呼吸数が24回…。SpO₂は98%だけど、これって大丈夫?と不安になることありませんか?
「とりあえず様子見でいいのか」「すぐ報告すべきか」迷いますよね。
この記事では
- 呼吸数増加の原因を系統的に整理する方法
- 頻呼吸が危険サインになる場面
- 新人看護師が押さえるべきアセスメント視点
が分かりますよ♪
呼吸数の正常値と「増加」の定義
まずは基準を整理しておきましょう。
呼吸数が増えているかどうかは、「正常値」を知らなければ判断できませんよね🩺
成人の安静時呼吸数は、1分間12〜20回が目安とされています。
この範囲を超えると「頻呼吸(tachypnea)」と呼ばれます。
頻呼吸とは何回から?

資料によって多少の差はありますが、一般的には
- 20回/分以上
- 25回以上を明確な頻呼吸とする
と記載されることが多いです。
そのため、安静時で20回を超えている場合は“要注意”と考えて、原因を探る姿勢が大切です。
呼吸数はなぜ増えるの?
呼吸は延髄にある呼吸中枢が自動でコントロールしています。

体内で
- 二酸化炭素が増える
- pHが低下する(酸性に傾く)
- 体温が上がる
- 酸素が不足する
といった変化が起こると、換気量を増やすために呼吸数が増加します。
つまり呼吸数は、体内のバランスの乱れを最も早く反映するバイタルなんです。
SpO₂が正常でも安心できない理由
新人さんがよく迷うのがここですよね。
「SpO₂が98%だから大丈夫かな?」と思ってしまうこと、ありませんか?
でも実は、SpO₂は“結果”を見ている指標です。

呼吸数増加は、その前段階の代償反応であることが多いのです。
だからこそ、呼吸数は“軽視されがちだけど最重要”のサインなのです。
生理的な呼吸数増加の原因
呼吸数が増えている=すぐに重症、とは限りません。
まずは「病気ではない増加」を整理しておくことが大切です🩺
ここを落ち着いて判断できると、不要な焦りが減りますよ。
発熱による呼吸数増加
発熱時に呼吸が速くなるのは、よくある反応です。
体温が上がると視床下部の体温調節中枢が刺激され、その影響が呼吸中枢にも伝わります。
その結果、体熱放散を促すために呼吸数が増加します。
また、発熱により代謝が亢進すると酸素需要が増えるため、換気量を増やす必要も出てきます。
つまり発熱+頻呼吸は、生体の自然な反応ともいえるのです。
運動・労作後
歩行直後やトイレ移動後に呼吸数が増えるのは当然ですよね。
筋活動により二酸化炭素産生が増え、呼吸中枢が刺激されます。
この場合は、安静にすると数分で落ち着くかどうかが判断ポイントになります。
安静にしても改善しない場合は、別の原因を疑う必要があります。
不安・精神的緊張
情動刺激でも呼吸数は増加します。
入院直後、処置前、疼痛が強いときなどに見られることがあります。
この場合は
- 表情
- 発汗
- 落ち着きのなさ
などもセットで観察すると判断しやすいです。
体位・年齢の影響
体位変換直後や座位保持時にも一時的に増加することがあります。
また乳幼児や高齢者では基準値が異なります。
そのため、「その人のいつもの呼吸数」を知っておくことがとても大切です。

焦って“異常”と決めつけないことが大事よね😊
生理的な増加かどうかを見極めるポイントは、
- 安静で改善するか
- 他のバイタルに異常はないか
- 急激な変化ではないか
ここまで確認して「違うかも」と思ったら、次は病的原因を考えていきます。
呼吸器疾患による原因
ここからは「見逃してはいけない頻呼吸」です。
呼吸数増加は、呼吸困難・呼吸不全の重要な身体所見として国内ガイドラインでも強調されています。
ポイントは、「なぜ換気量を増やさなければならないのか?」を考えることです。
気道疾患(喘息・COPD増悪・気道閉塞など)

気道が狭くなると、空気の出入りがうまくいきません。
すると1回の換気量が十分に確保できず、体は回数を増やして代償しようとします。
特に注意したい観察ポイントは:
- 呼気延長
- 喘鳴(ヒューヒュー音)
- 努力呼吸(肩呼吸・胸鎖乳突筋使用)
- 会話困難
「速い+苦しそう」がセットなら、重症度は高めです。
肺実質の病変(肺炎・ARDS・間質性肺炎など)
肺胞でのガス交換がうまくいかない状態です。
換気血流比の不均衡やシャント増大により低酸素血症が起こります。
体は酸素不足を補うため、呼吸数を増やして酸素取り込みを増やそうとします。
ここで重要なのは:
- SpO₂低下
- 湿性ラ音
- 発熱の有無
特に肺炎では「発熱+頻呼吸」は典型パターンです。
胸膜・胸郭の異常(気胸・胸水など)
肺の伸展が制限されると、1回換気量が減少します。
その結果、浅く速い呼吸(頻呼吸)で代償します。
片側呼吸音減弱、突然の呼吸困難があれば要注意です。
急性呼吸不全
ARDS診療ガイドラインでも、呼吸数増加は重症化指標の一つとされています。
特に呼吸数30回以上は明らかな異常です。
このレベルになると、「様子見」ではなく迅速な報告が必要です。

呼吸器疾患による頻呼吸は、急変の入り口になることがあります。
だからこそ、「速い」だけでなく「苦しそうか」「他の異常はないか」まで必ず見ていきましょう。
循環・代謝異常による原因
呼吸数増加=肺の病気、とは限りません。
実は、循環不全や代謝異常でも頻呼吸は起こります。
「肺はそこまで悪くなさそうなのに速い…」そんなときこそ、全身を見渡す視点が大切です🩺

循環不全・心不全
心拍出量が低下すると、組織に十分な酸素が届きません。
その結果、体は酸素不足を補うために呼吸数を増やします。
心原性肺うっ血がある場合は、肺自体もガス交換が悪化し、さらに頻呼吸になります。
- 頻脈
- 血圧低下
- 冷汗・四肢冷感
- 起座呼吸
これらがあれば、循環由来を疑いましょう。
貧血・大量出血
ヘモグロビンが低下すると、血液の酸素運搬能が落ちます。
そのため、心拍数とともに呼吸数も増加します。
SpO₂は正常でも安心できない代表例です。
顔色・結膜蒼白・出血の有無なども必ず確認します。
代謝性アシドーシス(DKA・乳酸アシドーシスなど)
血液が酸性に傾くと、体は二酸化炭素を排出してpHを戻そうとします。
その結果、換気量が増え、深く速い呼吸になります。
これがクスマウル呼吸です。
- 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
- 敗血症
- 腎不全
「SpO₂は正常なのに、異様に速くて深い」場合はここを疑います。
敗血症
敗血症では炎症性サイトカインにより代謝が亢進し、頻呼吸を呈します。
qSOFAでも呼吸数22回以上が評価項目に入っています。
つまり、頻呼吸は敗血症の早期警告サインなのです。

循環・代謝異常による頻呼吸は、全身状態悪化のサインであることが多いです。
「肺が原因じゃないかも?」と考えられるかどうかが、急変を防ぐ分かれ道になります。
中枢神経・神経筋疾患などによる原因
呼吸数は「肺」だけでなく、脳や神経、筋肉の状態にも影響を受けます。
そのため、呼吸器疾患がはっきりしない場合は、中枢神経や神経筋の異常も考える必要があります。
特に意識状態の変化や神経症状がある場合は注意が必要です。
中枢神経の異常
呼吸は延髄にある呼吸中枢によってコントロールされています。
そのため脳に障害が起こると、呼吸の回数やパターンが変化します。
- 脳血管障害
- 頭部外傷
- 脳腫瘍
- 薬物中毒(サリチル酸など)
このような場合、呼吸中枢が刺激され頻呼吸や過換気が起こることがあります。
また意識レベルの変化、瞳孔異常、片麻痺などの神経症状がないかも必ず確認しましょう。
神経筋疾患
呼吸は横隔膜や肋間筋などの呼吸筋によって行われています。
そのため神経筋疾患では、呼吸筋の力が弱くなります。
すると1回換気量が低下するため、呼吸回数を増やして代償しようとします。
代表的な疾患には次のようなものがあります。
- ギラン・バレー症候群
- 重症筋無力症
- 筋ジストロフィー
初期は頻呼吸で代償しますが、進行すると呼吸筋疲労から呼吸不全へ進む可能性があります。
疼痛
胸部や腹部の痛みでも呼吸数は増加します。
術後や外傷では、痛みにより深呼吸ができなくなることがあります。
その結果、浅く速い呼吸になることがあります。
疼痛が原因の場合は、
- 表情
- 体動
- 創部の状態
などを合わせて観察することで判断しやすくなります。

このように呼吸数増加の原因は、呼吸器だけでなく全身に及びます。
だからこそ、呼吸数は全身状態を反映する重要なバイタルサインといわれているのです。
看護・臨床でのアセスメントの視点
呼吸数増加を見たとき、最も大切なのは「原因を系統的に考えること」です。
呼吸数は急変の早期サインになることが多いため、単に数値だけを見るのではなく、全身状態とセットで評価することが重要です。
まず確認する観察ポイント
呼吸数が増えている場合は、次の項目を系統的に観察します。
- 呼吸数・呼吸の深さ・リズム
- 努力呼吸(肩呼吸・使用筋)
- SpO₂・脈拍・血圧・体温
- 意識レベル
- 体位・会話可能か
特に重要なのは、「いつもより増えているか」という視点です。
普段18回の患者さんが24回になっていれば、それだけで変化のサインになります。
原因を考えるときの4つの視点
呼吸数増加の原因は、次の4つに分けて考えると整理しやすくなります。
| 原因のカテゴリ | 例 |
|---|---|
| 呼吸器 | 肺炎・喘息・COPD増悪・気胸 |
| 循環 | 心不全・ショック・出血 |
| 代謝 | DKA・敗血症・乳酸アシドーシス |
| 中枢 | 脳血管障害・薬物・不安 |
この4つで考えると、アセスメントが整理しやすくなります。
医師へ報告すべきタイミング
以下のような場合は、早めの報告が必要です。
- 呼吸数が急に増えた
- 30回/分以上
- SpO₂低下を伴う
- 意識レベル変化
- 血圧低下や頻脈を伴う
呼吸数増加は、急変の入り口になることがあります。
「ちょっと速いだけ」と見逃さないことが大切です。

だから「ちょっと速い」を見逃さない看護が大事なの😊
看護実践のポイント
呼吸数増加を見たときは、
- 呼吸パターンの観察
- バイタルサインの再測定
- 原因の推定
- 必要時の早期報告
この流れを意識すると、急変対応の質が上がります。
「急変に気づける看護師になりたい」と思うこと、ありますよね。
でも実際には、忙しい病棟では呼吸管理を丁寧に学べる環境ばかりではありません。
もし今の職場で
- 教育が少ない
- 急変対応をしっかり学べない
- 先輩に相談しづらい
と感じているなら、教育体制の整った職場を知っておくのもひとつの方法です。
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よくある質問(FAQ)|呼吸数増加について
呼吸数20回以上は異常ですか?
成人の安静時呼吸数は一般的に12〜20回/分とされています。
そのため安静時で20回を超える呼吸は「頻呼吸の可能性」として注意が必要です。
特に普段より明らかに増えている場合や、SpO₂低下・意識変化などを伴う場合は原因検索と早期報告を検討します。
発熱すると呼吸数は増えますか?
はい、増えることがあります。
体温が上昇すると視床下部の体温調節中枢が刺激され、その影響が呼吸中枢にも伝わるためです。
また代謝が亢進し酸素需要が増えることから、体熱放散と酸素供給を補うために呼吸数が増加します。
呼吸数だけ増えてSpO₂が正常でも大丈夫ですか?
必ずしも安心とは言えません。
SpO₂は「現在の酸素化の状態」を示す指標ですが、呼吸数増加は代償反応として先に現れることがあります。
つまりSpO₂低下の前に呼吸数が増えるケースもあるため、軽視せず原因を考えることが大切です。
頻呼吸と過換気の違いは何ですか?
頻呼吸は呼吸回数が増えた状態を指します。
一方、過換気は必要以上に換気量が増えて二酸化炭素が低下する状態を意味します。
つまり頻呼吸は「回数」、過換気は「換気量」に注目した言葉で、臨床では区別して考えると理解しやすいです。
呼吸数増加はどのタイミングで報告すべきですか?
以下のような場合は、早めに医師へ報告することが推奨されます。
- 呼吸数が急に増えた
- 30回/分以上
- SpO₂低下を伴う
- 意識レベル変化
- 血圧低下や頻脈を伴う
呼吸数増加は急変の早期サインであることも多いため、迷ったときは早めに相談する姿勢が大切です。
✅まとめ|この記事で学べる呼吸数増加の原因
この記事での再重要部位👉
- 呼吸数増加は呼吸器だけでなく、循環・代謝・中枢の異常も反映する
- 安静時20回/分超は要注意、30回/分以上は特に早期報告が必要
- SpO₂が正常でも安心せず、全身状態を含めてアセスメントする
記事のまとめ
呼吸数増加は、ただ「呼吸が速い」というだけではありません。
体のどこかで酸素需要・循環・代謝のバランスが崩れているサインとして現れていることがあります。
特に看護師は、SpO₂や血圧が大きく崩れる前の“最初の変化”として呼吸数に気づけるかが大切です🩺
「ちょっと速いかも」で終わらせず、呼吸の深さ・リズム・努力呼吸・意識・脈拍・血圧まで広く見られると、急変の早期発見につながります。
呼吸数は地味に見えますが、実はとても大事なバイタルサインです。
今日からぜひ、数だけでなく意味まで考える視点を意識してみてくださいね😊
引用
- 医学書院. 呼吸数増加と全身状態の関連について.
- 日本内科学会. 呼吸器症候群(呼吸困難など)の身体所見.
- 日本集中治療医学会. ARDS診療ガイドライン.
- 呼吸ケア・リハビリテーション学会. 呼吸状態評価に関する研究報告.
- 日本緩和医療学会. 呼吸困難診療ガイドライン.
参考
- 看護roo! 呼吸数が増える原因.
- 看護roo! 呼吸の生理と呼吸中枢.
- コニカミノルタ医療サイト. 呼吸数の基礎知識.
- 東京呼吸器内科クリニック. 呼吸数と肺炎重症度.
- 看護のお仕事. 呼吸数観察のポイント.
