
「歩行介助って患者さんによって方法が違うけど、どうやるのが正しいんだろう?」「見守りと寄り添いの違いがいまいちわからない…」「転倒させないか不安で介助に自信が持てない」
そう悩んでいる看護師さんも多いのではないでしょうか😊
安心してください!歩行介助は基本的な手順とポイントを押さえれば、患者さんの状態に合わせて安全に実施できるんです✨
この記事では
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歩行介助の3つの基本タイプ(見守り・寄り添い・手引き)の違いと適応
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安全な歩行介助を行うための5ステップ実践法
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転倒リスクを最小限に抑えるためのアセスメントポイント
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患者さんの自立を促しながら安全を確保する声かけテクニック
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介助者自身の腰痛予防につながる正しい姿勢と立ち位置
が分かりますよ♪
実は、歩行介助で最も重要なのは「患者さんの状態に合わせた適切な介助法の選択」と「安全を確保するための5つの基本ステップ」を理解することなんです。🌟
この記事では、臨床現場ですぐに活かせる歩行介助の基本から、見守り・寄り添い・手引きの3つの介助法の具体的な実践方法、そして安全に実施するための5ステップを詳しく解説していきます。
明日の業務からすぐに使える実践的なテクニックをマスターしましょう!📝
歩行介助の基本と安全管理
患者さんの自立を支援する歩行介助は、看護技術の中でも基本的かつ重要なスキルです。
安全に実施するためには、目的を理解し、事前の準備をしっかり行うことが大切です。
ここでは歩行介助の基礎知識と安全管理のポイントをご紹介します💪
歩行介助の目的と意義
歩行介助は単に患者さんを移動させるだけの行為ではありません。
その真の目的には深い意義があるんですよ✨
歩行介助には主に次のような目的があります:
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患者さんの残存機能を活かし、自立を促進する
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廃用症候群を予防し、筋力や関節可動域を維持・向上させる
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循環器系や呼吸器系の機能改善を図る
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患者さんの自信回復とQOL向上をサポートする
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転倒・転落のリスクを軽減し、安全を確保する
これらの目的を理解することで、ただ支えるだけでなく、患者さんの回復過程に寄り添った介助が可能になります。
日々の看護ケアの中で、患者さんの「できること」を増やしていく喜びを感じられるはずです😊
介助前のアセスメントポイント3つ
歩行介助を始める前に、必ず確認しておきたい3つのポイントがあります。
これをしっかりチェックすることで、安全で効果的な介助が可能になりますよ🔍
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患者の身体状況:
バイタルサイン、筋力、関節可動域、バランス能力、既往歴(特に整形外科的疾患)、感覚障害の有無をチェックしましょう。 -
認知・精神状態:
指示理解力、注意力、不安の程度、モチベーション、協力性を評価します。認知症がある場合は特に注意が必要です。 -
使用中の薬剤:
降圧剤、睡眠薬、抗不安薬など、ふらつきを引き起こす可能性のある薬剤の使用状況を確認しましょう。
これらのアセスメントを通じて、患者さんに最適な介助方法(見守り・寄り添い・手引き)を選択することができます。
「この患者さんにはどの介助法が適切かな?」と迷ったときは、まずこの3つのポイントに立ち返ってみてください。
転倒リスクの評価方法
転倒予防は歩行介助の重要な目的の一つです。
科学的な評価スケールを活用して、客観的にリスクを把握しましょう。📊
評価項目 | 低リスク | 中リスク | 高リスク |
---|---|---|---|
年齢 | 64歳以下 | 65〜79歳 | 80歳以上 |
転倒歴 | なし | 6ヶ月以上前にあり | 6ヶ月以内にあり |
感覚障害 | なし | 軽度 | 重度 |
薬剤使用 | リスク薬なし | リスク薬1〜2種類 | リスク薬3種類以上 |
歩行状態 | 安定 | やや不安定 | 著しく不安定 |
認知機能 | 正常 | 軽度低下 | 中等度以上の低下 |
高リスク項目が2つ以上ある場合は、特に注意が必要です。
評価結果に基づいて介助方法を選択し、必要に応じて複数の介助者で対応することも検討しましょう。
日々の観察を通じて、リスク評価を定期的に更新することも大切ですよ。




画像は日本医師会のアセスメントスケール
環境整備と安全確保のチェックリスト
歩行介助の安全性は、環境整備から始まります。
患者さんが安心して歩行できる環境を整えましょう。🏠
✅ 歩行経路の確認
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床は濡れていないか、滑りやすくないか
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障害物(コード類、小さな備品など)はないか
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十分な明るさが確保されているか
✅ 患者の準備
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適切な履物(サイズ、滑り止め)を着用しているか
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動きやすい服装か、裾が長すぎないか
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必要な補助具(杖、歩行器など)は準備されているか
✅ 緊急時の準備
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緊急コールの位置を確認しているか
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休憩できる場所(椅子など)は確保されているか
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転倒時の対応方法を頭に入れているか
これらのチェックポイントを習慣化することで、「あ、あそこにコードが…」といった事故を未然に防ぐことができます。
患者さんの安全を守るためには、こうした細やかな配慮が欠かせませんね。
介助者の正しい姿勢と立ち位置
適切な姿勢と立ち位置は、患者さんの安全確保だけでなく、介助者自身の腰痛予防にも重要です。
基本を押さえて、お互いに負担の少ない介助を心がけましょう。🧍♀️
基本姿勢のポイント:
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足を肩幅に開き、安定した立ち位置をとる
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膝を軽く曲げ、腰を落とす(腰痛予防)
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背筋を伸ばし、患者さんに近づいて介助する
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患者さんの動きに合わせて重心を移動させる
立ち位置の基本:
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見守り介助:患者さんの斜め後方で、すぐに支えられる位置
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寄り添い介助:患者さんの麻痺側または弱い側に立つ
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手引き介助:患者さんの健側に立ち、腕を組む
「腰が痛くなりそう…」と感じたら、姿勢を見直してみてください。
正しい姿勢で介助することは、長く看護師として活躍するためにも大切なセルフケアになりますよ。
見守り・寄り添い・手引き介助の5ステップ
歩行介助を安全に行うためには、順序立てたステップを踏むことが大切です。
ここでは、見守り・寄り添い・手引きの3つの介助法について、準備から終了までの5つのステップをご紹介します。
それぞれの場面で適切な技術を選択できるようになりましょう!🚶♀️✨
【ステップ1】介助前の準備と声かけ
歩行介助の成功は、実は始める前の準備で大きく左右されます。
患者さんとの信頼関係を築きながら、安全に介助を始めるためのポイントをマスターしましょう👋
患者状態の確認と適切な介助法の選択
患者さんの状態を的確に把握することが、適切な介助法選択の第一歩です。
介助法 | 適応となる患者の状態 | 介助者の位置 |
---|---|---|
見守り介助 | ・自力歩行可能だが不安定さがある ・転倒リスクは低〜中程度 ・指示理解力が良好 |
斜め後方 |
寄り添い介助 | ・片麻痺や軽度の筋力低下がある ・軽度のバランス障害がある ・時々支えが必要 |
弱い側/麻痺側 |
手引き介助 | ・中等度のバランス障害がある ・視覚障害がある ・不安が強い |
健側 |
「この患者さんにはどの介助法が適切かな?」と迷ったら、まずは安全側に立ち、より支持性の高い介助法を選択しましょう。
状況に応じて介助法を変更することも大切です。
効果的な声かけの具体例
適切な声かけは患者さんの安心感とモチベーションを高めます。
場面に応じた声かけ例をご紹介します💬
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開始時:「今から歩行練習をしましょう。私がそばにいますので安心してくださいね」
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説明時:「最初に椅子から立ち上がって、廊下を歩いて、トイレまで行きましょう」
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励まし:「とても上手に歩けていますよ。膝の曲げ伸ばしがスムーズになってきました」
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注意喚起:「前方に少し段差がありますので、気をつけて歩きましょう」
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安全確認:「疲れていませんか?休憩が必要でしたら、いつでも言ってくださいね」
声のトーンは穏やかに、はっきりと、そして患者さんの聞こえやすい側から話しかけることを心がけましょう。
患者の心理的準備を整える方法
歩行は身体的な行為であると同時に、心理的な準備も重要です。
特に転倒経験のある患者さんは不安を抱えていることが多いものです。😌
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不安の軽減: 「私がしっかりサポートしますので、安心してください」と具体的な安全確保の方法を伝える
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目標の共有: 「今日はナースステーションまで歩いてみましょう」など、具体的で達成可能な目標を設定する
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成功体験の想起: 「昨日も上手に歩けましたね」と過去の成功体験を思い出してもらう
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選択権の提供: 「休憩したいときはいつでも教えてくださいね」と患者さんに選択肢と主体性を持ってもらう
患者さんの表情や反応を見ながら、「今日は調子がいいかな?」「不安そうかな?」と観察し、その日の状態に合わせた声かけを心がけましょう。
【ステップ2】正しい立ち上がり介助
歩行の第一歩は安全な立ち上がりから始まります。
介助法別の立ち上がり技術をマスターして、スムーズな歩行開始につなげましょう🪑➡️🚶
見守り介助での立ち上がり支援
見守り介助では、患者さん自身の力を最大限に活かしながら、安全に見守ることがポイントです。
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患者さんの前または斜め前に立ち、いつでも支えられる体勢をとる
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「お尻を椅子の前方に移動してください」と声をかける
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「両足をしっかり床につけて、前傾姿勢になってください」と促す
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「両手で椅子の肘掛けを押して、立ち上がりましょう」と指示する
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立ち上がる瞬間のふらつきに注意し、必要時にはすぐに支えられるよう準備する
患者さんの動きをよく観察し、「膝がしっかり伸びていますね」「バランスが取れていますね」など、適切なフィードバックを行いましょう。
寄り添い介助での立ち上がり方法
寄り添い介助では、患者さんの弱い側または麻痺側に立ち、適切な支持を提供します。
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患者さんの弱い側(または麻痺側)に立つ
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介助者の近い方の手で患者さんの腰部または骨盤を支え、もう一方の手で肩や上腕を支える
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「前かがみになって、お尻を浮かす準備をしましょう」と声をかける
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患者さんの動きに合わせて、腰と肩を支えながら立ち上がりを介助する
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立位になったら、バランスが安定するまで支え続ける
「ゆっくりで大丈夫ですよ」「私がしっかり支えていますから安心してください」など、安心感を与える声かけを忘れずに行いましょう。
手引き介助での安全な立ち上がり技術
手引き介助では、より積極的に患者さんを支援します。特に立ち上がりの瞬間の安定性確保が重要です。
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患者さんの健側に立ち、足を患者さんの足よりやや前に出す
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患者さんの健側の手を握るか、肘を支える
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もう一方の手で患者さんの背中や腰を支える
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「1、2、3で立ち上がりましょう」とカウントダウンする
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患者さんが前傾姿勢になったタイミングで、適切な力加減で引き上げるように介助する
「膝をしっかり伸ばしましょう」「ゆっくりで大丈夫ですよ」など、動作に合わせた声かけを行い、患者さんが安心して立ち上がれるようサポートしましょう。
【ステップ3】歩行開始時の支持と誘導
立ち上がりに成功したら、次は安全に歩き始めるための支持と誘導が重要です。
介助法ごとのポイントをおさえて、スムーズな歩行開始をサポートしましょう。👣
見守り介助での観察ポイント
見守り介助では、患者さんの安全を確保するための鋭い観察眼が必要です。
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姿勢: 背筋が伸びているか、前傾姿勢になっていないか
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バランス: 左右への傾きはないか、ふらつきはないか
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足の動き: 足の上げ方、着地の仕方は安定しているか
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表情: 不安や痛みの表情はないか
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呼吸: 息切れや呼吸の乱れはないか
「最初の一歩が大事ですね」「ゆっくり踏み出してみましょう」と声をかけながら、患者さんの斜め後ろから見守り、いつでも支援できる位置をキープしましょう。
寄り添い介助での体の支え方
寄り添い介助では、患者さんのバランスを維持しながら、適切な支持を提供します。
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患者さんの弱い側(麻痺側)に立ち、腰の高さで支える
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支持する手は患者さんの腰または骨盤に当て、もう一方の手は必要に応じて肩や上腕を支える
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患者さんと同じペースで歩き、リズムを合わせる
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支持する力は必要最小限にし、患者さんの自立を促す
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段差や方向転換時には特に注意し、必要に応じて支持を強化する
「一緒に歩きますね」「私がついていますから安心してください」と声をかけ、患者さんに安心感を与えましょう。
手引き介助での正しい腕の組み方と誘導法
手引き介助では、患者さんとの適切な腕の組み方が安全の鍵となります。
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患者さんの健側に立ち、患者さんの腕を軽く曲げてもらう
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介助者の腕を患者さんの腕の下から通し、患者さんの前腕をしっかり握る
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もう一方の手は必要に応じて患者さんの肘や背中に添える
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介助者は患者さんよりやや前に立ち、誘導する
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「右足から出しましょう」など、具体的な指示を出しながら歩き始める
「私の腕をしっかり握ってくださいね」「一緒に歩きましょう」と声をかけ、患者さんが安心して歩き始められるよう配慮しましょう。
【ステップ4】安定した歩行の維持
歩き始めたら、安定した歩行を維持することが次の課題です。
リズムの調整やバランスの維持、疲労への対応など、歩行中の重要ポイントをマスターしましょう🏃♀️
歩行リズムの調整と歩幅の確保
適切な歩行リズムと歩幅は、安全で効率的な歩行の基本です。
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リズム調整: 「右、左、右、左」とリズミカルに声をかけ、規則的な歩行を促す
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歩幅の確保: 「もう少し大きく踏み出せますよ」「小さな歩幅で大丈夫です」など、患者さんの能力に合わせた声かけを行う
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速度調整: 「ゆっくりで大丈夫ですよ」「少しペースを落としましょう」と適切な速度を維持する
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一時停止: 長距離歩行の場合は、「ここで少し休みましょうか」と適宜休憩を挟む
患者さんの呼吸や表情を観察しながら、「調子はいかがですか?」と確認し、無理のないペースを心がけましょう。
バランスを崩した際の対応法
歩行中にバランスを崩すことは珍しくありません。
素早く適切に対応できるよう準備しておきましょう🛡️
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軽度のふらつき: 言葉で注意を促す「少し右に傾いていますよ。まっすぐ立ってみましょう」
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中等度のふらつき: 支持を強化する「少し支えますね」と声をかけながら、支持する力を増す
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転倒しそうな場合:
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患者さんの近くに立ち、腰を低くする
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患者さんの体幹を支え、ゆっくりと安全な方向に誘導する
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完全に転倒する場合は、頭部を保護し、できるだけ衝撃を和らげる
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「大丈夫ですよ、しっかり支えていますから」と声をかけ、患者さんの不安を軽減することも重要です。
患者の疲労サインの見極め方
疲労のサインを早期に発見することで、転倒リスクを減らし、適切な休息を提供できます👀
観察すべき疲労サインの例:
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歩行速度の低下
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歩幅の縮小
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足の引きずり
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呼吸の乱れや息切れ
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顔色の変化(蒼白、紅潮)
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発汗の増加
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会話の減少
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表情の硬化や痛みの表情
これらのサインを見逃さないよう注意深く観察し、「少し休憩しましょうか?」「椅子に座りますか?」と適切なタイミングで休息を提案しましょう。
【ステップ5】安全な歩行終了と座位への誘導
歩行の最後は、安全に目的地に到着し、適切に座位に戻ることです。
この最終段階も丁寧に行い、歩行介助を完了させましょう。🪑
目的地到着時の安全確認
目的地に到着したら、次の動作に移る前に安全確認を行います。
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患者さんの全身状態を確認する(呼吸、顔色、疲労度など)
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「ここで少し休みましょう」と声をかけ、必要に応じて立位で小休止する
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周囲の環境を確認し、座る場所(椅子、ベッドなど)の位置を確認する
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「ここに座りますよ」と次の動作を明確に伝える
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患者さんの理解を確認してから、座位への移行を開始する
「無事に到着しましたね、お疲れさまでした」と声をかけ、達成感を共有することも大切です。
座位への移行を支援する技術
立位から座位への移行も、転倒リスクの高い動作です。安全に座れるよう支援しましょう。
見守り介助の場合:
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椅子の位置を確認してもらう
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「椅子に触れるまで後ろに下がってください」と声をかける
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「椅子の端を手で触って確認してから座りましょう」と促す
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患者さんのペースで座るのを見守る
寄り添い介助の場合:
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患者さんの弱い側から支える
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椅子に対して後ろ向きになるよう誘導する
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「椅子に触れるまでゆっくり下がりましょう」と声をかける
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腰を支えながら、ゆっくりと座るのを介助する
手引き介助の場合:
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椅子の前まで誘導し、椅子に背を向けてもらう
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両手で患者さんの腕や体幹を支える
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「椅子の位置を確認して、ゆっくり座りましょう」と声をかける
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膝が曲がるのを確認しながら、ゆっくりと座るのを介助する
どの方法でも「ゆっくりで大丈夫ですよ」「椅子にお尻がつくまで座らないでくださいね」など、安全確保のための声かけを忘れずに行いましょう。
介助後の患者状態の評価
歩行介助の最後に、患者さんの状態を評価することで、次回の介助に活かすことができます。📝
評価すべきポイント:
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バイタルサインの変化(特に脈拍、血圧、呼吸)
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疲労度(「どのくらい疲れましたか?」と尋ねる)
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痛みの有無と程度
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歩行の質(安定性、リズム、歩幅など)
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介助の適切さ(介助量は適切だったか)
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達成感や満足度
「今日の歩行はいかがでしたか?」「どこか痛いところはありませんか?」と患者さんに感想を聞き、次回の歩行介助の参考にしましょう。
「今日は昨日よりスムーズに歩けていましたね」など、ポジティブなフィードバックも大切です✨
介助法別の実践ポイントと応用テクニック
歩行介助の基本を理解したら、次は各介助法の実践的なポイントを押さえていきましょう。
患者さんの状態に合わせた適切な介助法の選択と、状況に応じた応用テクニックを身につけることで、より安全で効果的な歩行介助が可能になります。
ここでは、見守り・寄り添い・手引きの3つの介助法について、実践的なコツと応用技術をご紹介します🚶♀️✨
見守り歩行介助が適している患者と具体的な観察項目
見守り歩行介助は、患者さんの自立を促しながらも安全を確保する方法です。
どのような患者さんに適しているのか、そして何を観察すべきかを理解しましょう👀
見守り歩行介助が適している患者さん:
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歩行が比較的安定している方
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転倒リスクが低〜中程度の方
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指示理解力が良好な方
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リハビリの過程で自立歩行に移行しつつある方
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自信をつけるために見守りが必要な方
具体的な観察項目:
観察ポイント | 確認すべき内容 | 注意すべきサイン |
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姿勢 | 背筋は伸びているか、前傾姿勢になっていないか | 猫背、片側への傾き |
バランス | 左右への傾きはないか、ふらつきはないか | 歩行中の動揺、立ち止まった時の不安定さ |
足の動き | 足の上げ方、着地の仕方は安定しているか | すり足、つまずき、引きずり |
歩幅・歩調 | 歩幅や歩行速度が一定か、リズムが突然変化していないか | 歩幅の不均等、急な速度変化 |
表情 | 不安や痛みの表情はないか | 顔のこわばり、苦痛の表情 |
呼吸 | 息切れや呼吸の乱れはないか | 呼吸の速さ、深さの変化 |
周囲の認識 | 障害物や段差に気づいているか | 障害物への接触、段差でのつまずき |
見守り歩行介助では、患者さんの斜め後方に立ち、いつでも支援できる位置をキープすることが大切です。
「今日はとても安定して歩けていますね」「足の運びがスムーズになってきましたね」など、適切なフィードバックを行うことで、患者さんの自信につながります😊
寄り添い歩行介助の立ち位置と体重支持のコツ
寄り添い歩行介助は、患者さんに適度な支持を提供しながら歩行を促す方法です。
正しい立ち位置と体重支持のコツをマスターして、安全で効果的な介助を行いましょう🤝
基本的な立ち位置:
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患者さんの弱い側(麻痺側)に立つことが基本です
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右麻痺の患者さんなら右側に、左麻痺の患者さんなら左側に立ちます
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麻痺がない場合は、利き手と反対側に立つと良いでしょう(右利きの方なら左側に)
体重支持のコツ:
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介助者の近い方の手で患者さんの腰部または骨盤を支えます
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もう一方の手は状況に応じて肩や上腕を支えるか、患者さんの手を握ります
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麻痺がある場合は、腰を支えるように手を回すのがポイントです
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支持する力は必要最小限にし、患者さんの自立を促します
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患者さんと同じペースで歩き、リズムを合わせることが大切です
「一緒に歩きますね」「私がついていますから安心してください」と声をかけながら、患者さんのペースに合わせて歩きましょう。
段差や方向転換時には特に注意し、必要に応じて支持を強化することも大切です。
患者さんの状態に合わせて、支持の強さを調整できるようになると、より自然な介助が可能になりますよ💪
手引き歩行介助での階段や段差の安全な越え方
手引き歩行介助では、特に階段や段差の越え方に注意が必要です。
転倒リスクが高まるこれらの場面での安全な介助方法をマスターしましょう🪜
階段昇降の基本原則:
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昇る時は良い方(健側)の足から出す
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降りる時は悪い方(患側)の足から出す
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介助者は常に1段下がって支える位置に立つ
階段を昇る場合:
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介助者は患者さんの斜め前に立ち、患者さんの体を支えられる態勢をとります
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「まず杖を置いて、次に右足(健側)、そして左足(患側)の順に出しましょう」と声をかけます
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患者さんが足を上げる際に、必要に応じて軽く支えます
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一段ずつ確実に昇ることを心がけ、焦らせないようにします
階段を降りる場合:
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介助者は患者さんの1段下に立ち、転落を防ぐため下から体ごと支える態勢をとります
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「まず杖を置いて、次に左足(患側)、そして右足(健側)の順に出しましょう」と声をかけます
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患者さんの体が前のめりにならないよう、しっかりと支えます
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特に最初の1段目は慎重に降りるよう促します
小さな段差の越え方:
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段差の手前で一度立ち止まり、段差の高さを確認してもらいます
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「ここに小さな段差がありますよ」と事前に声をかけます
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段差を越える際は、健側の足から出すよう促します
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段差を越えた後も、バランスを崩していないか確認します
「ゆっくりで大丈夫ですよ」「一段ずつ確実に行きましょう」と声をかけながら、患者さんのペースに合わせて介助することが大切です。
階段や段差は転倒リスクが高いため、特に注意深く観察し、必要に応じてより強い支持を提供しましょう🛡️
緊急時の対応と転倒予防のための即時対応テクニック
歩行介助中に患者さんがバランスを崩したり、転倒しそうになったりする場面に遭遇することがあります。
そんな緊急時に冷静に対応できるよう、即時対応テクニックを身につけておきましょう🚨
バランス崩れの早期発見ポイント:
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歩行リズムの突然の変化
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体幹の急な傾き
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足のふらつきや引きずり
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表情の変化(驚きや恐怖)
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手すりや支持物を強く握る動作
軽度のふらつきへの対応:
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言葉で注意を促します:「少し右に傾いていますよ。まっすぐ立ってみましょう」
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必要に応じて軽く支持を強化します
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一度立ち止まり、姿勢を整えてから再開することも有効です
中等度のふらつきへの対応:
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「少し支えますね」と声をかけながら、支持する力を増します
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患者さんの体幹に近づき、より安定した支持を提供します
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必要に応じて休憩を提案します:「少し休みましょうか?」
転倒しそうな場合の緊急対応:
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患者さんの近くに立ち、腰を低くします
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両腕で患者さんの体幹を支え、ゆっくりと安全な方向に誘導します
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完全に転倒する場合は、頭部を保護し、できるだけ衝撃を和らげます
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決して患者さんの腕だけを引っ張らないようにします(肩の脱臼や筋損傷の危険があります)
「大丈夫ですよ、しっかり支えていますから」と声をかけ、患者さんの不安を軽減することも重要です。
転倒予防のためには、事前の環境整備(障害物の除去、適切な照明、滑り止めマットの使用など)も忘れないようにしましょう。
日頃から緊急時の対応をイメージトレーニングしておくと、実際の場面で冷静に対応できますよ。
効果的な声かけと励ましの実践例
適切な声かけは歩行介助の成功に大きく影響します。
患者さんの安心感とモチベーションを高める効果的な声かけと励ましの実践例をご紹介します。
声かけの基本原則:
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患者さんの目を見て話しかける
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明るく穏やかな口調で話す
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具体的でわかりやすい言葉を使う
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患者さんの反応を待つ
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必要以上の声かけは避ける(患者さんの自立を妨げる可能性があります)
場面別の効果的な声かけ例:
場面 | 効果的な声かけ例 | 避けるべき声かけ例 |
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開始時 | 「今から一緒に歩きましょう。私がそばにいますので安心してくださいね」 | 「さあ、歩きますよ」 |
説明時 | 「まずは立ち上がって、廊下を通ってトイレまで行きましょう」 | 「とにかく歩いてください」 |
励まし | 「昨日よりもスムーズに歩けていますね。素晴らしい進歩です」 | 「頑張ってください」 |
注意喚起 | 「前方に少し段差がありますので、ゆっくり歩きましょう」 | 「気をつけて」 |
休憩提案 | 「少し息が上がっているようですね。ここで休憩しませんか?」 | 「疲れた?」 |
達成感共有 | 「無事にナースステーションまで歩けましたね。素晴らしいです」 | 「終わりです」 |
モチベーションを高める声かけのコツ:
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小さな進歩も見逃さず、具体的に褒める:「今日は昨日より歩幅が大きくなりましたね」
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前向きな言葉を使う:「できない」ではなく「次はこうしてみましょう」
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患者さんの努力を認める:「毎日の練習の成果が出ていますね」
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具体的な目標を示す:「今日は窓際のイスまで歩いてみましょう」
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患者さんの気持ちに寄り添う:「最初は不安かもしれませんが、一緒に頑張りましょう」
声かけは歩行の前だけでなく、歩行中も適宜行うことが大切です。
ただし、患者さんが歩行に集中している時は、必要以上の声かけは避けましょう。
また、歩行中に後ろから突然声をかけると、患者さんがバランスを崩す原因になることがあるので注意が必要です。
患者さんの表情や反応を見ながら、適切なタイミングで声かけを行うようにしましょう✨
「今日も一緒に頑張りましょうね」「少しずつでも確実に前進していますよ」など、患者さんに寄り添った温かい声かけが、安全で効果的な歩行介助につながります🌟