「正社員としてバリバリ働いてきたけれど、心も体もすり減ってしまった」「人間関係に疲れたけど、薬剤師の仕事は嫌いじゃない」――そんな思いを抱える薬剤師さんも少なくありません。
今回お話を伺ったのは、管理薬剤師としての経験を経て、現在は派遣薬剤師として活躍している マキさん。
“自由に、自分らしく働ける今が一番心地いい”と語る彼女に、
正社員から派遣に切り替えた理由や、実際に感じたメリット・デメリット、そしてこれからの働き方について聞きました。
自己紹介
しごレト編集部:まず、マキさんの自己紹介を簡単にお願いします。

マキさん:
薬剤師歴は10年未満で、現在は派遣薬剤師として働いています。
正社員時代には外来・在宅業務を経験し、その後は管理薬剤師として勤務していました。
今は2つ目の派遣先で働いています。
しごレト編集部:管理薬剤師、正社員、派遣――それぞれを経験してきたマキさん。働き方を変えていく中で、どんな気づきや変化があったのでしょうか。まずは「派遣薬剤師」という選択に至るまでの道のりから、じっくり伺っていきます。
1. 正社員から派遣へ
しごレト編集部:転職を考えたきっかけを教えてください。

マキさん:
正社員として2つの会社を経験しましたが、どちらの職場でも人間関係に悩んでしまって。
「もうどこへ行っても同じことの繰り返しだな」と感じ、転職活動をする気力もなくなっていました。
そんなとき、「とりあえず派遣になってみよう」と思ったんです。
最初は“合わなかったらまた正社員に戻ればいいや”という軽い気持ちでしたが、実際に働いてみると、この働き方が自分にはすごく合っていました。
しごレト編集部:最初の一歩って、案外“軽い決意”から始まるものですよね。そこから新しい道が開けていくのがリアルです。
2. 職場を変えようと思ったきっかけ
しごレト編集部:正社員を辞めようと思った一番の理由は何でしたか?

マキさん:
一番の理由は、人間関係のストレスから離れたかったことです。
会社の99%の人は本当に良い方たちでしたが、残りの1%、どうしても合わない人と関わり続けるのがバカらしく感じてしまいました。
「もう自分の人生からそういうストレスのもとをなくして、もっと明るく生きよう」と思ったんです。
派遣薬剤師になってからは、その薬局に直接雇われているわけではないので、しがらみも少なく、合わなければ契約を終えるだけ。
この気楽さが、私にとっては大きな安心になりました。
しごレト編集部:たった1%の人間関係でも、心をすり減らしてしまうことってありますよね。派遣という選択は、自分を守るための“賢い働き方”でもあるのかもしれません。
3. 想像以上に大変だった管理薬剤師の現実
しごレト編集部:管理薬剤師として働いていた頃の印象的なエピソードを教えてください。

マキさん:
管理薬剤師を引き受ける予定なんて全くなかったので、最初は本当に大変でした。
患者さん対応の合間に、本社や役所への書類を作成したり、出荷停止や出荷規制で薬が入らないことも多く、在庫管理にも追われていました。
さらに、門前のドクターとのやり取りも多く、「OTCをもっと売れ」「在宅件数を増やせ」と上からのプレッシャーもあり、正直、しんどいことのほうが多かったという印象です。
しごレト編集部:現場の仕事に加えて、経営的な責任まで背負うのは相当な負担ですね。それでもやり切った経験が、今のマキさんの強さにつながっている気がします。
4. 派遣薬剤師になった理由
しごレト編集部:派遣薬剤師になろうと思った理由を教えてください。

マキさん:
正社員としての働き方に疲れてしまったというのが一番の理由です。
人間関係にも悩みましたし、もうどの会社に行っても同じだろうと感じていました。
だからこそ、「派遣なら少し距離を置いて働けるかも」と思ったんです。
最初は軽い気持ちでしたが、実際に働いてみると、人間関係のストレスがほとんどなく、思っていた以上に快適でした。
しごレト編集部:“働き方を変える”って勇気がいりますが、その選択が心の余裕を取り戻すきっかけになったんですね。
5. 派遣として働くうえでの不安
しごレト編集部:派遣として働き始めるとき、不安に感じたことはありましたか?

マキさん:
派遣は即戦力が求められるので、自分の力が通用するのかが一番不安でした。
「迷惑をかけずにやっていけるだろうか」って。
でも、実際に働いてみると大きな問題はなく、これまでの経験がちゃんと活かせていると感じました。
強いて言えば、派遣先の忙しさには驚きましたね。「こんなに忙しい薬局ってあるの!?」と。笑
それ以外は特に驚くこともなかったです。
しごレト編集部:派遣=“即戦力”というプレッシャーは確かにありますよね。それでもしっかり対応できたのは、これまでの積み重ねがあるからこそ。
6. 変わった働き方、変わらない仕事への思い
しごレト編集部:仕事を続けようと思う理由は何でしょうか?

マキさん:
私は独身なので、仕事をしていないと社会的な価値がなくなってしまうように感じるんです。
もし子育てなどで社会に還元できていたら、薬剤師の仕事を辞めていたかもしれません。笑
でも今の私は、自分の力で働いて、自分の生活をつくっていくことが生きがいなんです。
お金がどれだけあっても、独身である限り仕事は続けていくと思います。
しごレト編集部:「仕事が自分の社会とのつながり」という言葉に重みがありますね。派遣という自由な働き方でも、芯にあるのは“プロとしての誇り”なんですね。
7. 派遣になって感じた働きやすさ
しごレト編集部:派遣として働くようになって、どんな変化を感じましたか?

マキさん:
休みが1日増えるだけで、生活の自由度が全然違います。
予定も立てやすくなったし、週に3回も朝ゆっくりできるのは本当に幸せです。笑
正社員の頃は常にスケジュールに追われていたので、“休みがある”ことのありがたさを実感しています。
しごレト編集部:心にも体にも、余白ができた感じですね。働き方が変わるだけで、毎日の幸福度も大きく変わるんだなって感じます。
8. 派遣で感じた一番のメリット
しごレト編集部:派遣として働く中で、一番のメリットだと感じる点は何ですか?

マキさん:
正社員のように「かかりつけを取れ」「在宅を増やせ」「OTCを売れ」と言われることがなく、純粋に外来業務に専念できるのが一番のメリットです。
派遣はその薬局に直接雇われていないので、本社からのプレッシャーや営業ノルマのようなものが一切ありません。
自分の業務に集中できる環境があるのは本当にありがたいですね。
しごレト編集部:“本来の薬剤師の仕事に専念できる”というのは、現場経験のある人ほど響く言葉ですね。
9. 派遣の気楽さと自由さ
しごレト編集部:派遣という働き方の気楽さや自由さを感じる瞬間はありますか?

マキさん:
一番は、合わない職場なら契約を終えればいいという気楽さですね。
時給や人間関係、シフトなど、どんなに悩むことがあっても、最終的には「契約終了すればいいか」で割り切れるんです。
退職願を書く必要もないし、履歴書に傷がつくわけでもない。
それに、今は高時給で働かせてもらっていて、正社員時代とは比べものにならないほどの収入を得ています。
精神的にも、経済的にも余裕がありますね。
しごレト編集部:“我慢せずに選び直せる”って、今の時代に合った働き方ですよね。自分の心と時間を取り戻した感じが伝わってきます。
10. 派遣のデメリットと向き・不向き
しごレト編集部:派遣のデメリットを感じたことはありますか?

マキさん:
強いて言えば、夏から秋にかけて求人が少ないことです。
ただ、私はこれまでずっと契約を継続していただいているので、特に困ったことはありません。
でも、もし“絶対的な安定”を求める人なら、派遣は向かないかもしれませんね。
安定よりも自由を選びたい人に合っている働き方だと思います。
しごレト編集部:安定と自由は、どちらも大切だけど両立が難しい部分でもありますよね。マキさんは自分の軸が明確だから、派遣という働き方を上手く選べている印象です。
11. 派遣先を選ぶときの基準
しごレト編集部:派遣先を選ぶときに、特に重視していることは何ですか?

マキさん:
時給、勤務日数、駅からの距離。この3つが私の中での絶対条件です。
他にも気になる点はいろいろありますが、実際に行ってみないと分からないことも多いので、そこは考えすぎず、まずは働いてみるようにしています。
しごレト編集部:シンプルだけど、すごく現実的ですね。“完璧な職場を探すより、自分の中の優先順位を明確にする”──その姿勢が長く続けられる秘訣かもしれません。
12. 派遣薬剤師として、これからも続けたい理由
しごレト編集部:これからの働き方について、どのように考えていますか?

マキさん:
将来のことは正直わかりませんが、今はできるだけ長く派遣薬剤師として働きたいと思っています。
それくらい、この働き方が自分には合っていると感じているんです。
正社員に戻りたいという気持ちは、今のところ全くありません。
自由に働けて、しがらみが少なくて、収入面にも満足しています。
このバランスが自分にはちょうどいいんだと思います。
しごレト編集部:“今の自分に合う働き方を選ぶ”って、シンプルだけど一番難しいこと。その答えを見つけられているのは素敵ですね。
13. 仕事と人生、ふたつの軸で生きていく
しごレト編集部:将来に向けて、どんなビジョンを持っていますか?

マキさん:
父がマンションやアパートを経営していて、いずれはその事業を引き継ぐ予定です。
薬剤師の仕事と二足のわらじで、両方をバランスよくやっていけたらと思っています。
どちらも“人と関わる仕事”という点では共通しているので、自分なりのペースで、無理なく続けていきたいです。
しごレト編集部:派遣薬剤師としての柔軟な働き方が、これからの人生設計にも自然につながっている感じですね。“仕事に縛られず、仕事を選べる生き方”がまさに理想ですよね。
最後に
「派遣=逃げ道」なんかじゃない。マキさんの話を聞いていると、そんな言葉が自然と浮かんできます。
人間関係のストレスから抜け出し、自分のペースで働く自由を手に入れたその姿は、“我慢よりも自分を大切にする選択”の象徴のようでした。
派遣薬剤師という働き方は、不安定に見えるかもしれない。
でもマキさんは言います。「嫌なら契約を終えればいい。それだけのこと」と。
その潔さの裏には、どんな環境でも通用する確かなスキルと、自分の価値を信じる強さがあります。
忙しさの中に笑いがあり、自由の中に責任があり、そして何より「自分の人生を自分で選ぶ覚悟」がある。
マキさんの生き方は、“働き方に縛られず、自分を取り戻したいすべての人”に勇気をくれるはずです。
プロフィール
マキ

調剤薬局に勤務する、薬剤師歴10年未満の派遣薬剤師。
正社員時代には、外来業務や在宅業務などを一通り経験した後、管理薬剤師として勤務。
正社員を退職したあと、派遣薬剤師として勤務をスタートさせ、現在2カ所目の派遣先で勤務中。