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40代から保育士へ、一般企業出身者が考える職場選びのポイント

「しごと・レトリバー」は、現場で働く方のリアルな声をそのまま丁寧にお届けするメディアです。
今回お話を伺ったのは、yasagurechieさん。
大学卒業後に一般企業で事務職として働き、子育てと家族の事情を経て保育士国家試験に挑戦。
配置基準ギリギリの“ブラック園”での奮闘を経験したのち、より働きやすい環境へと転じ、現在も保育の現場で子どもたちと向き合い続けています。
ブログでは、等身大の日々や職場のリアルを飾らずに綴る文章が多くの共感を集めています。

本記事では、「40代から保育士になっても間に合うのか」という不安や、「求人のどこを見れば“働きやすさ”が分かるのか」という実務的な悩みに寄り添いながら、yasagurechieさんの経験をもとに、年齢や経歴にとらわれない職場選びの勘所を丁寧に紐解いていきます。
単なる成功談ではなく、迷いや試行錯誤を含めた“生活者の目線”で語られる内容は、これから現場に入る方にも、いまの職場に違和感を抱えている方にも、確かなヒントになるはずです。

1.保育士になろうと思ったきっかけ

しごレト編集部:まずは、「保育士を目指そう」と思ったきっかけを教えていただけますか?

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yasagurechie さん:
大学卒業後、何度か転職をしながらいずれも事務職で10年以上働いてきました。第一子の育休中に会社が倒産、3年後に第二子も産まれ家事育児に追われる中で子育て経験が生かせそうな仕事で社会復帰しようと保育士資格の取得を目指しました。元々子供が大好き!…だったわけではありません(汗)。夫が転勤族のためどこでも働けるよう手に職を付けたかったこと、自分自身がまた何かに挑戦したいという気持ちが原動力でした。

しごレト編集部:「子どもが好きだから」というより、「生きるための挑戦」がきっかけなんですね。とてもリアルで勇気が出るお話です。というわたしも同じタイプです(笑)でもやってみれば「天職かも⁉」とか思っちゃうんですよね。

2.〇〇歳からの新人保育士、需要はある?

しごレト編集部:40代で保育士としてスタートされたとのことですが、「年齢的に需要はあるのかな?」と不安に思う人も多いと思います。実際はいかがでしたか?

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yasagurechie さん:
私は40歳で保育士として働き始めましたが、深刻な人手不足が続いていることもあり、未経験の中高年でもウェルカムな印象を受けました。子育て支援員の資格はもちろん、無資格でも保育経験があるとか、子育て経験があることは有利に働くと思います。特に子育て中の保育士さんが働きづらい早朝や夕方以降の求人は引く手数多です。子供の数も少ない時間帯なので体力に不安のある方、ゆっくり慣れたい方にも良いかと思います。

しごレト編集部:「未経験でも中高年でも大丈夫」というのは心強いですね。むしろ子育て経験が強みになるというのは意外です。

3.求人の探し方

しごレト編集部:求人探しはどのようにされたのでしょうか?

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yasagurechie さん:
派遣のように紹介会社を通すか、求人サイトや園のホームページから直接応募するかの2パターンありますが、個人的には直接応募をおすすめします。紹介会社を通せば入社前に園の雰囲気が分かったり待遇等聞きづらいことを確認してもらえるメリットはありますが、就業が決まれば園側に紹介手数料の負担が発生します(求職者は負担なし)。その分採用ハードルが上がるため未経験の方にはあまり向かない方法ではないかと思います。
私の場合は当時2歳だった下の子が自宅保育だったため、上の子が通っていた幼稚園の近くにある企業主導型保育園に問い合わせて同僚の先生に見てもらいつつ同じ園で働くという形での保育士デビューでした。

しごレト編集部:「直接応募」にはそういう利点があるんですね。紹介会社一択だと思っていた方にとっては新しい視点になりそうです。

4.入職してまず任された仕事

しごレト編集部:初めての勤務では、どんな仕事から始められたのですか?

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yasagurechie さん:
子供を安全に見守ることからでした。ただボーっと見ているのではなく子供と関わりながらも転倒や衝突、引っ掻き噛みつきが起きないようクラス全体に目を配ること、そして喧嘩が起これば手が出る前に間に入ることなど少し先を予測しながら見ていくことを教えられました。新人がいきなりメインで保育を回すことはありません。掃除や活動の準備片付け、オムツ替え、寝かしつけ等から始めてリーダーの先生がスムーズに保育を進められるようサブの役割を担っていく形で習得していきました。

しごレト編集部:最初は“安全第一”からのスタートなんですね。段階的に慣れていけるのは安心です。

5. 職場でうまく立ち回るコツ

しごレト編集部:初めて保育の世界に飛び込んで、職場でうまく立ち回るために意識したことはありますか?

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yasagurechie さん:
保育園は女性が多く、協力し合う場面が多いため人間関係がこじれるとやり辛くなります。中高年でこの世界に入ると上司や先輩が年下というケースも珍しくありません。年齢は下でも保育においては先輩なので敬って教えを請う姿勢が求められます。
また、保育業界は一般企業出身者から見ると結構独特な世界です。ムダと思えること、変えた方が良いと感じること。色々出てくると思いますが、否定する前に一人前になることを目指した方が敵を作らずに済みます。素直に話を聞いて努力を続けられれば、年齢に関係なく受け入れられますし、その時こそ異業種経験者ならではの「こうした方が良いのでは?」の気付きが価値を持つと思います。

しごレト編集部:なるほど…!年齢よりも「素直さ」と「学ぶ姿勢」が大切なんですね。異業種経験も、時を選べば大きな強みになる。とても心強い言葉です。

6. 転職で、最も大変だったこと

しごレト編集部:まず最初に伺いたいのは、一般企業から保育園へ転職されたときのことです。環境も仕事の内容も大きく変わったと思いますが、特に大変だったこと、そしてどのように乗り越えてこられたのかを教えてください。

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yasagurechie さん:
色々ありますが個人的には「子供をまとめること」に一番苦労しました。子供は大人と違って興味を引かれなければ話を聞きません。てんでバラバラに騒ぎ始めて収拾がつかなくなります。それでも活動前のお約束や説明を聞いてくれなければ保育には入れません。迫る時間や先輩保育士の目も気になり焦りました(笑)。日々の関わりの中で信頼関係を築きながら、手遊びやピアノ、簡単な手品等で引き付ける技を試行錯誤しましたが、失敗を怖がらず場数を踏むことで段々慣れていきました。

しごレト編集部:子どもとの関わりは本当に一筋縄ではいかないですね。「場数を踏む」という言葉に、現場でしか得られないリアルさを感じます。

7. 保育観

しごレト編集部:現段階での保育観や、子どもたちとの関わりで大切にしていることは何でしょうか?前職との違いもあれば教えてください。

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yasagurechie さん:
一斉保育の中でも可能な限り一人一人の個性を大切にしながら関わりたいと思います。自分自身が大人しく目立たない子供だったので、園でも学校でも大して褒められないその他大勢として過ごしてきました。目立たない子、逆にちょっとはみ出しがちな子にもここにいて良いんだ、見てくれている人がいるんだと言う安心感を与え、良いところを伝えていける保育士でありたいです。

しごレト編集部:自分の子ども時代の経験が保育観に直結しているのが素敵です。「ここにいていいんだ」と思わせてくれる先生って本当に大事ですね。

8. ブラック園の特徴

しごレト編集部:以前勤めた園を「ブラック」と感じた具体的な特徴を教えてください。

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yasagurechie さん:
まず保育士はただ子供と遊んでいれば良いと思われがちですが、実際は指導計画や児童票作成の事務仕事、壁面等の制作、保護者対応、行事準備、環境整備など仕事内容は多岐に渡ります。相手が子供なので想定通りに事が運ぶとも限りませんし、女性の多い職場で忙しいとなると人間関係もギスギスしがちです。
以前働いていた園は子供の数に対して職員数が配置基準ギリギリしかおらず、子供をケガさせないだけでいっぱいいっぱいの状態でした。特性のある子が複数いましたが、なぜか加配の先生は付かずそこでさらに職員の手が取られました。それでも園長(運営会社)や保護者からは「保育の質」が求められるため、残業や仕事の持ち帰りで対応し皆疲弊しきっていました。
正職もパートも休憩は取れないのが普通でしたが時給は45分分しっかり引かれました。何度か訴えたことはありますが何も改善されませんでした。万年人手不足の園は人が居着かない理由があり、それだけでブラックの可能性大です。

しごレト編集部:読んでいるだけで過酷さが伝わります…。休憩すら取れないのに「質」を求められるのは、本当に現場の負担が大きいですね。

9. 退職の進め方

しごレト編集部:その園を辞めることを決めた時、どのように退職の話を進めましたか?また難しかった点はありましたか?

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yasagurechie さん:
先に転職活動をし、内定を得てから話をしました。ただ、年度ごとの有期雇用契約だったこと、現場の人手不足もあり期間満了前の退職に難色を示されました。何度か面談を重ねようやく辞めることができました。

しごレト編集部:内定を確保してからの退職交渉は現実的ですね。それでも難色を示されるところに、人手不足の深刻さが見えます。

10. 転職後の職場選びへの影響

しごレト編集部:前の経験が、その後の職場選びにどのように影響を与えましたか?

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yasagurechie さん:
人員配置に余裕のある園、パートなので正職と非正規の仕事と責任範囲がしっかり分かれている園にこだわりました。前の園がそうでしたが人手不足の園は時給の安い非正規にも見境なく責任の重い担任業務をやらせたり、時間内で終わらない仕事を任せたりするのでそれは避けたいと思いました。

しごレト編集部:「人手不足=ブラックのサイン」という実体験からの基準ですね。働き方を守るために、見極めポイントをしっかり持つことの大切さが伝わります。

11. ホワイト園の見極め方

しごレト編集部:Yasagurechie さんが考える「ホワイト園の見極めポイント」を教えてください。

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yasagurechie さん:
人員配置に余裕があるかどうかです。見学や面接でクラス毎の園児数、職員数を確認すると見えてきます。1人あたりの仕事量や保育の質に関わってくる重要なポイントだと思います。後はちゃんと毎日休憩(保育から離れられる時間)が取れているか、有給の取得状況について明言できず濁すようなところは危ないです。保育業界は休憩がないのが当たり前みたいな風潮もありますが法令違反にあたります。職員のことを考え、全員がちゃんと取れる体制を整えている園はあります。
非正規に限っての話なら求人票なら仕事内容にしっかりと「正規職員の補助」と書いてあるかどうかですね。そして面接の時に改めて仕事内容を確認、契約書に記載してもらうことです。

しごレト編集部:面接や求人票で「見るべきポイント」がとても具体的で参考になりますね。大切な情報を濁す所は危ない…これは転職を考えている方にとって大きな指針になりそうです。

12. 仕事と家庭の両立

しごレト編集部:子育て・家庭との両立を考慮しながら、どのように時間を調整してきましたか?

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yasagurechie さん:
子供の送迎や夕飯作りが大変などそこは一般企業で働くママさんの苦労とあまり変わらないと思います。運動会等の行事が被った時は我が子を優先させてもらっています。

しごレト編集部:保育士でも一般企業のワーママと同じような悩みがあるんですね。「我が子を優先する」という選択肢を持てる環境はママにとってはマストな条件ですよね。

13. 転職を決断した理由

しごレト編集部:仕事と家庭の両立の調整の中で、「やっぱり転職したほうがいい」と思ったきっかけはありましたか?

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yasagurechie さん:
パートで担任をやっていた時は業務時間内では児童票(子供1人ずつ1ヶ月の状況と次月の目標を記す公的書類)を書ききれず土日に作成していました。給料も出ないのに家族と過ごす時間を犠牲にしてバカみたいだなと転職を考えました。

しごレト編集部:「家族との時間を犠牲にしてまで…」という気持ち、とても共感できます。やはり働き方を見直す大きな転機になりますね。

14. 転職先で重視した条件

しごレト編集部:転職先を選ぶ際に特に重視した条件は何でしたか?

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yasagurechie さん:
保育士に限ったことではありませんが子育てしながらのパートなので、なるべく自宅近くの園であること、働ける時間(8時半〜16時半)の求人であることは必須でした。子供の数に対して職員数が多く負担の軽い園であることも重視しました。長く働き続けるためになるべく自分自身や家族に負担にならない働き方ができる職場を選びました。時給はどこも大して変わらず安いですが、中には最低賃金で書類、リーダー、行事担当、担任ありなんて図々しい求人もあります。永遠に募集してろ!と思います(笑)

しごレト編集部:(笑)ブラック求人のリアルな実態ですね。でも「家族や自分に無理のない働き方」を優先する姿勢は本当に大切だと思います。

15. これから保育士を目指す人へのメッセージ

しごレト編集部:最後に、これから保育士を目指す方へ「ここだけは譲れない」と伝えたいポイントを教えてください。

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yasagurechie さん:
何を求めるかによるかなと思います。園によって保育に対する考え方も様々です。今回は負担の少ない働きやすい園、その見極め方と言う観点でお伝えしました。でもそれでは物足りない、つまらないと考える方も当然いらっしゃると思います。
元職場は大規模園かつ人手不足のブラックでしたが、おばさんの私にも沢山チャンスをくれて経験値を積ませてくれた点には感謝しています。成長速度は確実に上がりました。求人倍率は依然として高く、今保育士は選べる立場にあります。ミスマッチを防ぐためにも自分が何を求めているかはっきりさせた上で就職・転職活動に臨むことをおすすめします。

しごレト編集部:「自分が何を求めるか」を明確にすることが大事なんですね。ブラックもホワイトも経験したからこその説得力があります。

最後に

Yasagurechieさんの体験談は、転職を考えている方や、40代から保育士を目指す方にも、まさに「リアルで実用的なガイド」でした。
一般企業出身ならではの視点を交えながら、ブラック園での苦しい経験と、それを糧にホワイト園を見極めた工夫が率直に語られており、同じように転職や資格取得を考える人にとって大きな道しるべになる内容だと思います。
特に印象的なのは、「年齢を理由に諦めなくていい」「自分が何を求めているかを明確にする」 という二つのメッセージです。人手不足という現状もあり、未経験の中高年でも受け入れられる余地は十分にあります。ただし、その環境が自分に合うかどうかを見極めることが、長く働き続けるための最大の鍵になると改めて教えてくれました。
記事を読んだ方の中には、「挑戦してもいいんだ」「自分の経験も強みになるんだ」と背中を押される人がきっといるはずです。
そして「ブラック園ではなくホワイト園を選ぶ目を養うこと」、これが一番のキャリア戦略であることが伝わってきました。

プロフィール

「yasagurechie」

経歴 認可保育園で働く4年目のパート保育士。
大学卒業後一般企業の事務職として11年勤務。
夫、小4息子、小1娘の4人家族。
第一子育休中に会社が倒産し6年間専業主婦を経験。
夫の専業主婦ディスりに腹を立て保育士試験受験を決意。
1年間の独学で取得する。
企業主導型保育園1年、ブラックな認可園での2年半の壮絶な勤務を経て現職。
保育園の裏側や養成校卒の「普通の」保育士に擬態しようと奮闘する日常をブログに綴る。

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