
「術後の患者さん、特に糖尿病じゃないのになんで血糖値が高いんだろう?」「朝になると血糖値が上がる“暁現象”って、どういう仕組みなの?」
…臨床現場で、そんなギモンを感じたことはありませんか?
ありますよね!日々の業務の中で「なんでだろう?」と感じる瞬間。
その“なぜ”を解決したくてウズウズしますよね…!🧐
この記事では
- 糖新生の基本的な仕組み(目的・材料・場所)
- 術後や糖尿病で血糖値が上がる「本当の理由」
- 解糖系との明確な違い
- 学んだ知識を臨床アセスメントに活かす方法
が分かりますよ♪
実はそのカギ、体がピンチの時に自ら糖を作り出す「糖新生(とうしんせい)」というバックアップ機能にあるんです。
この体のスゴい仕組みを理解すれば、血糖値が変動する「なぜ?」が面白いほどクリアになりますよ。
この記事では、そんな糖新生の基本的な仕組みから、術後・糖尿病・ステロイド投与時といった臨床シーン別の影響、そして解糖系との違いまでを、看護師さん向けにどこよりも分かりやすく解説します!
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ピンチを救う人体のスゴ技!無から糖を生み出す「糖新生」ってなに?🤔
さて、さっそくですが「糖新生」と聞くと、なんだか難しそうなイメージがありませんか?😅
学生時代に習ったような気もするけど、解糖系と何が違うんだっけ…?となりがちですよね。
この章では、そんな糖新生の「そもそも、なに?」という一番大事なキホンの部分を、分かりやすく解説していきます。
体を守るための、人体のスゴ技なんですよ!✨
血糖値がゼロは危険信号!脳を守るための最終防衛ライン
私たちの体、特に脳は、ブドウ糖を唯一のエネルギー源としています🧠
そのため、血液中のブドウ糖(血糖)が極端に少なくなると、脳がエネルギー不足に陥って意識障害などを起こす、非常に危険な状態になってしまいます。
食事から糖分が補給できない飢餓時や絶食時でも、なんとか血糖値を一定に保ち、脳を守り抜こうとする…
これが、糖新生の最も重要な使命なんです。
まさに、命を守るための「最終防衛ライン」と言えますね!🛡️❤️
一言でいうと「ブドウ糖のDIY(自家製造)」です!
「糖新生」という言葉を分解すると、「糖」を「新しく」「生み出す」という意味になります。
食事で摂った糖を分解してエネルギーにするのが「解糖系」だとすれば、糖新生は糖以外の材料から、まるでDIYのように自分でブドウ糖を作り出す反応のことなんです🔨
これで、食事をしていない間も、体はエネルギー切れを起こさずに済むんですね。
食事で摂った糖を「分解」してエネルギーにするのが解糖系なら、糖新生は糖以外のものから糖を「合成」する、まったく逆の働きと覚えておくとスッキリしますよ!
筋肉を削って糖に…?😱 糖新生の主な材料と行われる場所
ブドウ糖をDIYする、というお話をしましたが、気になってくるのが「その材料って、いったい何なの?」ということですよね。
まさか、何もないところから糖が生まれるわけではありません。
実は、私たちの体の一部を“犠牲”にして、材料を調達しているんです…。
ちょっとドキッとするタイトルですが、その仕組みと、DIYが行われる「メイン工場」について詳しく見ていきましょう!👀
材料はコレ!「乳酸」「アミノ酸」「グリセロール」の3選手
糖新生の主な材料(糖原性物質)となるのは、この3人の選手たちです!
材料 | 出どころ | どんな時に出る? |
---|---|---|
乳酸 | 筋肉、赤血球など | 激しい運動後など(嫌気的解糖) |
アミノ酸 | 筋肉のタンパク質 | 飢餓時など、筋肉を分解して調達 |
グリセロール | 脂肪組織の中性脂肪 | 脂肪が分解された時に出てくる |
飢餓が続くと、筋肉のタンパク質を分解してアミノ酸を取り出し、それを材料に糖を作り出します。
これが「筋肉を削って…」の正体なんですね。
体を守るための苦渋の決断、というわけです😢
メイン工場はやっぱり「肝臓」!からだの化学工場🏭
このブドウ糖DIYのメイン工場となっているのが、何を隠そう「肝臓」です!
全体の約90%を担っています。
残りの約10%は腎臓で行われます。
肝臓は、栄養の貯蔵や解毒だけでなく、血糖値のコントロールにおいても中心的な役割を担う、まさに「からだの化学工場」なんですね。
本当に働き者です…!👏
肝機能が低下している患者さんで低血糖のリスクが高まるのは、この糖新生の能力が落ちてしまうことも一因なんですよ。
知識が繋がるとアセスメントが深まりますね!❤️
解糖系のルートを逆走!?糖新生を動かす“特別な酵素”たち✍️
糖新生が、解糖系と逆の働きをすることはイメージできましたよね!
テレビのリモコンでいう「巻き戻しボタン⏪」のようなものです。
でも、ここで一つギモンが。
もし完全に逆再生できるなら、わざわざ「糖新生」なんて特別な名前をつけなくても良さそうじゃないですか?
実は、解糖系のルートには絶対に逆走できない「一方通行」の関所がいくつかあるんです🚧
この章では、なぜ逆走できないのか、そしてその関所をどうやって“ズル賢く”迂回しているのか、糖新生を動かす特別な酵素たちにスポットライトを当てて見ていきましょう!✨
なぜ逆走できない?解糖系の“一方通行”という名の壁
解糖系の全10段階の反応のうち、実は3つの反応は「不可逆反応」と呼ばれていて、化学的に後戻りができない仕組みになっています。
一度進んだら引き返せない、まさに一方通行の壁なんです。
これは、反応の勢いが強すぎて、逆向きに進むためのエネルギーが足りない、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
この壁があるからこそ、体はエネルギーの流れを一定方向にスムーズに進めることができるんですね。
壁を乗り越える!糖新生だけのスペシャルな迂回ルートとは
では、糖新生はどうやってこの一方通行の壁を乗り越えるのでしょうか?
答えは、「別の道(バイパスルート)を使う」です!
高速道路で渋滞している区間を、一般道に降りて迂回するイメージですね🚗💨
この迂回ルートを通るために必要になるのが、糖新生だけが持っている「特別な酵素」たちです。
解糖系とは違う酵素を使うことで、後戻りできなかった反応を、あたかも逆走するかのように進めることができます。
代謝経路 | 解糖系(一方通行の関所) | 糖新生(特別な迂回ルート) | 役割の例え |
---|---|---|---|
関所① | ピルビン酸キナーゼ | ピルビン酸カルボキシラーゼ & PEPCK | 一般道 vs 高速IC入口🚗 |
関所② | ホスホフルクトキナーゼ | フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ | 降りるだけのエスカレーター vs 登り専用エレベーター |
関所③ | ヘキソキナーゼ | グルコース-6-ホスファターゼ(肝臓・腎臓に存在) | 一度入ったら出られない部屋 vs 非常口からの脱出 |
このように、体は異なる酵素セットを使い分けることで、「分解(解糖系)」と「合成(糖新生)」という真逆の反応を巧みに制御しているんですね✨
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【これが知りたかった】術後・糖尿病…臨床で出会う糖新生のナゼ?💉
ここからが、この記事で一番お伝えしたかったパートです。
「糖新生なんて、学生時代の知識でしょ?」と思われがちですが、とんでもない!
この知識は、日々の臨床で出会う「なんでだろう?」を解き明かす最高のカギになるんです🔑
この章では、「暁現象」「術後高血糖」「ステロイドの副作用」という、看護師なら誰もが一度は向き合う3つの場面を取り上げて、その裏側で起きている糖新生の働きを、一緒に覗いていきましょう!
アセスメントの質がグッと上がりますよ!📈
なぜ?①:朝方に血糖値が上がる「暁現象」の正体
糖尿病患者さんで、夜間は血糖値が安定しているのに、朝の4時~9時頃にかけて血糖値が自然に上昇してくる現象、それが「暁(あかつき)現象」です。
夜間は絶食状態になるため、体は血糖値を維持しようと糖新生を働かせます。
特に、早朝にかけて成長ホルモンやコルチゾールなどの分泌が増えると、これが肝臓での糖新生をさらに促進!
体が1日の活動に備えてエネルギー源(ブドウ糖)を準備するためで、これが「暁現象」の正体です🌅
糖尿病患者さんではこの上昇を抑えるインスリンの作用が弱いため、高血糖が顕著に現れるのです。
つまり、暁現象の正体は、この生理的な糖新生の亢進なんですね!
なぜ?②:術後や感染症のときに血糖値が上昇する理由
手術や外傷、感染症といった侵襲が体に加わると、体はストレスに対抗しようとします。
これを「生体防御反応」といいます。
この時、体はストレスホルモンであるコルチゾールやカテコールアミンを大量に分泌します。
これらのホルモンは、肝臓に働きかけて糖新生を強力に促進します。
なぜなら、体は「これから戦いだ!エネルギー(ブドウ糖)がたくさん必要になるぞ!」と判断し、血液中にエネルギー源をたくさん蓄えようとするからです。
これが、糖尿病でない患者さんでも術後や感染症の時に高血糖(ストレス高血糖)になる理由です。
体の健気な頑張りなんですね💪
なぜ?③:ステロイド投与で高血糖になるメカニズム
ステロイド(糖質コルチコイド)は、強力な抗炎症作用や免疫抑制作用を持つため、様々な疾患の治療で使われますよね。
このステロイドは、先ほど登場したストレスホルモン「コルチゾール」と同じ仲間です。
そのため、ステロイドを投与すると、体は「ストレスホルモンがたくさん出ている!」と勘違いします。
具体的には…
-
肝臓での糖新生を促進する
-
筋肉などでのブドウ糖の利用を抑制する
このダブルの作用によって、血糖値が上がりやすくなるのです。
ステロイド治療中の患者さんの血糖モニタリングがなぜ重要なのか、この仕組みがわかると納得できますね❤
再生▶️と巻き戻し⏪?「解糖系」と「糖新生」の違いを1枚の表で徹底整理!
さて、ここまでで糖新生の仕組みや臨床での役割について、かなり理解が深まったのではないでしょうか?✨
記事のあちこちで登場した「解糖系」との関係性。
ここまでくれば、もう違いはバッチリ!
……と言いたいところですが、最後に頭の中を完全に整理するために、両者の違いを並べて見てみましょう。
この章では、ややこしい2つの経路の違いを、1枚の比較表にギュッと凝縮してまとめます。
似てるけど正反対!2つの経路の違いをサクッと確認
もう大丈夫かと思いますが、一番大事なポイントは…
- 解糖系は… 食事などで得た糖を『分解』して、すぐに使えるエネルギー(ATP)を作る『異化』の反応。
- 糖新生は… 糖以外の材料から糖を『合成』して、血糖値を維持する『同化』の反応。
この「分解」と「合成」という根本的な目的の違いを意識すると、他の違いもスルスルと頭に入ってきますよ!
では、お待ちかねのまとめ表です!
【保存版】これで完璧!解糖系 vs 糖新生 比較まとめ表
項目 | 解糖系 (再生ボタン▶️) | 糖新生 (巻き戻しボタン⏪) |
---|---|---|
役割 | 糖を分解してエネルギーを作る | 糖以外のものから糖を合成する |
代謝分類 | 異化(壊すほう) | 同化(作るほう) |
目的 | エネルギー(ATP)の即時産生 | 血糖値の維持(特に脳のため) |
主な状況 | 食後など、血糖が高い時 | 飢餓時、絶食時、侵襲時 |
場所 | 細胞質(すべての細胞) | 主に肝臓(一部、腎臓) |
働くホルモン | インスリン(促進) | グルカゴン、コルチゾール(促進) |
最終産物 | ピルビン酸 | グルコース |

どうでしょうか?
こうして並べてみると、体の状態に応じて、ホルモンがうまくアクセルとブレーキを使い分けている様子がよく分かりますね!🚗
まとめ:糖新生を理解すれば、血糖変動のアセスメントが変わる!✨
糖新生という、少しとっつきにくいテーマでしたが、お疲れ様でした😊
最後に、この記事でお伝えした大切なポイントを振り返ってみましょう!
この記事のまとめポイント💡
- 糖新生は、脳を守るために血糖値を維持する「ブドウ糖のDIY」であること
- 主な材料は「乳酸・アミノ酸・グリセロール」で、メイン工場は「肝臓」
- 術後や糖尿病の血糖変動の裏には、糖新生の働きが隠れていること
- 解糖系とは「分解と合成」という、まさに正反対の関係であること
生化学の知識は、日々の業務に追われていると、どうしても後回しになりがちです。
でも、今日学んだように、患者さんの体内で起きている「なぜ?」を解き明かすヒントは、すべてこのミクロな世界の働きの中に隠されています。
「この患者さんの血糖値が高いのは、侵襲に対する生体防御反応で、糖新生が活発になっているからだ」と根拠を持ってアセスメントできる。
そんな看護師って、とっても素敵だと思いませんか?❤️
この記事が、あなたの看護の「なぜ?」を解決し、明日からの臨床をもっと楽しむための、小さなきっかけになれたなら、心から嬉しく思います。
これからも応援しています!