
「経管栄養の手技って、本当に正しくできているかな…」「注入速度や体位調整の具体的な数値が知りたい」「患者さんに安全で快適な経管栄養を提供したい」
そう悩んでいる看護師さんも多いのではないでしょうか。
経管栄養は日常的に行う処置だからこそ、正確な手技と観察ポイントをしっかり押さえておきたいですよね 💉
この記事では
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経管栄養に必要な物品リストの完全版 📋
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誰でも実践できる経管栄養の5ステップ手順 ✅
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安全な注入速度の具体的な数値と設定方法 ⏱️
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誤嚥を防ぐ最適な体位と角度 🛌
経管栄養の手技を確実に行うには、正しい物品準備から始まり、チューブ位置の確認、適切な注入速度の設定、そして何より患者さんの体位管理が重要なポイントです。
この記事では、現場で即実践できる経管栄養の手技と看護のコツを、準備から後処置まで5つのステップで詳しく解説します。
特に注入速度の調整方法や半座位の正確な角度など、数値で示せる具体的な情報を重視してまとめました。
これを読めば、あなたの経管栄養ケアがより安全で効果的になること間違いなしです 👩⚕️✨
経管栄養に必要な物品リスト完全版!これで準備バッチリ ✅
経管栄養を実施する際には、適切な物品を事前に準備しておくことが大切です。
経管栄養の種類別に必要な物品を見ていきましょう!
基本的な準備物品:これだけは揃えておこう! 📋
経管栄養を行う際に、どの方法でも共通して必要となる基本的な物品です。
これらは必ず準備しておきましょう。
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栄養剤(医師の指示に従ったもの)
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白湯(指示された量)
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手袋(未滅菌でOK)
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聴診器
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カテーテルチップシリンジ
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計量カップ
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時計
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タオル(患者さんの襟元を保護するため)
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おしぼり(患者さんの手を拭くため)
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記録用紙
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ナースコール(患者さんの手元に)
栄養剤は冷蔵庫から出して室温に戻しておくことをお忘れなく!
冷たい栄養剤は下痢の原因になることがあります。
また、おしぼりを患者さんに渡すのは、栄養剤の注入が食事であることを認識してもらい、消化液の分泌を促すためです。
半固形化栄養剤を使用する場合の追加物品 🍮
半固形化栄養剤を使用する場合は、液体栄養剤とは異なる物品が必要になります。
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加圧バッグ(PG加圧バッグなど)
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送気球
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半固形化栄養剤専用シリンジ
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接続アダプター(必要に応じて)
半固形化栄養剤を使用する場合は、注入用ボトルは不要です。
加圧バッグに半固形化栄養剤バッグをセットし、送気球で150〜300mmHgに調整して加圧します。
300mmHgでも滴下が確認できない場合は注入を中止し、医師に相談しましょう。
経管栄養の5ステップ手順マスターガイド 👩⚕️
経管栄養を安全に実施するための5つのステップを詳しく解説します。
各ステップをしっかり押さえて、確実な手技を身につけましょう。
STEP1:患者さんへの説明と準備—安心感を与える声かけのコツ 🗣️
経管栄養を始める前に、患者さんへの説明と準備を丁寧に行いましょう。
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患者さんに栄養剤注入を行うことを説明し、了解を得ます
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事前に排泄を済ませてもらいます(注入中の不快感を防ぐため)
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ファウラー位または30〜60度の半座位に体位を整えます
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襟元をタオルで覆い、汚染防止をします
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おしぼりを渡して手を拭いてもらいます(食事の意識付け)
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「これから栄養剤を注入します」と声かけし、終了予定時刻も伝えます
患者さんに「いただきます」と声をかけることで、食事であることを意識してもらうことも大切です。
また、気分不快などがあればすぐにナースコールで知らせるよう伝え、ナースコールが手元にあることを確認しましょう。
STEP2:チューブ位置の確認方法—誤挿入を防ぐ確実なテクニック 🔎
栄養剤を注入する前に、チューブが正しい位置にあるかを確認することは非常に重要です。
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胃部に聴診器をあてます
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カテーテルチップシリンジで空気を胃内に送ります(10〜20ml程度)
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気泡音を確認します
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カテーテルチップシリンジの内筒を引き、胃液を吸引します
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胃内容物が確認できたら、チューブが胃内にあると判断できます
空気による腹部膨満を防ぐため、胃内容物を吸引する際に、注入した分の空気も吸引するようにしましょう。
また、チューブが固定されているか、挿入されている長さは正しいか、口腔内でとぐろを巻いていないかも確認することが大切です。
STEP3-1:栄養剤の注入手順—スムーズな注入のためのポイント 💧
栄養剤を安全に注入するための手順です。
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栄養セットのクレンメを閉じた状態で、栄養剤をボトルへ注入します
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滴下筒の半分まで栄養剤を満たします
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クレンメを開き、投与ラインの先端まで栄養剤を満たします(空気を抜く)
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栄養チューブと栄養セットを接続します(接続時はチューブを折り曲げておく)
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クレンメを開いて注入速度を調節しながら、滴下を開始します
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注入開始時刻を記録します
栄養チューブの蓋を外すときや栄養セットを接続するときは、胃内容物の逆流を防ぐために、チューブを折り曲げておくことがポイントです。
また、注入開始後は瘻孔周囲からの漏れがないか確認しましょう。
STEP3-1:栄養剤の注入手順(半固形化栄養剤)
商品によって加圧バッグの仕様はちがいますが、一例として上記の方法をご紹介します。(大体使い方は一緒です)
栄養パックと専用チューブの接続部はねじ型になっています。
加圧して薬液を注入するのでしっかりと接続しないと途中で外れてしまいます!(経験済💦)
また、内容量がすくなくなると圧力も弱くなるので途中で加圧状態を観察する必要があります。
STEP4:白湯によるフラッシュ方法—チューブ閉塞を防ぐコツ 💦
栄養剤注入後は、白湯でチューブ内をフラッシュすることが重要です。
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栄養剤の注入が終了したら、白湯をボトルに注ぎます
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クレンメを調整して白湯を流します
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チューブ内に栄養剤が残らないようにしっかりフラッシュします
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内服薬がある場合は、白湯で溶解して投与します
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フラッシュ終了後、胃瘻チューブと接続チューブを外します
チューブ内に栄養剤が残ると細菌が繁殖したり、チューブが詰まったりする原因になります。
確実にフラッシュすることで、これらのトラブルを予防できます。
内服薬を投与する場合は、十分に溶解させてからカテーテルチップを使って投与しましょう。
しっかりと白湯を流して洗浄しましょう!
STEP5:注入後のケアと観察—合併症予防の秘訣 👀
栄養剤注入後のケアと観察も重要です。
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顔色、表情、呼吸状態、熱感、冷汗、悪心・嘔吐、意識レベルなどを観察します
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胃瘻周囲への栄養剤の漏れがないか確認します
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注入終了後、1時間程度は半座位を保ちます(半固形化栄養剤の場合は速やかに体位を戻してもOK)
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実施内容、観察結果、患者の反応を記録します
嘔気や嘔吐がある場合は注入を止めて様子を見て、治まったらゆっくりと再開します。治まらない場合は医師に報告しましょう。
下痢がある場合は、栄養剤の温度(常温)と注入速度に気をつけることが大切です。
患者さんの安全を守る!適切な注入速度と体位調整のテクニック 🛡️
経管栄養を安全に行うためには、適切な注入速度と体位調整が非常に重要です。
患者さんの状態に合わせた調整方法を身につけましょう。
安全な滴下速度の設定方法—患者さんに合わせた適切な速度とは? ⏱️
栄養剤の注入速度は患者さんの状態によって調整する必要があります。
滴下数 | 時間あたりの注入量 | 目安 |
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60滴/分 | 200ml/時間 | 10秒で10滴 |
90滴/分 | 300ml/時間 | 10秒で15滴 |
一般的な注入速度の目安は1時間に400ml程度(10秒間に20滴)ですが、患者さんの状態や医師の指示によって調整します。
胃瘻造設当初は100ml/時程度からスタートし、患者さんの状態に合わせて徐々に速度を上げていくことが多いです。
注入の速度が速すぎると、胃食道逆流による嘔吐や呼吸障害、下痢や頻脈などのダンピング症状を引き起こすことがあるので注意が必要です。
クレンメの正しい操作法—初心者でもできる調整テクニック 👌
クレンメの操作は経管栄養の滴下速度を調整する重要なポイントです。
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栄養剤をボトルに入れる前にクレンメを必ず閉じておきます
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滴下筒の半分まで栄養剤を満たしてからクレンメを開き、ラインの先端まで栄養剤を満たします
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栄養チューブと接続後、クレンメをゆっくり緩めて滴下を開始します
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ボタン型カテーテルの場合は、先に接続チューブのクレンメを開けてから操作します
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ドリップチェンバーの滴下で注入速度を調節します
クレンメを開放したままで栄養剤を注入すると、チューブから流れ出てしまうため注意が必要です。
また、注入中に滴下速度が変化することがあるため、定期的に確認しましょう。
半座位の取り方と理想的な角度—誤嚥予防に効果的な30〜45度の体位 📐
経管栄養中の体位は誤嚥予防に非常に重要です。
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ベッドの頭側を30〜60度上げてファウラー位または半座位にします
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枕の位置を調整し、頭部が前屈しないようにします
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体がずり落ちないよう、必要に応じて膝下にクッションを入れます
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体が左右に傾かないよう調整します
半座位は誤嚥を防ぐだけでなく、栄養剤の自然な流れを助け、胃の膨満感を軽減する効果もあります。
患者さんの状態に合わせて、無理のない角度に調整することが大切です。
経管栄養中・後の体位管理—いつまで姿勢を保つべき? 🕒
経管栄養中・後の体位管理も合併症予防に重要です。
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注入中は常に半座位を維持します
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体位が乱れていたり、同一体位が苦痛になっている場合は、一時滴下を中止して体位を整えます
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注入終了後も1時間程度は半座位を保ちます
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半固形化栄養剤を使用した場合は、注入終了後速やかに体位を戻してもOKです
栄養剤投与中に患者さんが動いて体位が乱れていたり、同一体位を保つことが苦痛になっていたりする場合には、経腸栄養剤の滴下を一時中止して、体位を整えてから再開しましょう。
体位によって注入速度が変わるので、体位を整えた後には必ず滴下速度を確認することも大切です。
まとめ:経管栄養の手技と看護のポイント 🌟
経管栄養の手技と看護について詳しく解説してきましたが、いかがでしたか?
最後に重要なポイントをまとめておきましょう。
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✅ 事前準備が大切:経管栄養の種類に合わせた物品を揃え、栄養剤は室温に戻しておきましょう
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✅ 5ステップを確実に:説明→チューブ位置確認→注入→フラッシュ→観察の流れを守りましょう
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✅ 適切な体位と速度:30〜60度の半座位と患者さんに合った注入速度が安全のカギです
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✅ 観察を怠らない:注入中・後の患者さんの状態変化に注意し、異常があれば速やかに対応しましょう
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✅ 記録は具体的に:実施内容、観察結果、患者さんの反応を詳細に記録することが大切です
経管栄養は日常的に行う処置だからこそ、正確な手技と細やかな観察が求められます。
この記事で紹介したポイントを押さえて、患者さんに安全で快適な経管栄養ケアを提供していきましょう!
何か疑問点があれば、先輩看護師や医師に相談することも大切ですよ 💪