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ホスピス看護師の仕事とやりがいとは?辛いと感じるときに和らげる方法

ホスピスとは、さまざまある医療施設の中でも、死期の近い患者さんのケアを専門とする施設の1つで、いわゆる終末期患者をケアする施設です。

「ホスピスでの看護業に興味があるけど、実際の働き方が知りたい」

「よく辛いと聞くけれど、本当?」

などと考える方もいるでしょう。

今回この記事では、
・ホスピスにおける看護師の役割
・辛さを感じるときや対処法

などを解説します。

ブックマークを忘れず、いつでも見返せるようにしておいてくださいね。

ホスピスでの看護師とは?

ホスピスには、これ以上の治療方法がない、治療を望まない選択をした患者さんが入院しています。
看護師は、最期まで自分らしい生活を送ってもらえるよう、患者さんとそのご家族に対して心身のケアをメインとしたサポートを行います。

仕事内容

ホスピスに入院している患者さんに対し、基本的には最期の時を穏やかに迎えられるようサポートすることが主な仕事で、病気自体の治療や積極的な延命措置は行いません。
こう見ると、医療的な治療は一切行われないように思えますが、必要に応じて医療的なケアの提供も行います。

主な入院対象ががん患者である緩和ケア病棟では、日々体に倦怠感や痛み、症状の悪化を感じます。
また、死期が迫る恐怖など精神的な苦痛が生まれることもしばしば。
こうした苦痛を軽減させ、最期のときまで患者さんが自分らしく過ごせるように心のケアも行います。

h4:ターミナルケア
終末期医療を指すターミナルケアは、QOLの維持・向上させるケアが中心で、延命を目的とした治療は行いません。
治療内容は、体の痛みを除去するケア、病気に対する不安や恐怖を緩和させるケア、経済的な負担を軽減するケアの3つに分けられます。

h4:看護ケア

死期が避けられない患者さんに対しては、看取りケアを行います。
これは看取り看護とも呼ばれ、人生最期のときまで「尊厳ある生活」を支援します。

看取りケアとは、死が避けられないと判断された患者さんに対して、身体的・精神的な苦痛を緩和するとともに、人生の最期のときまで「尊厳ある生活」を支援することです。
看取り介護とも呼ばれています。
緩和ケアに似ている部分もありますが、緩和ケアは治療や生活の支援がメインであるのに対し、看取りケアはより最期のときに近い支援を行います。

h4:家族へのケア
患者さんに対してだけではなく、その家族にもケアを行うことがあります。
家族を失い、深い悲しみから人生に対して気力をなくすことも珍しくはありません。
そこで死別ケアと呼ばれる日常生活に再び戻れるよう、医師や看護師、心理カウンセラーが一丸となって、遺族に手紙を送る、定期的に偲ぶ会などを開催、遺族によるサポートグループの運営などの支援を行います。
グリーフケアとも呼ばれ、家族を対象とするケアの中で最も重要です。

給料

ホスピスで働く看護師の給料は、一般的な看護師の給料とほとんど変わらず、平均年収は約500万円です。(厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査より)
ですが、管理者になれば、年収700万円以上を見込むことができます。

年収に差が出るポイントは、働き方にもあります。
例えば、ホスピスケアを提供する訪問看護ステーションであれば、オンコールの有無、ホスピス型の有料法人ホームなら、時給1500〜2000円が相場になるようです。
また、夜勤専門で働くことができるので、自身に合った働き方が検討できます。

やりがい

患者さんやその家族・遺族から感謝の言葉をもらえることが何よりのやりがいになります。
人生の最期を迎えるホスピスだからこそ「ありがとう」の一言には、さまざまな意味がこめられ、心がこもっていると感じられるのでしょう。

また、自身の死生観も左右する出来事が身の周りで起こります。
常に身体的や精神的な苦痛と闘う患者さんの中には、悲観的になってしまいうつ状態になるケースも。
どれだけ丁寧に寄り添っても思うように気持ちが回復しないこともあります。
それでも負けずケアを行うことがやりがいにつながることもあります。

痛み・不安といったさまざまな気持ちを抱える患者さんが、十分な睡眠がとれた、食事を楽しめたなど小さなことにも喜びや達成感を感じます。
穏やかに過ごすことが難しい分、笑顔や嬉しそうな患者さんを見るとやっていてよかったと思えます。

キャリア

ホスピスで働く看護師も通常病棟で働く看護師とほとんど変わらないキャリアパスが見込めます。

看護師として施設での看護業務を行うことをはじめ、主任(副看護管理者)として、スタッフの指導や包括的な看護業務を行い看護管理者を支える、施設内のトップとなり、人事や労務管理、地域の連携などを行うことも目指せます。
さらに、スーパーバイザーとして、新規開設の施設立ち上げの支援やエリアごとの運営を統括するなんてことも。

給与UPや役職を目指すこともキャリアの形成には大切ですが、自身の価値観を大切に目標やメリットを考えることが、キャリアアップにつながります。
現場での経験を積んだ先には、役職を目指すだけでなく、さらに好条件での転職をすることもキャリアアップの道として選べます。

ホスピス看護師の仕事が「辛い」と言われる理由とは?

「ホスピスで看護師を続けるのが辛い」と悩む看護師も少なくないのが現実です。
やはり、死に直面する場面が多く、気持ちの面で辛くなってしまうことがあります。
新人の頃や経験が浅い看護師であればなおさらです。
ですが、経験を重ねるにつれ、上手く気持ちの整理をつけられるようになる場面も増えてくる方もいます。

常に死と向き合う

終末期の患者さんが多いこともあり、病状の急変や看取り対応を求められます。
緩和ケアの場合は、患者さんやその家族との積極的なコミュニケーションを取りながら心身どちらにもケアを行います。
過ごす時間や密度が濃くなり、思い入れが強くなりやすいため、看取った後に喪失感を感じてしまうのです。知識を増やすだけでは乗り越えられない苦しさがあるので、自身の感情もコントロールしながら勤務に当たることが重要です。

理想と現実のギャップに悩む

患者さんに対して、苦痛を和らげたい、気持ちを理解して寄り添いたいといった気持ちで看護に臨むとします。
しかし、実際には業務量が多く、理想とした看護の仕方ができなかったり、終末期でメンタルも不安定になりがちな患者さんから暴言などを吐かれたりすることもあります。
緩和ケアの場合、ICUなどと同じく夜勤における月平均72時間以下ルールといった制限がないのが現実です(厚生労働省「入院基本料の算定要件について」より)。
ハードな労働環境により、慢性的な人手不足が続く分野のため、夜勤が必要な病院では1人1人の負担が大きくなっている傾向があります。
こうした出来事から、思い描いていた仕事ができずギャップに苦しむことも珍しくないのです。

患者さんのネガティブにつられてしまう

どうしてもネガティブな言葉を聞くことが他の病棟より多くなるのが緩和ケアです。
「死にたくない」「死ぬのが怖い」などと患者さんが発したときに上手い返し方や励まし方が見つからず、自身も落ち込んでしまうことが起こります。
どうにもしてあげられない現実に、無力さを感じ思い悩む看護師も多いのです。

あくまでも、緩和ケアはその場での症状を抑える処置がメインで、治癒目的の医療行為はほとんど行われません。
もどかしいと感じることもあるでしょう。
患者さんの不安がうつり、自身もネガティブにならないように気をつけたいところです。

看護観との相違

自分にとっての理想の看護師像を表した看護観は、「どのような看護師になりたいか」「どのような看護をしたいか」とも言い換えられます。
自分のこれまでの経験や考えによって作られていくもので、経験したことで変わっていくこともありますが、最初に掲げた看護観とあまりにも違うことにつ気持ちがいていけず辛さを感じることがあります。
柔軟に看護観を持つこともホスピスで看護師として働く上では重要になります。

辛さに対する対処法

さまざまな辛さが生じるホスピスでの看護業務ですが、日々、乗り越えて闘うべく対処法も見ておきましょう。

感情移入しすぎない

患者さんや家族に対して、感情移入しすぎると、状態の急変や看取りに立ち会ったときに気持ちをコントロールしにくくなります。
一定の距離を保ち患者さんとその家族と接するようにしましょう。

相手に寄り添うことが求められるからこそ、気が付かないうちに気持ちが入り、別れが辛くなります。悲しみに暮れる遺族を見て心が痛むことも。
仕事であることを念頭に置く、患者さんは痛みから解放されたんだなど、気持ちをコントロールできるようになることが重要です。

リフレッシュする

思い切って仕事から離れて過ごすことも大切です。
好きな映画やドラマを鑑賞したり、食事をただただ楽しむ、ゆっくりと湯船につかってリフレッシュする、適度な運動やストレッチをしてみるといった自分だけのリフレッシュ寳保を見つけておくことをおすすめします。

特に仕事で辛さを感じたときに、次の勤務に持ち越さないよう、気持ちの整理ができる行動や発散をしましょう。
業務量の多さからくる肉体的疲労なら、しっかり休息をとるために睡眠を取ることも良いでしょう。

こうしたリフレッシュはストレス解消や疲労回復の効果が期待できます。

相談する

死と向き合う仕事のため、家族や友人には気軽に相談しにくいことも多いです。
でも、一人で抱えるには重すぎる出来事が頻発します。
そんな時に、「話を聞いてもらえたら楽になる」「気持ちの持っていき場所がほしい」と思うなら、思い切って同僚や上司に話してみるのも手です。

同じ境遇であれば、気持ちも理解できますし、辛さの度合いも共有できます。
思いがけないアドバイスや共感を得ることもあるので、悩みを相談してみるのも視野に入れておきたいところです。
気持ちが楽になるだけでなく、解決につながることもありますよ。

スキルアップを目指す

緩和ケアの専門性を高めるためにも認定看護師の取得を目指すのはどうでしょうか。
キャリアやスキル面に不安を感じているならおすすめです。

看護師として実務経験5年以上のうち3年以上は緩和ケア分野で実務研修があれば、認定看護師を目指せます。
目指せる認定看護師の専門領域は職場ごとに異なるので確認してみましょう。

緩和ケア病棟で働く看護師なら、緩和ケアやがん看護に特化した認定看護師が目指せます。積極的に治療は行いませんが、患者様が希望すれば化学療法を受けることもあるので、寄り質の高い治療を提供できるのが認定看護師です。
また、化学療法を行う機会があるなら、化学療法に特化したがん薬物療法看護も選択肢に入れることができます。

訪問看護ステーションで働く場合には、訪問看護領域の認定看護師を目指すこともできます。

実際の体験談

コロナ禍における看取りを経験した看護師が、看護師としてどうありたいかを考えさせられた例もあります。

「またあした」の一言が明日を生きる希望になることを知り、いてくれてよかったと思ってもらえる看護師になりたいと思ったきっかけなんだそうです。

そこからもう一度終末期の患者さんと向き合いたいと思うようになり、転職した。

ということもあります。

まとめ

2ホスピスで看護師として働くことは、患者さんが最期まで穏やかに、自分らしく過ごす手助けを行うことです。
急変や看取りに多く、立ち会うからこそのやりがいがある一方、無力さや感情面での辛さも併せ持ちます。
感情をコントロールすることや切り替える行動を意識しながら働くことで、辛いと感じるときにも対応していきたいですね。
もちろん、それでも辛くなる時はしっかりと気持ちを休めたりとリフレッシュしましょう。
一人で抱え込まず、時には周囲に相談することも大切です。

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