
先輩から「これ、塗っといて」と言われた皮膚保護剤。失禁やストーマケアで、なんとなくいつも同じものを使っていませんか?
「なんでこのクリームを選んだの?」 「このびらんには、スプレーとパウダーどっちがいいの?」
ドキッとした経験、一度はあるかもしれません。
でも、安心してください!この記事を読めば、皮膚保護剤を「なんとなく」から「根拠を持って」選べるようになります。
アセスメントの視点が変われば、あなたの看護ケアはもっとレベルアップするはず✨
明日から自信を持って患者さんの皮膚を守れる、そんな実践テクニックを一緒に学んでいきましょう!
そもそも皮膚保護剤って何者?🤔看護で知るべき基本の「き」
まずは基本の確認から。
意外と奥が深い皮膚保護剤の世界をのぞいてみましょう。
皮膚保護剤の目的はただ一つ!「外的刺激からのバリア機能」だった
皮膚保護剤の目的は、一言でいうと「皮膚の透明な鎧」になることです。
下痢便や尿、ストーマからの排泄物、創部からの浸出液、テープによる摩擦やずれ…。
患者さんの皮膚は、常に過酷な外的刺激にさらされています。
これらの刺激から皮膚の最前線で体を張り、見えないバリアとなって皮膚を守ること。
それが皮膚保護剤のたった一つの、そして最も重要な目的なのです。
保湿剤とは違うの?似てるけど役割が全く違う2つの違い
「保湿剤も皮膚を守るんじゃないの?」と思ったあなた、鋭い!
でも、この2つは似ているようで、実は役割が全く違います。
看護ケアで皮膚保護剤が超重要な3つのワケ
たかが保護剤、されど保護剤。
皮膚保護剤を適切に使うことは、看護ケアにおいてめちゃくちゃ重要です。
- スキントラブルの「予防」ができる
何より大切なのが予防です。
一度トラブルが起きてしまうと、治るまでに時間もコストもかかり、患者さんの苦痛も増大します。
トラブルが起きる前に保護することで、未然に防ぐことができます。 - 患者さんのQOL(生活の質)に直結する
皮膚のかゆみ、痛み、ただれは想像以上に辛いもの💦
適切なケアで不快感を軽減することは、患者さんがその人らしく過ごすための大きな助けになります。 - 治療の土台を作る
どんなに良い薬やドレッシング材を使っても、その周りの皮膚環境が悪ければ効果は半減してしまいます。
皮膚保護剤で土台を整えることは、あらゆる治療の効果を最大限に引き出すためにも不可欠なのです。
【完全ガイド】剤形は4種類!それぞれの特徴と得意ワザを徹底比較✨
さあ、いよいよ本題です!
皮膚保護剤の代表的な4つの種類(剤形)と、それぞれの得意ワザを見ていきましょう。
【パウダー状】ジュクジュク皮膚の救世主!びらんやただれに◎
- 得意なこと:
浸出液(ジュクジュクした液)が多い皮膚の水分を吸収し、サラサラに乾燥させること。 - 出番はここ!:
ストーマ周囲のびらん、おむつ内の湿潤が強い部分など。 - 使い方のコツ:
- 皮膚の水分と反応してゲル状になり、バリアを形成します。
- 塗布後、余分な粉は必ずブラシやガーゼで優しく払い落とすこと!粉がダマになると、それが新たな刺激になってしまうので注意が必要です。
【スプレー状(被膜剤)】シュッとするだけ!見えない膜で広範囲をカバー
- 得意なこと:
広範囲に、均一で透明なフィルム(被膜)を作ること。速乾性があり、手軽に使えるのが魅力です。 - 出番はここ!:
仙骨部などの摩擦が多い部位の予防、ドレーン周囲、軽度のびらんの上からコーティングなど。 - 使い方のコツ:
- 皮膚から10~15cmほど離して、シュッと一吹き。重ね塗りすると、より強固なバリアになります。
- アルコール入りの製品は、びらんなどに使うと強い痛みを伴うことがあるため、アルコールフリーの製品を選ぶのがおすすめです。
【クリーム・軟膏状】カサカサ肌の味方!保湿と撥水でWブロック
- 得意なこと:
乾燥した皮膚に潤いを与えつつ、表面に油分の膜を張って排泄物などの水分をはじくこと。「保湿」と「撥水」の二刀流です。 - 出番はここ!:
おむつかぶれ(IAD)の予防、乾燥している皮膚の保護など。 - 使い方のコツ:
- ごく少量を、薄く均一に伸ばすのがポイント。
たくさん塗りすぎると、おむつの吸収性が落ちたり、テープが剥がれやすくなったりします。 - 塗った後にティッシュを軽く当てて、余分な油分がつけば「塗りすぎ」のサインです。
- ごく少量を、薄く均一に伸ばすのがポイント。
【シート・シール状】摩擦・ずれから物理的に守る!まさに”貼る皮膚”
- 得意なこと: 摩擦や圧迫などの「物理的な力」から皮膚をクッションのように守ること。ハイドロコロイド素材などが使われています。
- 出番はここ!: 骨突出部(仙骨、踵、腸骨など)の褥瘡予防、医療関連機器(チューブやマスク)による圧迫からの保護など。
- 使い方のコツ:
- 貼る前に皮膚の汚れを落とし、しっかり乾かすことで剥がれにくくなります。
- シワが寄らないように、少し引っ張りながら貼るのがポイント。関節などよく動く部位は、動きを妨げないようにカットして使うと◎。
もう迷わない!アセスメントが変わる魔法の3ステップ🪄
「種類はわかったけど、結局どれを選べばいいの?」そんなあなたのための実践編です。
この3ステップで考えれば、もう選択に迷いません!
ステップ①:まずは見るべし!皮膚状態の観察ポイント5選👀
思い込みは禁物!まずは患者さんの皮膚をじっくり観察(アセスメント)しましょう。
- 皮膚の色は?(発赤、紫斑、白っぽさなど)
- 湿潤状態は?(カサカサ乾燥? or ジュクジュク湿潤?)
- 皮膚はつながってる?(びらん、表皮剥離、潰瘍の有無)
- 硬さはどう?(むくみ、しこり、硬結など)
- 周りの健康な皮膚との違いは?
この5つの視点で見るだけで、皮膚が発しているサインをキャッチできます。
ステップ②:原因はなに?皮膚トラブルの根本原因を探る思考法✍️
次に、観察した結果から「なぜこのトラブルが起きているのか?」という原因を探ります。
- (例)お尻が赤い…
- →下痢便がずっと付着している?…化学的刺激
- →体圧がかかる仙骨部だけが赤い?…圧迫やずれ
- →おむつ交換の時にゴシゴシ拭きすぎている?…物理的刺激(摩擦)
原因が「水分や排泄物」なのか「物理的な力」なのかを考えることで、選ぶべきケアの方向性が見えてきます。
ステップ③:いざ選択!アセスメント結果から最適解を導くフローチャート🗺️
さあ、いよいよ結論です!アセスメント結果を元に、このフローチャートで最適な皮膚保護剤を選んでみましょう。

このチャートを使えば、「ジュクジュクしているから、まずはパウダーで水分を吸おう」「骨突出部の赤みだから、シートで圧力を分散させよう」といった根拠のある選択ができます!
お仕事探しはしごとレトリバーにおまかせ!!
「褥瘡ケアをもっと学びたい!」「訪問看護も気になるな…」などなど!
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【現場の疑問】これってどうなの?看護師あるあるQ&Aコーナー🙋♀️
最後に、現場でよく聞かれるギモンにお答えします!
Q1. 装具やテープの粘着力、弱くならない?
A1.
弱くなる可能性はあります!
特にクリーム・軟膏状の塗りすぎは厳禁です。
薄く塗ってしっかりなじませるか、余分な油分を拭き取ってから貼るようにしましょう。
パウダーやスプレーは、正しく使えば影響は少ないとされています。
Q2. 2種類以上の皮膚保護剤、重ねて使ってもOK?
A2.
基本的には単独での使用が推奨されています。
しかし、臨床では浸出液の多いびらんにパウダーを振り、その上からスプレーでコーティングする、といった併用が行われることも。
ただし、これは応用テクニック。
まずは製品の添付文書を確認し、自己判断せず先輩や皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)に確認するのが鉄則です!
Q3. コストや保険のこと、ぶっちゃけどうなってるの?
A3.
とても大切な視点です。
入院中のケアで使うものは、基本的に病院の費用(コスト)となります。
在宅でストーマケアなどに使う場合は、条件によって健康保険が適用される製品もあります。
病院やクリニックによって使える製品も異なります。
「この製品、うちの病院にあるかな?」と気になったら、物品係や先輩に確認してみましょう。
無駄なく効果的に使う知識は、デキる看護師の必須スキルです!
明日からの看護が変わる!デキる看護師への第一歩を踏み出そう👟
皮膚保護剤の種類から、アセスメントに基づいた実践的な選び方まで、お疲れ様でした!
もう、あなたは皮膚保護剤を「なんとなく」で選ぶことはないはずです。
大切なのは、患者さんの皮膚をしっかり見て、「なぜこれを選ぶのか」という自分なりの根拠を持つこと。
その小さな積み重ねが、患者さんの安楽と、あなた自身の看護師としての成長に必ず繋がります。
明日からのケアで、ぜひこの記事の3ステップを試してみてください。あなたの看護が、今日よりもっと輝くことを応援しています!
<参考・引用>