こんにちは。「介護士しまぞーブログ」を運営しているしまぞーです。
介護職の就業先には、特別養護老人ホームや病院・大手企業運営有料老人ホーム、デイサービスなどの居宅系などがあります。
それぞれの就労先によって業務内容や習得できるスキルが異なります。
そのため、施設ごとの実務経験は今後のキャリアや資格取得、働き方に直結します。
本記事では、介護職として10年以上働いてきた私の目線で、代表的な以下の職場についてどのようなスキルが身に付くのかを種類別に解説します。
- 特別養護老人ホーム
- 病院
- 大手企業運営有料老人ホーム
これから介護職を目指す方や他の職場に関心がある方にとって、各職場で得られるスキルとその違いを知ることは、キャリアプランの参考になります。ぜひ最後までご覧ください。
特別養護老人ホームで身に付くスキル
特別養護老人ホームの特徴は、利用者の介護度が高い(要介護度3以上)ことです。
車椅子対応の利用者が多く、排泄はおむつ、食事や入浴もスタッフの介助が必要な方が多くなります。
また、利用者は認知症などの疾患や身体の不自由さを抱えているため、スタッフは幅広い知識と経験を身につけられます。これらは対応力となり、転職時にも有利に働きます。
例として、夜勤の排泄介助はグループホームでは自立した方が多く一晩で数回程度ですが、ユニット型の特養(利用者20名程度)では一晩に30〜40回の排泄介助が発生することがあります。
排泄介助とひとくくりに言っても、身体の状態や麻痺、拘縮の度合いによって難易度は人それぞれです。
私の場合、おむつ交換には最初は一人の利用者に対して十数分かかりましたが、特別養護老人ホームでは回数を重ねることで丁寧さを保ちながら時間が短縮され数分で交換できるようになりました。
そのため他の職場と比較し、高い身体介助のスキルが身につきます。
また、多くの入居者が認知症を患っているため、特養で働く介護職員はさまざまな認知症の方への支援を通じて実践的なスキルを身につけることができます。
特別養護老人ホームでの経験は、比較的少人数のグループホームやデイサービス、1対1支援の訪問サービスなど、どこへ行っても役立つスキルになります。
一方、特別養護老人ホームの運営母体は社会福祉法人が多く、運営規模は単体〜数施設程度であることが一般的です。
昇進の幅は限られ、出世はリーダーや主任までにとどまる場合があります。
今後のキャリアを描くなら、複数施設を運営する民間企業への転職を検討するのも一案です。
(まとめ)特別養護老人ホームで身に付くスキル
- 身体介助全般
- 認知症ケアの実践スキル
病院で身に付くスキル
病院で働く介護職は「看護助手」と呼ばれますが、これは資格名ではありません。
主な仕事内容は看護師のサポートで、入院患者の身の回りの世話や、居室・フロアの清掃、シーツ交換など担当フロアの環境整備をおこないます。
前章の特別養護老人ホームでは介護職員が主体ですが、病院では医療職が主体となり、看護助手は主に看護師の指示のもとで業務をおこないます。
介護施設と違い、利用者は患者で治療が目的のため高齢者に限りません。
看護助手に身につくスキルは、看護師のサポートを通じて得られる医療知識です。
医療処置は有資格者の独占業務であり看護助手が行うことはできませんが、患者の変化(顔色や褥瘡など)に気づける能力は病院で働く大きなスキルです。
また、病院では看護師やリハビリ職との合同カンファレンスが頻繁に行われ、専門的な知識が得られます。
近年、介護職が一定の研修を受講することで、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを任されるケースが増えています。
行政も医療現場での人材確保を踏まえ、介護施設での医療的ケアを介護職に移行する動きを進めています。
今後、医療知識を持つ看護助手のニーズはさらに高まるでしょう。
ある夜勤で顔色が急に悪化した患者さんをいち早く発見し看護師へ伝えたことで迅速な処置につながり、命に関わる事態を回避できた経験があります。
そのときは恐怖心と緊張感で精神的に疲弊しましたが、事後の振り返りで観察ポイントと報告の仕方を学び、以後は状況把握と連絡の仕方を意識して行動するようになりました。
このように病院では専門職と連携して働く中で医療的知識や報告・連携のスキルが磨かれます。
また、看護助手の経験を経て看護師や准看護師の資格を目指す方も少なくありません。
注意点として、病院での勤務経験が介護福祉士の受験資格(労働日数・労働期間)に含まれない場合があります。
過去に実務経験証明書を発行してくれない病院がありました。
介護福祉士の資格はキャリアや昇給に直結するため、該当しそうな場合は事前に確認してください。
(まとめ)病院勤務で身に付くスキル
- 医療的ケア・知識
- 多職種連携によるチームワーク
- 急変時対応力(担当科による)
有料老人ホームで身に付くスキル
有料老人ホームは民間が運営しており、ニチイ学館、SOMPOケア、ベネッセなどの大手企業系列は全国に多数の施設を展開しています。
一般的に大手企業への就職は、大卒向けの総合職・一般職・管理職などの区分があります。
大手系列の介護企業は全国展開しているため、管理職の昇進ルート(施設長→エリアマネージャー→本部の課長・部長など)が多く用意されています。
入社試験は特別養護老人ホームで一回の面接で採用されることがある一方、有料老人ホームでは書類審査から役員面接まで2〜3回以上の選考が行われることが一般的です。
多くの有料老人ホームではSPI適性検査を導入しており、採用の難易度は比較的高いです。
管理職には介護技術や知識、コミュニケーション能力に加えてマネジメント能力が求められます。
企業側は新卒に対して施設長などマネジメントを担える人材を期待しており、総合職は入社後の研修を通じて幹部候補として長期的に育成されます。
身につけたスキルを出世というキャリアプランに活かしやすいのが有料老人ホームの特徴です。
大手介護企業の中には、介護経験の有無にかかわらず他業種での管理者経験を評価して管理職採用を行うところもあります。
管理者経験やスキルを求める求人は多いため、該当する30代・40代の求職者はぜひ挑戦してみてください。
私の経験では、スタッフのシフト調整や新人教育、予算管理などを通じてマネジメントと組織運営の実務を積みました。
営業力強化やチーム運営の改善で売上予算を達成した結果、上司からの評価が高まり、給与査定が大幅に上がりました。
民間企業では役職や収入を上げるために、自身の業績を高め、必要なスキルや資格を習得し、経営者や会社に貢献する姿勢を示すことが重要です。
また、有料老人ホームは新たなツールや技術の導入に積極的です。
これまでにタブレットやスマートフォンでの記録管理や介護ロボットの導入が進んでいます。
最新技術に触れられる機会が多いのも有料老人ホームの特徴です。
(まとめ)有料老人ホームで身に付くスキル
- マネジメントスキル
- 組織運営スキル
本記事のまとめ
各職場で身につくスキルをみてきました。
- 特別養護老人ホーム: 身体介助全般、認知症ケアの実践力 — 介護度が高く日常的に介助・対応を行うため。
- 病院: 医療的知識、多職種連携、急変対応力 — 医療職と連携し専門性と連携力が養われるため。
- 有料老人ホーム: マネジメント、組織運営 — 昇進ルートや研修が整備され、運営経験を積めるため。
どの経験も介護業界でのキャリア形成に役立ちますので、ご自身の目標に応じて職場を選び、必要なスキルを意識して働くことをおすすめします。
この記事の寄稿者
しまぞー
介護福祉士・ブロガー・コラムニスト

こんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士しまぞーです。
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