
看護師は副業できないって本当なのか、副業に向いている職種はあるのかといった疑問を持つ看護師の方も多いのではないでしょうか。
まず、副業ができるかどうかは職場の就業規則によるので、副業が認められている場合は、副業を通して収入アップができます。
職種によっては、看護師のスキル以外の新たなスキルを習得できる可能性もあります。
看護師の仕事以外にやりがいを感じ、新たなキャリアのきっかけになることも。
メリットがあります。
禁止さえされていなければ、副業は有益に働くことが多いのでぜひメリットやデメリットを知って検討する材料にしてくださいね。
今回この記事では、
・看護師が副業する方法とおすすめの職業
・税金など副業をするにあたっての注意点
などを解説します。
副業に少しでも興味のある方は、ブックマークをしていつでも見返せるようにしておきましょう!
看護師が副業NGと言われる理由
看護師の副業が禁止される理由の多くは
・法律上の理由
・病院の規則
この二つによるものがほとんどです。
規則の場合は、業務への影響なども考慮されていると考えられます。
公務員看護師であるか否かも、法律上で副業が禁止される大きな要因となっています。
ただし、営利目的ではない一部の副業であれば認められる可能性もあるので確認しておきたいところです。
公務員看護師の場合は人事院規則で厳しく制限される
国立・都道府県立・市区町村立の病院や保健所に勤める看護師は公務員看護師と呼ばれ、公務員に該当します。
そのため、国家公務員法や地方公務員法により副業が禁止されているのです。
公務員は「営利目的での活動を行ってはならない」と定められているため、副業は就業先以外における営利目的の活動に該当すると考えられ禁止となっています。
例外として、投資信託や株式の売買、不用品の売却など営利目的ではない一部の副業は認められています。
これらは国家公務員法第103条や地方公務員法第38条などで定められています。
本業へのリスクを避けるため
副業によって疲れが残ったり注意力散漫になるようなら、インシデントや医療ミスにつながる恐れがあるとして副業を禁止している病院もあります。
また、体力的な業務への影響に加えて、副業によって精神的・肉体的に疲労が蓄積され、業務に支障をきたす可能性があるので禁止となることも。
他にも、副業によって企業機密などの情報が漏洩する可能性や病院の信用や名誉を傷付けるような副業は許可されにくい傾向にあります。
看護師が副業を始める方法
まずは、職場への確認が最初になるでしょう。
その上で、副業を探したり、どんな副業が良いかなどを検討することになるので、求人サイトや人材マッチングサービスを利用するのも手です。
手順としては
・職場が副業できるかの確認/副業のできる職場で働く
・どんな副業にするかの検討
が大きく流れとして挙げられます。
副業OKの職場で働く 職場への申請や就業規則のチェック方法
民間病院やクリニック勤務の看護師は就業規則で副業を禁止されていないのであれば、副業を始めることができます。
就業規則は組織内で守るべきルールを定めたものなので、違反すると懲戒処分を受ける可能性もあるので、規則内で副業をすることになります。
就業規則に記述がない場合は、念のため上司に相談してから副業をスタートするのが無難です。
というのも、内緒で副業したことがバレてしまうと、病院によっては減給や停職などの処罰を受ける可能性があります。
減給や停職以上に周囲からの信用を失うことになるので、ルールや規則の範囲内で行いましょう。
今後のキャリアに悪影響が出る可能性もあるため可否の確認は怠らずに。
副業がOKとされていても、副業を始めることで本業に支障が出てしまうのは本末転倒なので、体力、気力ともに無理のない範囲で行うことを心掛けましょう。
厚生労働省がモデル就業規則から副業禁止の記述を削除したこともあり、今後は副業可能な病院が増えていく可能性があります。
求人サイトやマッチングサービスを利用して副業を探す
看護師は専門職なので、専用の転職・求人サイトが充実していることも多いので、自分のスキルや希望する条件に合った案件を継続的に受けられるサービスに登録するのも良いでしょう。
看護師専門の求人サイトや転職エージェントを利用するメリット
・看護師に特化した求人が揃っている
・面接対策など手厚い支援サービスが受けられる
・日程調整や履歴書作成のサポートに対応してくれるエージェントも
一般の求人サイトを利用するメリット
・時間に縛られず、好きな条件で調べられる
・場所や働き方、仕事の選択肢も広がっている
副業を探す際には、サイトによって取り扱う求人数や種類に違いがあること、複数のサイトを登録しておいて新鮮な情報やサポートを受けられるようにしておくなどの副業を上手に探すためのポイントがあります。
本業とのバランスを取るために、あらかじめ時間の調整を行うことも忘れずに。
副業するメリット
看護師が副業することで
・収入を増やすことができる
・本業の辛さを忘れられる
・キャリアアップにつながる
などのメリットが挙げられます。
一つずつ見ていきましょう。
収入が増える
働く時間が増えるのでそれに伴い、収入が増えることは言うまでもありません。
ただ、看護師の資格を活かした仕事で副業を行うと、より高収入な副業ができる可能性が高まります。
例えば、夜勤のパートであれば大都市での勤務であれば1回の勤務で数万円もらえることもあります。
夜勤は体への負担もありますが、スポットで数回などと体力や精神面と相談して行えば効率よく稼ぐことができるのです。
本業を忘れることができる
副業することで、本業のストレスを緩和することができる場合もあります。
ストレス緩和につながる理由として
・本業とは異なる環境で働くことで、気持ちが切り替わる
・興味がある分野での副業にやりがいを感じ、心のリフレッシュになる
などが挙げられます。
本業の大学病院は厳しい先輩がいて、気を遣わないといけないことが多く、職場の雰囲気が良くなくギスギスした人間関係にストレスを感じ、休みの日も嫌な思いを引きずって落ち込むことがある。
しかし、副業で訪問介護の単発派遣の仕事をしたところ、利用者さんから感謝されたり頼られたりと心が温かくなる出来事があったり、人間関係も本業とは違う雰囲気で居やすい。
本業が休みの日にストレスを感じない副業をすることで、日頃から気持ちを切り替えられるようになることもあります。
キャリアアップ
持っている資格や経験を活かせるかどうかを確認するなど副業も上手く選べば、自身のキャリアアップにもつなげることができます。
基本的に未経験の業種で副業を始めると、稼げるようになるまで時間がかかってしまいます。
ですが、看護師資格など専門性の高い資格や経験を活かせれば、スタート時から高時給を得ることも可能です。
副業で稼げるようになるまでの負担も少なくなります。
また看護師の資格や経験を活かせるものだけでなく、培ってきたコミュニケーションスキルや事務スキルなども強みになることも。
自分が進みたい道に必要な強みを分析するのも大切です。
長所や特技を活かせる副業なら、未経験でも結果を出しやすくなります。
おすすめの副業
副業と言ってもさまざまなものがあります。
・夜勤のアルバイト
・単発のイベントナース
・訪問看護
・データ入力やライター
など看護師の経験を活かせる副業も多くあります。
詳しく見ていきましょう。
本業にバレづらい在宅ワークの副業例
許可を得て副業をしていても同僚や上司にあまり知られたくないこともあります。
夜勤専従看護師のアルバイト・パート
まず、深夜割増料金で昼間より時給が上がるため高収入を狙えます。
夜勤専従看護師とは夜勤専門で働く看護師のことで日中の看護業務と大きな違いはなく、病棟の巡回やナースコールの対応や患者の健康管理などを主に行うので、新しく覚えることも少ないです。
ただ、緊急対応が求められることもあるため、臨機応変な適応力を身につけられる点が魅力です。
やはり、夜勤は生活リズムが不規則になり体調を崩しやすいことから、体力と相談しながら行う必要があるでしょう。
本業の病院で夜勤をしたくない、日中のクリニック勤務で月に数回だけ夜勤をしたいなどニーズによって回数も場所も選ぶことができます。
イベントや健診センターなどの単発の看護師
単発や短期での副業を探したいなら、イベントナースや健診センターでの勤務を検討してみましょう。
イベント看護師は、スポーツ大会などイベント会場での救護班・医務室での応急処置や、遠足や修学旅行で付き添いの看護を行う仕事です。
急患への対応力が必要ですが、それ以外はイベントの雰囲気を楽しめる点が魅力です。
イベントの開催時間、期間にもよりますが、比較的1回の勤務時間が長くなる傾向にあるので、時給も高く1日で高額を稼げるところも魅力でしょう。
休日に行われるイベントでの求人も多いので、1日から数日程度の単発案件や土日祝日の案件が多いのが特徴です。
そのためお金が必要なときだけ働きたい人や、本業が土日休みの人に向いています。
学校や企業、健診センターで行われる健診を補助する仕事が検診業務に当たります。
患者さんの容体が急変したり、命に関わる業務を行ったりすることがないのも穏やかに働ける要因で、問診や血圧などの測定、検査補助など、病院勤務の基礎知識や経験が活かせるような業務が多くを占めています。
加えて、比較的仕事の体力的負担が少ない点が大きな魅力になるでしょう。
こちらも単発や短期の求人が多いため、本業のシフトが不規則な場合でも日程を合わせやすく気軽に始められます。
さまざまな検査を行うことから、健診看護師としての経験やスキルも身につきます。
訪問看護師のアルバイト・パート
訪問看護師は、施設や患者さんの自宅へ訪問し、入浴や看護などケア業務を行う仕事です。
看護師ならではの経験やコミュニケーションスキルを活かせることから、業務に慣れるのが早いのはもちろん、時給も比較的高いため、短時間でも効率的に稼げるところが魅力です。
コミュニケーションを取るのが好きな人や、介護や福祉に詳しくなりたい方にピッタリな副業です。
デイサービスで利用する患者さんを担当すればレクリエーションを一緒に行えたりと利用者さんとの交流を楽しめるケースも多くなります。
ただ、日勤での求人が多いため、本業の休日に勤務する、夜勤専従の案件を探すなどの工夫をする必要があります。
日勤の副業を探している人や、介護スキルを高めたい人にはうってつけでしょう。
データ入力やWebライター
リサーチ力や文章力が必要とされるので、調べ物をするのが好きな人や文章を書くのが好きな人、看護師の資格や経験を活かしつつ自宅で稼ぎたい人は看護師ライターがおすすめです。
PCやスマホさえあればスキマ時間を使って作業ができるので、シフトが不規則な人でも取り組みやすいのが特徴です。
ただ、仕事を始めたばかりの頃は看護経験があってもライターとしては未経験と判断されることも多く、低い単価で仕事を引き受けなければならないケースが多いです。
そのため、稼げるようになるまで時間がかかる点には注意しましょう。
PCやスマホでできる副業を探しているのであれば、動画編集なども検討してみてください。
動画編集はYouTuberの企画や結婚式で使われる動画に、テロップやBGMを挿入したりカットしたりして編集する仕事で、近年需要が高まっています。
なので、求人数も多く、副業にしやすいところが魅力のひとつです。
隙間時間に自宅でコツコツと作業できるため、シフトが不規則な看護師でも始めやすい副業ではないでしょうか。
こちらもスキルが身につくまではあまり稼げないので注意が必要です。
動画編集は細かい作業が多いことから、地道な作業が得意な人に向いているでしょう。
副業するうえで気をつけたいこと
副業が就業規定や公務員であることなどが理由で禁止されているのに行ってしまっては、本業を失う可能性もあり、本末転倒です。
副業のやり方次第では、キャリアへの影響も考えられるので副業をするならリスク回避をしながら行いましょう。
・副業自体が禁止でないか
・制約はどのくらいあるか
・税金対策は?
・本業とのバランスはとれているか
など副業をする際に気を付けることはたくさんあります。
住民税からバレる?副業時の税金対策
副業による所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
確定申告とは、1年間の所得から納税額を計算して国に報告する作業のことで、所得は収入から通信費や交通費などの経費を引いた額であり、稼いだ総額を指すわけではないので注意が必要です。
副業の所得がある場合には確定申告の有無に関わらず、住民税額が増えて会社にバレてしまうことがあるため、住民税を自身で納付する普通徴収を選ぶのが無難です。
住民税の額が高くなることで、勤務先に副業がバレるケースも多いようです。
基本的に最も給与を多く支払っている企業が給与から住民税を天引きするためです。
そのため、副業により所得が増えると、住民税の所得割の額が高くなったことが、本業の経理担当者が住民税を納付するタイミングで気づかれてしまうことがあります。
そこで、副業の住民税を普通徴収にするためには、確定申告で第二表の「住民税に関する事項 住民税の徴収方法」で「自分で納付」に〇をつけると自分で納付することができます。
ただ、副業がアルバイト・パートの場合は普通徴収ができない可能性が高いので要注意です。
確定申告をしなければ、期限までに納付できないときに発生する延滞税や、申告の隠ぺいや怠りに対して発生する重加算税などが税務署から課される恐れがあるので必ず行ってください。
ペナルティを受けてしまえば、せっかく稼いだその努力が無駄になってしまいます。
詳しい申請方法を知りたい人は国税庁のサイトもチェックしてみてください。
資格を活かせるかどうか
看護師資格は国家資格です。
副業と言えど、これまでの経験や知識が活かせるものがおすすめです。
もちろん、息抜きにまったく違う職種を行うこともありますし、キャリアプランを考える上で徐々に多職種に移りたいこともあるので、一概に資格を活かせる副業をしなくても構いません。
ただ、収入を増やしたい、経験を深めたいなど看護師としての成長や収入増を希望する場合には、資格が活かせる副業を行うと良いでしょう。
副業での経験が昇進や昇給に有利に働く場合もあります。
本業に支障をきたさない
当たり前ですが、本業に影響が出ないように注意する必要があります。
体調不良や集中力の低下によって、本業の勤務に支障をきたすと、本業を失うことにつながる可能性があります。
本業に影響が出ないよう副業を行うポイントとして
・本業、副業ともに業務量や業務内容を調整し、無理のない範囲で働く
・夜勤明けの疲れた状態で体力を大きく消耗するような副業を避ける
・自分の体力や体調、時間をしっかり管理する
・1回の副業での勤務時間の長さや働く頻度を考えて副業を決める
これらを意識して本業に影響がでないよう努めましょう。
公務員看護師が副業を始めて上手くいった事例
収入が増えて時間が生まれた例をご紹介。
Aさんの場合
副業を始めた理由:看護師として働き続ける中、今後もよりよい看護師となるため、現職以外の科で働いてみたいと思ったことがきっかけで、今の環境を大きく変えることのない、違う経験も積める副業を探す。
しっかりと勤務先を吟味して、面接時にはWワークが可能であり、勤務日数も調整したい旨を伝え、希望通りの兼業先を見つけ副業開始。
副業を始めてみて:働き始めは少し辛いと思うこともあるが、本業とのバランスを都度見直してシフトを合わせていけば、無理なくWワークを行えるようになった。
多少休日は少くなったが、日々学ぶことも多く、成長しているという実感を持ちながら働くことができている。
看護師をWワーク先に選んだ結果、想像以上に収入も増え充実している。
Aさんの場合、
・勤務時をイメージした職場選び
・給与と業務のバランス
をきちんと意識して副業を選んだことが成功した要因だと分かります。
本業の職場、副業の職場それぞれでWワークが可能かどうかもしっかり把握して勤務先を選ぶようにしましょう。
割合は少ないとはいえ、副業の影響は本業にも多かれ少なかれはありますが、必ずといっていいほど出てきます。
何が重要なのかということを見失わないことが大切です。
まとめ
看護師が副業を検討する際は
・副業が禁止されていないか確かめる
・本業に支障をきたさないこと副業であるかを最優先で考える
・看護師としてのスキルと知識を活かし高収入が得られる副業は多い
・最近では在宅ワークの副業もあるので隙間時間でも副業ができる
・税金対策も怠らない
まずは、副業ができる職場かの確認、そこから自身のニーズに合わせた副業を選ぶといいでしょう。
収入を上げることもスキルを上げることもできるので、ルールに従い上手に副業も利用していきましょう。