前提となっており、呼び出しが日常的に発生する場合も。そのため、訪問看護のほうが出勤手当の金額が高めに設定されていることがありますが、精神的・体力的な負担も大きくなります。

老人ホーム・クリニックのオンコール事情

老人ホームやクリニックの場合は、オンコール体制があっても、実際の呼び出し件数は比較的少ない傾向。特に夜間の医療行為が限定的な施設では、オンコールは形式的に組まれているだけで、実際に出勤するケースは「まれ」というケースも。

しかし、急変時の対応や看取りが想定される施設では、緊急出勤の可能性もゼロではありません。また、クリニックにおいては一次対応を医師が担うケースもあり、看護師の負担が相対的に軽くなることもあるようです。実際の運用は施設ごとに異なるため、事前確認が欠かせません。

オンコール手当が高めの職場とは？

オンコール手当が高めに設定されている職場には、いくつか共通する特徴があります。たとえば、呼び出しの頻度が高く、対応に専門的な判断や緊急性が求められる訪問看護ステーションでは、負担の大きさに見合った手当が支給されることも！

さらに、人手不足が深刻な地方の医療機関や、夜間の緊急対応が多い急性期病院でも、手当額が比較的高めに設定されているケースもあります。

オンコール勤務がない職場はある？

看護師の職場すべてにオンコール勤務があるわけではありません。たとえば、日中のみ診療を行う外来クリニックや、美容皮膚科・健診センターなどでは、夜間や休日の緊急対応が発生しないため、オンコール体制をそもそも設けていない場合もあります。

規模の大きな病院でも夜間は専任スタッフが常駐しているため、部署によってはオンコール勤務が必要ないことも。いずれにせよ、オンコールの有無は働き方に大きく影響するので、職場選びの際には事前に確認しておきましょう。

オンコール勤務のストレス、どう対処する？

オンコール勤務は、実際に出勤する時間が少なくても呼び出しの不安や緊張感から、精神的なストレスを感じやすくなります。特に夜間や休日の待機が続くと、心身の疲れが積み重なりやすく、生活のリズムが乱れることも…。

今回は、オンコール特有のストレスを少しでも軽減するための工夫や、プライベートとの両立方法、リラックスのコツについて紹介します。

「いつ呼ばれるか分からなくてきつい…」精神的負担を軽減する方法

オンコール中の「いつ呼ばれるか分からない」という緊張感は、想像以上に心に負担がかかります。そんなときは、気を張りすぎず、呼び出しがない時間をうまく使ってリラックスしましょう。

たとえば、好きな音楽を流しながら温かいお茶を飲む、軽いストレッチをする、アロマを焚くなど、自宅でもできるリフレッシュが心を支えてくれます。また、万一の呼び出しに備えて必要な持ち物を準備しておくと安心！

プライベートとの両立はどう工夫する？

オンコール勤務があると、予定が立てにくくなったり、家族や友人との時間に気を使ったりするはず。そんな中でも上手に両立していくためには、「できる範囲で楽しむ」という気持ちでいること。

たとえば、外出は職場から近いエリアに絞る、誰かと会うときは事前にオンコール中であることを伝えておくなど、気持ちを切り替えやすい環境を作ることがおすすめ。できる範囲で少しずつ自分にとってやりやすい環境を作っていきましょう。

オンコール疲れの時こそ実践したい、リラックス術

オンコール勤務が続くと、緊張の積み重ねや断続的な睡眠により、心も体も知らず知らずのうちに疲れが溜まっていきます。そんなときは、意識して“何もしない時間”を作ってみましょう。

好きな香りの入浴剤でゆっくりお風呂に浸かる、スマホを手放して深呼吸をする、目を閉じて音楽に耳を傾ける、こうしたシンプルな行動が張り詰めた心を癒やしてくれます。それが仕事を頑張る活力にも！

まとめ｜オンコール手当と負担のバランスが良い職場を選ぼう

オンコール勤務は、看護師として避けて通れない現場も多い一方で、精神的・肉体的な負担を感じやすい働き方でもあります。手当が支給されるとはいえ、その金額や条件は職場によってさまざまで、業務内容とのバランスが取れていないと感じるケースも少なくないでしょう。

だからこそ、自分に合った働き方を選ぶことが大切！ オンコールの頻度や手当の有無、呼び出し時の対応体制など、気になる点は求人票や面接でしっかり確認して見極めましょう。