
「認知症の患者さんとうまくコミュニケーションが取れない…」「何度説明しても理解してもらえず、ケアが進まなくて困っています」「認知症の方の自尊心を傷つけないようにするには、どう接すればいいのでしょうか?」
そう悩んでいる看護師さんも多いのではないでしょうか。
認知症患者さんとのコミュニケーションは、一般的な患者さんとは異なる難しさがありますよね 💭
この記事では
- 認知症の症状がコミュニケーションに与える具体的な影響
- 信頼関係を築くための5つの基本姿勢とその実践方法
- 記憶障害・見当識障害・徘徊などの症状別の効果的な対応テクニック
- 自尊心を守りながら円滑にケアを進めるコツ
- BPSD(周辺症状)への対応方法と実践例
が分かりますよ♪
実は、認知症患者さんとのコミュニケーションは「症状の特性を理解する」「5つの基本姿勢を実践する」「症状別の適切なアプローチを選ぶ」という3つのポイントを押さえることで、大きく改善できるんです ✨
この記事では、現役の認知症看護専門家の知見をもとに、明日からすぐに実践できる具体的なコミュニケーション技術と、患者さんとの信頼関係を築くための5つの基本姿勢をご紹介します。
症状別の対応法も詳しく解説しているので、日々の看護業務にすぐに活かせる内容となっています 👩⚕️💕
バリデーションやユマニチュードについて知りたい方は
【認知症看護コミュニケーション】バリデーションとユマニチュードの実践ガイド – 専門技法を看護現場で活かす方法
を、ご覧くださいね🌟
認知症患者とのコミュニケーション基本原則
認知症患者さんとのコミュニケーションは、一般的な患者さんとは異なるアプローチが必要です。
認知症の症状がコミュニケーションにどのような影響を与えるのか、信頼関係を築くための基本姿勢、そして自尊心を守ることの重要性について見ていきましょう💫
認知症の症状がコミュニケーションに与える影響
認知症は単なる物忘れではなく、脳の機能低下によってさまざまな症状が現れ、コミュニケーションに大きな影響を与えます🧠
主な症状とその影響について理解しておきましょう。
症状 | コミュニケーションへの影響 | 看護師が気をつけるポイント |
---|---|---|
記憶障害 | 会話の内容を忘れ、同じ質問を繰り返す | 毎回初めての質問として丁寧に対応する |
見当識障害 | 時間・場所・人物の認識が困難になる | 現実を強制せず、その人の認識に寄り添う |
失語症 | 言葉の理解や表現が難しくなる | 非言語コミュニケーションを活用する |
実行機能障害 | 指示の理解や行動の計画が困難に | 一つずつ簡潔な指示を出す |
注意障害 | 集中力が続かず、話が脱線する | 静かな環境で短時間のコミュニケーションを心がける |
認知症の症状は進行とともに変化するため、その日その時の状態に合わせた柔軟な対応が大切です。
患者さんの混乱や不安を増強させないよう、常に穏やかな態度で接することを心がけましょう👩⚕️
信頼関係構築のための5つの基本姿勢
認知症患者さんとの信頼関係は、日々の小さなコミュニケーションの積み重ねで築かれます。
以下の5つの基本姿勢を意識して接することで、より良い関係性を構築できます🤝
-
受容と共感の姿勢:
患者さんの言動をそのまま受け止め、否定せずに共感することが大切です。
「そうだったんですね」「それは大変でしたね」など、気持ちに寄り添う言葉をかけましょう。 -
ゆっくり穏やかな対応:
急かさず、ゆっくりと穏やかな口調で話しかけます。
焦らせると混乱を招くことがあります。時間に余裕を持って接することで、患者さんも安心して応答できるようになります⏱️ -
目線を合わせる:
立ったままで上から話しかけるのではなく、同じ目線の高さまで体を低くして話しかけましょう。
これにより、威圧感を与えず、安心感を提供できます👀 -
肯定的な言葉かけ:
「〜してはいけません」という否定的な言い方ではなく、「〜しましょう」という肯定的な言葉かけを心がけます。
ポジティブな表現は患者さんの協力を得やすくします✨ -
一貫性のある対応:
チーム全体で統一した対応を心がけることで、患者さんの混乱を防ぎます。情報共有をしっかり行い、ケアの方針を一致させましょう📋
これらの姿勢を日々の看護実践に取り入れることで、患者さんとの信頼関係が徐々に深まっていきます。
すぐに結果が出なくても、焦らず継続することが大切です。
自尊心を守るコミュニケーションの重要性
認知症になっても、その人の尊厳や自尊心は守られるべきものです。
自尊心を守るコミュニケーションは、患者さんの生活の質を高めるだけでなく、ケアの円滑な実施にもつながります👑
認知症患者さんの自尊心を守るためには、以下のポイントを意識しましょう:
-
敬意を持った言葉遣い:
年齢や社会的立場に関わらず、敬語を使い、尊敬の念を示します。幼児語や命令口調は避けましょう。 -
選択肢の提供:
「これを着ますか?」と一方的に決めるのではなく、「青いシャツと白いシャツ、どちらがよろしいですか?」など、選択肢を提供することで自己決定を尊重します🔄 -
できることを見守る姿勢:
すぐに手を出して手伝うのではなく、できることは見守り、必要な時だけさりげなくサポートします。
「一緒にやりましょう」という姿勢も大切です。 -
失敗を目立たせない配慮:
間違いや失敗を指摘するのではなく、さりげなくフォローします。
「大丈夫ですよ、一緒にやりましょう」と声をかけるなど、羞恥心に配慮します🍃 -
その人の人生の物語を尊重:
認知症になる前の職業や趣味、家族関係などの情報を活かし、その人らしさを尊重したコミュニケーションを心がけます。
自尊心を守るコミュニケーションは、時に時間がかかることもありますが、結果的に患者さんの協力が得られやすくなり、ケアがスムーズに進むことにつながります。
何より、患者さん自身の幸福感や生きがいにも直結する大切な要素です💖
症状別コミュニケーション技術
認知症の症状は人によって異なり、同じ人でも日によって状態が変化します。
ここでは、主な症状別に効果的なコミュニケーション技術をご紹介します。
症状の特徴を理解し、適切なアプローチを選択することで、より良いケアにつなげましょう📝
記憶障害がある患者への効果的な声かけ
記憶障害は認知症の代表的な症状であり、特に近時記憶(最近の出来事の記憶)が障害されやすい特徴があります。
記憶障害のある患者さんとのコミュニケーションでは、以下のポイントを意識しましょう🗓️
-
自己紹介を毎回行う:
「おはようございます。私は看護師の山田です。今日も担当させていただきます」と、毎回簡潔に自己紹介をしましょう。 -
同じ質問への対応:
同じ質問を何度もされても、初めて聞かれたように丁寧に答えます。
「さっき言ったでしょ」などと指摘せず、必要に応じて書いたメモを活用するのも良いでしょう。 -
現実見当識への配慮:
「今日は何月何日ですか?」と質問されたら、カレンダーや時計を見せながら答えると、視覚的な手がかりになります📅 -
手順の説明:
「これから血圧を測りますね」「次に腕をまくりましょう」など、一つずつ順を追って説明します。 -
長期記憶の活用:
若い頃の思い出や得意だったことなど、長期記憶は比較的保たれていることが多いので、そうした話題で会話を楽しむことも大切です👵
記憶障害があっても、その瞬間の感情は残ります。
たとえ内容を忘れても、楽しかった、安心したという感情は残るので、ポジティブな感情を大切にしたコミュニケーションを心がけましょう。
見当識障害への対応と環境調整
見当識障害とは、時間・場所・人物に関する認識が混乱する症状です。
「ここはどこ?」「家に帰りたい」といった発言が見られることがあります。
見当識障害への対応では、環境調整とコミュニケーションの両面からアプローチすることが重要です🏠
コミュニケーション面での対応
-
現実を強制しない:
「ここは病院です、あなたの家ではありません」と現実を強制するのではなく、「ご自宅が恋しいですね」と気持ちに共感します。 -
安心感を提供する言葉:
「大丈夫ですよ、私がついています」「安全な場所ですよ」など、安心感を与える言葉をかけます🌈 -
時間の目安を具体的に:
「もうすぐ」ではなく「お昼ご飯の後で」など、具体的な目安を伝えます。
環境調整面での対応
環境調整のポイント | 具体的な方法 |
---|---|
視覚的な手がかり | 大きな時計やカレンダーを設置する |
場所の明示 | トイレや浴室などに大きな表示をつける |
個人の持ち物 | 馴染みの写真や小物を身近に置く |
照明 | 夕方以降も明るさを保ち、影を少なくする |
音環境 | 不必要な騒音を減らし、穏やかな環境を作る |
見当識障害がある患者さんには、その人の「今」の現実を尊重しながらも、少しずつ正しい認識に導くバランスが大切です。
強い否定や訂正は混乱や不安を増強させることがあるため注意しましょう🌱
徘徊行動がみられる患者とのコミュニケーション
徘徊は、目的もなく歩き回る行動を指しますが、実は患者さんにとっては何らかの目的や意味があることが多いものです。
徘徊行動がみられる患者さんへの対応では、行動の背景を理解し、安全を確保しながら適切にコミュニケーションをとることが重要です👣
徘徊の背景にある可能性のあるニーズ
- トイレに行きたい
- 空腹や喉の渇き
- 退屈や運動不足
- 過去の習慣(仕事や家事など)
- 不安や焦り
- 身体的な不快感(痛み、かゆみなど)
徘徊時のコミュニケーション技術
-
否定せず同行する:
「座っていてください」と制止するのではなく、「一緒に歩きましょうか」と寄り添います。🚶♀️ -
目的を探る質問:
「どちらに行かれるのですか?」「何かお探しですか?」と優しく尋ねます。 -
気分転換の提案:
「少し休憩してお茶を飲みませんか?」「こちらの窓から外の景色を見てみましょうか」など、別の活動を提案します。☕ -
安心感を与える声かけ:
「大丈夫ですよ」「安全ですよ」と繰り返し伝えます。 -
生活歴を活かした対応:
元教師なら「生徒が待っていますよ」、主婦なら「お料理の準備をしましょう」など、その人の生活歴に沿った声かけが効果的なこともあります。
徘徊行動は、転倒や行方不明などのリスクがあるため、安全確保が最優先です。
しかし、単に行動を制限するのではなく、安全な環境の中で適度に歩ける場所を確保するなど、ニーズを満たす工夫も大切です🔄
BPSD(周辺症状)別の対応テクニック
BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状)は、認知症に伴って現れる様々な症状を指します。
これらの症状には、適切なコミュニケーションと環境調整で改善できるものも多くあります。
主なBPSDとその対応テクニックをご紹介します。🌟
妄想・幻覚への対応
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否定しない:「そんなものはありません」と否定せず、「そう見えるのですね」と受け止めます。
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気持ちに共感:「怖かったですね」「心配なのですね」と感情に寄り添います。
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気分転換:別の話題や活動に自然に誘導します。
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環境調整:幻覚の原因となる可能性のある影や音を減らします。
興奮・攻撃性への対応
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安全な距離を保つ:無理に近づかず、安全な距離を保ちます。
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落ち着いた対応:こちらも興奮せず、低い声でゆっくり話しかけます。🧘♀️
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原因を探る:痛みや不快感など、興奮の原因となっている可能性のあるものを確認します。
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選択肢の提供:「少し休みますか?」「お水が飲みたいですか?」など、選択肢を提供します。
不穏・焦燥への対応
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安心感を与える:「大丈夫ですよ」「ここは安全です」と繰り返し伝えます。
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リラックスできる環境:静かな環境や好みの音楽、アロマなどでリラックスできる空間を作ります。🎵
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タッチング:同意を得た上で、手や肩に優しく触れることで安心感を与えます。
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呼吸を整える:「一緒に深呼吸しましょう」と誘導し、呼吸を整えます。
拒否への対応
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理由を尊重:「どうして嫌なのですか?」と理由を聞き、尊重します。
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タイミングを変える:無理強いせず、時間をおいて再度試みます。⏰
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別のアプローチ:「これをしないと〜」ではなく、「これをすると〜」というポジティブな言い方に変えます。
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選択肢の工夫:「入浴しますか?」ではなく「今入浴しますか、それとも30分後にしますか?」と選択肢を提供します。
BPSDへの対応では、その行動の背景にある原因(身体的不調、環境の変化、コミュニケーション不足など)を探ることが重要です。
症状そのものを抑えようとするのではなく、原因に対処することで、自然と症状が軽減することも多くあります💡
また、チーム全体で情報を共有し、統一した対応を心がけることも大切です。日々の小さな変化に気づき、早期に対応することで、重度のBPSDを予防することができます。
👀BPSDについての記事を詳しく読む。
認知症BPSDへの対応7選:症状別ケア方法と接し方
ついつい「自分でやった方が早い」や「何回も言ってるでしょ!!」とイライラしがちですが、認知症看護においてはその言動が逆効果になることがあります。
気持ちにゆとりをもち、患者さんと関わりましょう❤