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介護士としての健康管理とストレス対策――こころと体を守りながら続ける工夫

介護の仕事は「体力勝負」と言われることが多いですが、実際には身体だけでなく心にも大きな負担がかかります。腰痛などの身体トラブル、夜勤やシフトによる生活リズムの乱れ、そして人間関係や責任の重さ――日々の現場で、介護士はさまざまなストレスに直面しています。

今回お話を伺ったのは、異業種から介護の道へ進み、リハビリ病院で介護福祉士として経験を積まれた カナさん。現在は別の分野で働きながらも、ブログ「介護ラボ・カナlog」を通じて介護の知識や経験を発信されています。

介護士として現場で学んだ「こころと体の守り方」、そして健康を維持しながら続けるための工夫を、リアルな経験談とともに語っていただきました。

1. 介護福祉士を目指した決め手は?

しごレト編集部:別業種で10年以上働いた後、介護の専門学校に進み介護福祉士を目指した決め手は何でしたか?

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カナさん:
前職では、全く異なる業種で10年以上就業してきましたが、母が長年介護ヘルパーとして働いていた姿を見て、人を支える仕事の奥深さや大変さ、そしてやりがいを身近に感じてきました。
特に、母が「ありがとうと言われるのが何よりうれしい」と話していたのが印象的で、自分も人の役に立てる仕事がしたいと思い、介護福祉士を目指すことにしました。0からのスタートになるため、知識や技術をしっかり身に着けようと決意し、専門学校に2年通い資格取得しました。

しごレト編集部:「ありがとう」という言葉に背中を押された決断、胸に響きます。ゼロから挑戦して資格を取られた経験は、これから介護を目指す人にも大きな勇気になるはずです。

2. 現場で学んだ「身体の健康障害」

しごレト編集部:介護職の中で経験した「身体の健康障害(腰痛など)」について、印象に残っているエピソードを教えてください。

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カナさん:
専門学校でボディメカニクスについて学んでいましたが、現場に入ってすぐのころ、焦りや緊張から正しい姿勢を意識できず、無理な体勢で移乗介助をしてしまい、腰に軽い痛みが出たことがありました。
「知識としては理解していたつもり」でも、現場では余裕がなく、つい自己流になっていたことに気づきました。
この経験をきっかけに、実際の現場で学んだ知識をどう活かすかを意識するようになり、先輩方の動きを観察したり、自分の姿勢を振り返る癖がつきました。
リハビリ病院のため、重度介助の患者様の移乗方法を、多職種(看護師、理学療法士、作業療法士)と共有する機会もあり、アドバイスなどを受け、体の使い方を習得しました。

しごレト編集部:「頭では分かっているのに、現場だとつい自己流になる」――これは多くの介護士が共感する場面です。そこから改めて体の使い方を学び直した姿勢は、まさに健康を守る第一歩ですね。

3. 精神的にしんどい時期の乗り越え方

しごレト編集部:精神的にしんどい時期やストレスを感じたとき、どのように対処してきましたか?

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カナさん:
リハビリ病院での介護業務は、患者様の身体的・精神的な回復を支援しながら、日常生活動作(ADL)の向上を目指すため、多職種での連携や患者様との関わりも密で、責任の重さを感じる場面が多くあります。
精神的に辛い時期やストレスを感じた時は、まず1人で抱え込まず、同じチームの看護師やリハビリスタッフ、同僚の介護福祉士に自分の気持ちを共有するようにしていました。多職種が協力し合う環境だからこそ、相談することが精神的な支えになっていました。
また、患者様の小さな回復の変化に目を向けることで、前向きな気持ちを保つように心がけていました。仕事とプライベートの切り替えを大切にし、リフレッシュする時間を大切にしています。精神的な安定を保つことで、患者様にもより良いケアを提供できると感じています。

しごレト編集部:仲間に気持ちを共有すること、小さな変化を一緒に喜ぶこと――どちらも心を守る大切な工夫ですね。「介護者自身が元気でいることが、利用者の安心につながる」という言葉を体現しているように感じます。

4. 退院支援・ADL向上で短時間に信頼を得る工夫

しごレト編集部:退院支援やADL向上の場面で、短時間で信頼を得るために意識している工夫はありますか?

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カナさん:
通院支援やADL向上の支援では、患者様との信頼関係が非常に重要になります。
短期間で信頼を得るために、まずは「相手の話をよく聴く」ことを意識していました。患者様の希望や、日常生活に戻る際に不安なことなどを丁寧に聞き取ることで、「自分のことを理解してくれている」と感じてもらえるように努めています。
また、言葉だけでなく表情や態度、声のトーンなども柔らかく、安心感を与えられるように心がけています。動作の援助や介助を行う際は、必ず声掛けをして、患者様のペースに合わせることで安心して任せてもらえる関係づくりを大切にしています。
さらに、多職種チームとも情報を共有し、退院後の生活を見据えた具体的な支援計画を患者様やご家族にわかりやすく伝えることで、安心感と信頼感を深めています。

しごレト編集部:“まず聴く”“表情・声のトーン”“ペース合わせ”——信頼づくりの基本をブレずに徹底しているのが伝わります。計画を見える化して不安をほどく流れも、現場で即マネできるヒントですね。

5. 多職種連携での工夫

しごレト編集部:多職種連携(看護・リハ・医師・MSW)で、情報が抜けないように実践している工夫はありますか?

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カナさん:
多職種連携では、情報の行き違いや伝達漏れが患者様の支援に大きく影響するため、正確で迅速な共有を常に意識しています。私が特に心がけているのは「主観ではなく客観的な事実を簡潔に伝える」ということです。
例えば、患者様のADLの変化や生活動作の様子は、時間や状況も含めて具体的に共有するようにしています。また、申し送りやカンファレンスでは、必要な情報を事前に整理し、伝える内容に漏れがないようにメモを活用しています。記録も、「後から見た人にも伝わる」ことを意識して書いています。
さらに、気になることがあれば口頭だけで済ませず、必ず記録に残し、必要に応じて多職種にも直接声をかけて確認するようにしています。こうした小さな積み重ねが、連携ミスの防止に繋がっていると感じています。

しごレト編集部:客観的な視点と具体性を意識されているんですね。介護現場ならではの「抜け漏れを防ぐ工夫」がとても参考になります。

6. ご家族への説明で誤解や不安を減らすコツ

しごレト編集部:ご家族との面談や電話連絡で「誤解や不安を減らす」ために心がけている説明の仕方を教えてください。

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カナさん:
ご家族との面談や電話連絡では、できるだけ専門用語を使わず、わかりやすい言葉で説明することを心掛けています。特にリハビリの経過やADLの変化については、ご家族にとってイメージしやすいように、具体的な動作や場面を例に挙げながらお伝えしています。
また、一方的に説明するのではなく、ご家族の気持ちや不安をしっかりと受け止めたうえで対応するようにしています。例えば、「何か気になることはありませんか?」と問いかけることで、疑問や不安を話しやすい雰囲気を作るようにしています。
状況が変化した時には、小さなことでもこまめに報告を行い、「情報をきちんと伝えてくれている」という安心感を持っていただけるように努めています。ご家族もチームの一員だという意識を持ち、信頼感を持っていただくことが大切だと感じています。

しごレト編集部:専門用語を噛み砕く→具体例で描写→双方向で受け止める→こまめな報告、の4点セットが秀逸です。「家族もチーム」という視点が、説明の質を一段上げていますね。

7. 資格を活かした実践

しごレト編集部:福祉住環境コーディネーター資格を活かして実践できたことがあれば教えてください。

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カナさん:
福祉住環境コーディネーター2級を取得したのは、退院後の生活を意識した支援に少しでも役立てたいという思いからでした。リハビリ病院で介護福祉士として勤務していた当時は、実際に住宅改修に深くかかわる機会は多くなかったのですが、患者様の動作や生活環境を想定しながら関わる意識は持つようにしていました。
例えば、移乗動作を見て「ご自宅では手すりが必要かもしれない」など、カンファレンスで多職種と情報を共有する中で、住環境への視点を持って提案するように心がけていました。
現在は別の職種についていますが、当時の経験や視点は、今の仕事でも「相手の立場や生活背景を考える姿勢」として活かされていると感じています。

しごレト編集部:資格が“紙の上の知識”で終わらず、日々の観察や提案に結びついている点が素晴らしいですね。

8. 介護士の4大ストレスと対処法

しごレト編集部:介護士のストレス源を「体力・人間関係・責任・賃金」の4つに分けたとき、それぞれの対処法をどう考えていますか?

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カナさん:
介護職には様々なストレス要因がありますが、私が勤務していた当時、以下のような形で意識して対応していました。
①体力面のストレス:身体介助や長時間労働、シフト勤務に加え、特に夜勤は生活リズムが崩れやすく、体力的に大きな負担を感じる場面が多くありました。そのため、日中の睡眠環境を整えたり、夜勤明けの無理な予定を入れないなど、自分なりのリズムを確立することを意識していました。また、介助動作では体の使い方を工夫し、疲労をためすぎないようにしていました。
②人間関係のストレス:夜勤では特に少人数での勤務になるため、日勤以上に連携や信頼関係が重要だと感じていました。報告・連絡・相談をしっかり行うのはもちろんのこと、「ありがとうございます」「助かります」などの一言を忘れずに、普段から円滑な関係づくりを意識していました。
③責任のストレス:迷ったり不安があるときは報告や相談を徹底することでリスクを最小限に抑えるように努めていました。また夜勤では、医師や看護師がすぐに対応できない場面もあり、責任を感じることも多くありました。何か迷ったときは、自分1人で抱え込まずチームとして対応することで、日頃から情報共有を密にして、迷わず行動できるように備えていました。
④賃金面のストレス:介護職は一般的に賃金面での課題があるといわれていますが、私が勤務していたリハビリ病院では、夜勤手当なども含め、比較的に安定した水準だったと感じています。そのため、日々の生活で大きな不満を感じることは少なかったです。ただ、長期的に考えた時に、「この先も続けていくにはどうキャリアを積むか」ということは考えていました。そのため、福祉住環境コーディネーターなどの資格取得に取り組んだり、多職種との連携の中で視野を広げたり、前向きに自分の可能性を広げていくことを意識していました。

しごレト編集部:まさに「現場のリアル」と「前向きな工夫」がセットになった答えですね。読者の方も共感できる部分が多いと思います。

9. カナさんの介護観

しごレト編集部:カナさんが大切にしている「介護観」を、尊厳・自立支援・安全・QOL の観点で教えてください。

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カナさん:
私が大切にしていたのは、患者様の尊厳を守りながら、自立を支援し、安全に生活を送っていただくことです。そして、その方らしさを大切にしたQOLの向上を目指すことが、介護福祉士としての基本姿勢でした。
リハビリ病院では、エンパワーメントの視点も非常に重要だと感じでいました。「できないからやってあげる」のではなく、「この患者さんはどこまでできる力を持っているのか」を多職種で見極め、その力を引き出す関わりを意識していました。
一方で、骨折や転倒など、取り返しのつかないリスクも日常的に存在するため、安全とのバランスは特に気を配っていました。例えば移乗や歩行時の声掛けや、動線の確認、住環境などを通じて、安全を確保しつつ、「出来る経験を増やす」支援を心がけていました。
尊厳・自立・安全・QOLはどれも切り離せないものであり、その方の「出来る力」を信じる姿勢こそが全てをつなぐ鍵だと考えています。

しごレト編集部:「できないこと」ではなく「できる力」に注目する姿勢、とても胸に響きますね。

10. これからのキャリアと健康

しごレト編集部:今後、介護職としてどのように健康を守りながらキャリアを続けていきたいと考えていますか?

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カナさん:
現在は介護職とは別の分野で働いていますが、介護現場での経験は、今の私の働き方や健康への意識に大きな影響を与えています。介護職は、体力的・精神的にハードな仕事である一方で、人の生活や人生に深く関われるやりがいのある仕事です。
もし今後また介護職に関わる機会があれば、まずは「自分の健康を守ることが誰かの支えになる力に繋がる」という意識を持ち、長く安定して働ける環境を選びたいと考えています。
そのために、日頃から体調管理やストレスケアを意識し、無理をため込まない働き方や生活習慣を整えることを大切にしています。
また、現在の職種で得た視点も活かしながら、将来的には介護の現場に限らず、地域や在宅支援など多様な形で福祉に関われたらと考えています。

しごレト編集部:「自分を守ることが人を支える力につながる」――まさに介護士にとって忘れてはいけない視点ですね。

最後に

kanaさんのお話から浮かび上がるのは、「介護職を続けるために一番大切なのは、自分の体と心を守ること」というメッセージです。
腰痛や夜勤の疲れ、精神的なストレス――介護士なら誰もが直面する悩みを経験しつつ、どうやって前向きに働き続けてきたのか。kanaさんは「仲間に相談する」「小さな回復に目を向ける」「自分の健康を優先する」など、実際に現場で役立つ工夫を具体的に語ってくれました。
ご家族への説明や多職種連携のエピソードからも伝わってくるのは、「信頼関係を築くことが介護のすべての基盤」という考え方。専門知識や技術も大切ですが、最後に残るのは人と人とのつながりです。
「しんどいときは無理をしない」「まずは自分を大事に」――そんなシンプルだけど忘れがちな大切さを、kanaさんの言葉が改めて教えてくれます。介護の現場で悩んでいる人にとって、大きな励みになるインタビューだったのではないでしょうか。

プロフィール

カナ

異業種から介護の道へ。リハビリ病院で介護福祉士として経験を積む。現在は別分野で働きながら、ブログ「介護ラボ・カナlog」で介護の知識や経験を発信中。

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