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短期離職は不利じゃない―4か月で急性期病院を辞めた新人看護師が見つけた突破口

「しごと・レトリバー」は、看護・介護・薬剤師など現場で働く方々に向けて、転職・キャリアの“リアル”を届けるメディアです。
今回お話を伺ったのは、新卒で急性期病院に入職し4か月で退職という決断を下したのち、ワークライフバランス重視の職場への転職に成功し、現在は「看護師ライター」としても活躍するMIOさんです。

「新人はまず急性期で3年」という通説。
けれど、サービス残業や人間関係で心身がすり減るなら――我慢だけが正解ではないのかもしれません。
MIOさんは率直に“無理”を認め、環境を変える選択をしました。その結果、残業ゼロ/有休消化率100%/年収アップを実現し、家族との時間も取り戻しています。

本インタビューでは、社会人から看護師を目指した原点急性期の現実と4か月で退職に至るまで退職代行の具体的な流れ短期離職でも内定を得られた面接の向き合い方、そして「新人でも転職していい」という力強いメッセージまで、MIOさんのリアルを余すことなくお届けします。

「経歴に傷がつくのでは?」と不安で足が止まっているあなたへ。
キャリアは一本線ではなく、あなたの健康と尊厳を守るための“分岐点”がいくつもある――そのことを、MIOさんの選択が教えてくれます。

まずはご経歴から

しごレト編集部:今日はお時間をいただきありがとうございます! まずはMIOさんのこれまでのご経歴を簡単に教えていただけますか?

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MIOさん:
はい。私はもともと社会人として医療事務の仕事をしていたのですが、患者さんの力になりたいという思いから看護師を志し、看護学校を卒業しました。新卒では急性期病院に就職しましたが、サービス残業や人間関係のストレスが重なり、4か月で退職したんです。その後、転職活動を経てワークライフバランスを大切にできる慢性期病院に転職し、残業なし・有給消化率100%の環境で働きました。現在はその経験を活かして「看護師ライター」としても活動し、看護師の転職や働き方に関する情報を発信しています。

しごレト編集部:社会人から看護師を目指し、急性期病院での厳しい経験を経て、ホワイトな職場に転職。さらに看護師ライターとして新しい道を切り開いている…その歩み自体が、とてもドラマチックですね。看護師という仕事を軸にしながら、働き方を自分らしく作り上げてこられたMIOさんだからこそ、同じように悩む新人看護師に響くお話がたくさんありそうです。

1. 社会人から看護師になろうと決めたきっかけ

しごレト編集部:まずは、看護師を目指した原点から教えてください。 社会人からのチャレンジって大きな決断ですよね。どんなきっかけがあったんですか?

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MIOさん:
元々クリニックで医療事務をしていたのですが、一緒に働いていた看護師の方の仕事をみているうちに「私も患者さんに何かできたらな」と思うようになりました。
弟が大きな怪我で入院した際、弟は幸い命も助かり、後遺症もなく半年ほどで退院。
当時はよくお見舞いに行っていたのですが、その時に担当の看護師さんとの関わりを通し、さらに看護師になりたいという気持ちが強くなりました。
その後医療事務として患者さんと関わる中で、やはり私は看護師になって患者さんの役に立ちたいと思ったため、受験して看護師を目指すことにしました。

しごレト編集部:医療事務の経験から「私も直接ケアしたい」という気持ちが芽生えて、弟さんの入院と担当看護師さんとの出会いがその想いを後押ししたんですね。 家族の出来事と日々の仕事がリンクして、「やっぱり看護師になりたい!」という気持ちが固まった瞬間があったのがよくわかります。

2. 急性期病院で働き始めて、一番辛かった経験は何ですか?

しごレト編集部:新人看護師としてのスタートは本当に大変だったと伺いました。 急性期病院での4か月間、特に「これはきつかった」と感じたのはどんなことでしたか?

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MIOさん:
残業や休日の研修・カンファレンスの参加などで自由な時間がかなり少なくなってしまったことです。
急性期病院だと患者さんの情報収集のために実際の勤務開始時間より早くに出勤する必要があるのですが、私の勤務先は敷地がかなり広く、移動だけでも時間がかかる上、受け持ち数が多かったので始業開始時刻の1時間半前くらいには出勤していました。
朝だけでなく後残業も毎日2〜3時間は当たり前で「一年目は残業代はつかない」という暗黙ルールがありました。
看護の仕事は好きで患者さんとの関わりも大切にしていましたが、サービス残業のために朝早く起きて帰りも遅く、給料も少ないので、やりがいが感じられなくなってしまいました。

しごレト編集部:1時間半前出勤に2〜3時間の残業、しかも残業代なし…まさに体力も気力も削られる毎日ですね。 看護の仕事自体が好きでも、その環境ではやりがいを感じにくくなってしまうのは当然だと思います。 仕事そのものより、環境そのものが大きな壁になってしまった様子がよく伝わってきます。

3. 4か月で退職を決意された理由を教えてください

しごレト編集部:入職から4か月という早さで退職を決めるのは、相当な覚悟が必要だったと思います。 どんな経緯や気持ちの変化があって決断に至ったのでしょうか?

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MIOさん:
残業や人間関係のトラブルなどで体調に支障が出たため、退職を決意しました。
勤務が始まって2ヶ月ほどした頃、夜間ベッドに入って眠ろうとすると「ドクドク」と聞こえてくるほどの動悸がするようになり、なかなか寝付けず睡眠時間が2〜3時間になってしまいました。
日中はぼーっとすることが増え、言葉がどもって出にくくなったり、わけもなく急に涙が出るようになってしまいました。
平日は仕事で休めなかったため病院には行っていませんが、自分でも自律神経や精神に異常が出ていることがわかり、このまま勤務を続けても患者さんに不利益を被るかもしれない、私も少し休んだり病院に行ったりしたいと思い、退職を申し出ました。

しごレト編集部:眠れないほどの動悸や突然の涙…読んでいるだけで胸が締め付けられます。 心身の限界を感じながらも、自分だけでなく患者さんを守るために動いたその判断は、とても勇気のいるものだったはずです。

4. 退職代行を利用されたとのことですが、どのくらいの期間・流れで退職が完了したのか教えてください

しごレト編集部:体調が限界の中、辞める意思を伝えても受け入れてもらえないのは本当に辛かったと思います。 実際に退職代行を利用してからは、どのような流れで退職が進んでいったのでしょうか?

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MIOさん:
2週間で退職できました。
体調不良を理由に退職を申告してもなかなか辞めさせてもらえず、師長や看護部長に呼び出され、何度か面談をしました。
運転できないほど体調が悪かったのですが受け入れてもらえず、到底辞めさせてもらえそうにありませんでした。
結局、自分ではどうにもできないと思い、退職代行に相談しました。
退職代行に依頼してからは2週間で退職できたのですが、その間は出勤しなくてもいいよう担当の方が手続きをしてくれたので、私は休養を取りながら退職することができました。

しごレト編集部:退職を望んでも、何度も面談に呼ばれたり、受け入れてもらえなかったりするのは本当に消耗しますよね。 退職代行を活用したことで、出勤せずに体を休めながら手続きを進められたのは大きかったのではないでしょうか。 体調を守りつつスムーズに退職できたことは、次の一歩への大切な準備期間になったはずです。

5. 短期離職で転職活動を始める際に、一番苦労した点・不安に思った点は何でしたか?

しごレト編集部:新卒わずか4か月での転職活動となると、求人の幅も狭まりそうですし、不安も大きかったのではないかと思います。 実際に動き出してみて、一番大変だったことや心配だったことは何でしたか?

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MIOさん:
なかなか理想の職場が見つからなかったことです。
当時は一年目でたった4ヶ月で辞めてしまったので、経験が浅く転職先がかなり限られていました。
ハローワークにももちろん行きましたし、転職サイトにもたくさん登録しましたが、自分の経歴でも受け入れてくれて条件に合う職場はなかなか見つかりませんでした。
奨学金の返済も抱えていたため早く転職先を見つけたかったので、かなり焦っていたことを覚えています。

しごレト編集部:経験の浅さゆえに選択肢が限られる上、奨学金の返済というプレッシャーもあったのですね。 「早く次を見つけなきゃ」という気持ちと、理想の職場を見つけたい気持ちの間で、心が落ち着かない状況が伝わってきます。 その中でも転職サイトやハローワークを活用して動き続けた行動力は、次のステップにつながる大きな力になったのではないでしょうか。

6. 面接では退職理由をどのように聞かれ、どう答えましたか?印象に残っているやり取りがあれば教えてください。

しごレト編集部:4か月での退職となると、面接で必ず「なぜこんなに早く?」と聞かれそうです。 答え方に悩む方も多いと思うのですが、MIOさんはどのように伝えたのでしょうか?また面接官の反応はいかがでしたか?

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MIOさん:
5箇所ほど面接に行き、どの病院でも「なぜこんなに早く辞めたのですか?」という感じで聞かれたのですが、いずれも正直に答えました。
面接に行くまでは早期離職したことをとがめられるだろうと覚悟していたのですが、どの病院でもそのようなことはなく、すんなり受け入れてもらえたことに驚きました。
むしろ「大変でしたね」「うちの病院は残業代はしっかり払いますから、安心してくださいね」など優しい言葉をかけて頂き、結果的に面接を受けた全ての病院で内定をもらうことができました。

しごレト編集部:率直に理由を話したことが、かえって信頼感につながったのかもしれませんね。 早期離職を責められるどころか「安心してください」と声をかけてもらえたのは、想像していた不安を大きく覆す体験だったと思います。 「正直に伝えることはマイナスにならない」という実体験は、同じように短期離職に悩む看護師さんにとって大きな勇気になりそうですね。

7. 多くの転職サイトを利用されたとのことですが、「このサイトは役立った/この担当者は良かった」など、比較して特に感じたことがあれば具体的に教えてください。

しごレト編集部:たくさんの転職サイトを使われたと伺いましたが、それぞれ対応や紹介内容に違いがありそうですね。 「ここは助かった」「この担当者は頼もしかった」など、印象に残っていることがあればぜひ教えてください。

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MIOさん:
ネットで検索して上位に出てくる転職サイトはほぼ使いました。ただ、広告の好条件求人は「埋まった」と言われ希望に合わない職場を紹介されたり、連絡がしつこいサイトもありました。
転職経験のある看護師が書いているブログで紹介されていた転職サイトに登録したところ、頼もしいキャリアアドバイザーさんに出会え、経験の浅い私の希望条件を丁寧に聞いてくださり、最後まで私に合う病院を探してくれました。最終的に残業なし、人間関係良好で年収も大きく上がるホワイト病院を紹介してもらえました。
この経験から、転職サイトは実際に使った人の体験談や口コミを元に選ぶことが重要だと学び、ブログ「MIOBLOG」で私の体験談を発信することにしました。

しごレト編集部:実際に使ったからこそわかるリアルなギャップですね。 広告の条件が実際には存在しなかったり、希望と合わない職場ばかり紹介されたり…あるあるすぎて分かります。 信頼できるキャリアアドバイザーさんに出会えたことが転職成功の大きな鍵になりますよね。

8. 新しい職場(現在の職場)で改善されたと思うことは何ですか?(残業、人間関係、働き方など)

しごレト編集部:早期離職からの転職で、今の職場は本当に大きな転機になったのだと思います。 残業や人間関係、働き方の面で、実際どんな変化がありましたか?

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MIOさん:
私の転職先はワークライフバランス重視の慢性期病院で、残業なし、有休消化率100%だったため、プライベートの時間を大切にできるようになりました。
前の職場で悩んでいた「手当のつかない朝残業」も全くなかったため、朝は申し送りが始まる30分前までに余裕を持って出勤し、定時ぴったりに退勤することができるようになりました。
また、業務が落ち着いているからかスタッフも穏やかな人ばかりで、わからないことには笑顔で答えてもらえ、休日も集まってお茶をするような先輩たちに恵まれました。
年収も100万円近く上がって奨学金も負担なく返済でき、快く有給を使わせてもらって家族と海外旅行することも叶いました。
結果的に、働き方・人間関係・給与面全てが改善されたと感じています。

しごレト編集部:まさに環境が180度変わった感じですね。 残業ゼロに有休消化率100%、しかも人間関係まで良好なんて…理想のホワイト職場そのものです。 年収も大幅アップして奨学金の返済や海外旅行まで叶ったと聞くと、転職でここまで人生が変わるのかと驚かされます。 「自分に合った職場を選ぶ大切さ」を強く感じさせるエピソードですね。

9. 「新人は最低3年は勤めるべき」という考えについて、MIOさんはどのように受け止めていますか?

しごレト編集部:看護学校や現場では「まずは急性期で3年」とよく言われますよね。 新人は最低3年は勤めるべき、という考えについて、MIOさんはどんなふうに感じていますか?

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MIOさん:
「まずは急性期に3年」と言われますが、新卒で急性期に就職し慢性期に転職した私は「無理をして合わない職場で我慢することはない」と感じています。
看護師が働く職場には急性期のほか回復期、慢性期、訪問看護、施設とさまざまなフィールドがあり、それぞれに看護師の役割があります。急性期では幅広いスキルが身につきますが、慢性期でも医療依存度の高い患者さんはおり、必須スキルを身につけることができます。
残業代が出なかったり、いじめが横行したりしているような職場で我慢する必要はありません。急性期、慢性期に関わらず、頑張りを正当に評価してくれる職場で働くことが大切だと思います。

しごレト編集部:「最低3年」という言葉に縛られなくていい、というメッセージがとても響きます。 どの分野にも看護師としての役割があり、慢性期でも十分スキルを磨けるという具体的なお話は、新人さんにとって心強いはず。 何よりも大切なのは、職場があなたの頑張りを正しく評価してくれるかどうか――その視点は、多くの新人看護師にとって転職を前向きに考えるきっかけになりそうですね。

10. 今まさにブラックな環境で悩んでいる新人看護師に、伝えたい一番のメッセージは何でしょうか?

しごレト編集部:最後に、同じようにブラックな環境で悩みながらも「辞めていいのかな」と踏みとどまっている新人看護師さんも多いと思います。 そんな方へ、MIOさんが一番伝えたいメッセージをお願いします。

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MIOさん:
「新人看護師でも転職していいんだよ」「あなたに合った働きやすい職場もあるんだよ」と伝えたいです。
看護の現場は人手不足で忙しく、正当な扱いが受けられなかったり、残業しても手当がつかなかったりすることもあります。
中には新人看護師をいじめるような先輩がいる職場もあるかもしれません。
看護師は責任感が強く真面目な人が多いですが、心身を壊してまで我慢する必要はないと思います。
私は一年目でブラック病院から働きやすい職場へと転職し、その後家庭の事情で在宅勤務をしなければならなくなったため、現在は「看護師ライター」として資格を活かして自由に働いています。
看護師になったからといって必ずしも辛い職場で我慢したり一生病院で働かなければならないということはありません。
まずは辛い気持ちを自分で受け入れ、自分に合った環境で働くことを考えてみてくださいね。

しごレト編集部:「新人でも転職していい」――その言葉、きっと多くの方の心を軽くしてくれます。 看護師=病院勤務一択、という固定観念を壊してくれるMIOさんの生き方も、とても勇気づけられますね。 自分に合った職場や働き方は必ずどこかにあるし、資格を活かして病院以外で活躍する道もある。 悩んでいる新人さんにとって、大きな一歩を踏み出す背中を押してくれるメッセージですね。

MIOさんの経験が示す「自分らしい働き方」への道

MIOさんのインタビューを通して強く感じたのは、「看護師はまず急性期で3年」という固定観念を手放していいということでした。
新人で4か月という短期離職は、多くの人にとって「次は決まるのか」「経歴に傷がつくのでは」と不安を与えがちです。しかしMIOさんは、ブラックな環境で心身を壊す前に退職を選び、正直にその経緯を語りながら転職活動を進め、むしろすべての面接先で内定を得るという結果を出しています。
現在はホワイトな慢性期病院で、残業ゼロ・有休消化率100%・年収アップという理想的な環境を実現。
そのうえ家庭の変化に合わせて「看護師ライター」という新しい道を切り開き、病院勤務に縛られない自由な働き方を楽しんでいます。
この姿は、「新人でも転職していい」「自分に合った職場は必ずある」という力強いメッセージそのもの。
看護師としてキャリアを積む方法は一つではないし、病院勤務が全てでもない――MIOさんの選択はそれを証明しています。
もし今、過酷な勤務や人間関係に苦しみ「3年は頑張らなきゃ」と自分を追い詰めている新人看護師さんがいるなら、
「我慢しない選択」も立派なキャリアの一歩だと、MIOさんの物語がそっと背中を押してくれるはずです。

プロフィール

MIO

社会人から看護師になり、新卒で急性期病院に就職。サービス残業の多さや悪質な人間関係に悩み、4ヶ月で退職。難航した転職活動の末、ワークライフバランス重視のホワイト病院に転職する。現在はより自由な働き方を実現すべく「看護師ライター」として活動中。

新人看護師の転職ブログ:https://mio8088.com
看護師ライターについてのnote:https://note.com/honest_violet472

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