
脳梗塞の患者さんを受け持つことになったけど、何から勉強したらいいんだろう…? 🤔
急変したらどうしよう、ちゃんと対応できるか不安だな…💧
教科書だけじゃ現場の「もしも」に対応できるか心配!
そんな疑問やお悩みはありませんか?
この記事では、
- 脳梗塞(CI)の基本的な知識と病態生理
- 急性期の患者さんへの観察ポイント
- 急変時の具体的な対応フロー
- 看護師として知っておくべき緊急時の行動
が分かりますよ♪
実は、脳梗塞患者さんの看護では、基本的な病態理解に加え、特に「急性期における迅速な観察と的確な急変対応」が、患者さんの予後を左右する鍵となるんです。
この記事では、CI(脳梗塞)の基礎知識から、看護師さんが現場で本当に役立つ急性期看護のポイント、そして緊急時の対応フローまで、一つ一つ丁寧に解説していきますね。
不安を解消して、自信を持って患者さんに向き合えるよう、一緒に学んでいきましょう!💪✨
第1章:CI(脳梗塞)の基礎知識と病態生理
「CI」と聞くと、もしかしたらピンと来ない方もいるかもしれませんね。
CIとは「Cerebral Infarction」の略で、日本語で「脳梗塞」を指します。
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、その先に血液が届かなくなることで、脳細胞が酸素不足や栄養不足に陥り、壊死してしまう病気です。
脳の細胞は一度壊死すると元に戻らないため、発症すると麻痺や言語障害など、さまざまな後遺症が残る可能性があります。
脳梗塞は、大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
- アテローム血栓性脳梗塞:
脳の比較的太い血管(主幹動脈)に、動脈硬化によってできたプラークという塊ができ、それが破れて血栓(血の塊)ができて血管を詰まらせるタイプです。
生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)が主な原因となります。 - 心原性脳塞栓症:
心臓の中にできた血栓が、血液の流れに乗って脳まで運ばれ、脳の血管を詰まらせるタイプです。
不整脈(特に心房細動)が主な原因となることが多く、発症すると症状が急激かつ重篤になる傾向があります。 - ラクナ梗塞:
脳の細い血管が詰まるタイプです。高血圧が主な原因で、小さな梗塞のため症状が出にくい場合もありますが、多発すると認知症の原因になることもあります。
これらの原因を知ることは、患者さんの病態を理解し、今後の看護ケアや再発予防指導を行う上で非常に重要になります。
脳の構造と脳梗塞発症メカニズムの図解
脳梗塞を理解するには、まず脳がどのように酸素や栄養を受け取っているかを知ることが大切です。
脳は、主に頸動脈と椎骨動脈という太い血管から血液を受け取り、これらが脳の奥で枝分かれして、毛細血管となって脳全体に行き渡っています。
脳梗塞は、この血管のどこかが詰まることで発生します。
例えば、中大脳動脈が詰まると、体の片側の麻痺や言葉の障害(失語)が出やすくなります。これは、その血管が脳の運動野や感覚野、言語中枢に血液を送っているからです。
主な症状と障害部位ごとの特徴
脳梗塞の症状は、脳のどの部分がダメージを受けたかによって大きく異なります。
代表的な症状として、「FAST」という覚え方があります。
- Face droop(顔の麻痺):顔の片側が下がる、口角が非対称になる。
- Arm weakness(腕の麻痺):片腕に力が入らない、上がらない。
- Speech difficulty(言語障害):ろれつが回らない、言葉が出てこない、理解できない。
- Time to call emergency(時間):これらの症状が少しでも見られたら、すぐに救急車を呼ぶ時間。
その他にも、以下のような症状が見られることがあります。
- 感覚障害: 体の片側のしびれや感覚の鈍化
- 視力障害: 片目が見えにくい、視野が欠ける
- めまい・ふらつき: 突然の激しいめまい、まっすぐ歩けない
- 意識障害: 呼びかけに反応しない、眠りこける
これらの症状は、脳の梗塞部位によって特徴があります。
例えば、小脳や脳幹の梗塞では、めまいや嚥下障害、呼吸障害などが強く出ることがあります。
患者さんの症状を注意深く観察し、どの脳領域に障害があるかを推測することは、看護ケアを考える上で非常に役立ちます。
診断方法と検査データ
脳梗塞が疑われる場合、迅速な診断が非常に重要です。主な診断方法には、画像検査と血液検査があります。
- 頭部CT/MRI:
脳梗塞の有無や範囲、出血の有無などを確認します。特にMRI(拡散強調画像:DWI)は、発症直後の小さな梗塞も捉えることができ、診断に非常に有用です。
CTは出血との鑑別や、t-PA治療の適応判断に用いられます。- 看護師さんがチェックすべき点:
CT/MRIの画像レポートで、梗塞部位(例:右中大脳動脈領域)、大きさ、出血の有無を確認しましょう。
これによって、患者さんの具体的な症状や予後をある程度予測できます。
- 看護師さんがチェックすべき点:
- 血液検査:
- Dダイマー: 体内で血栓が作られたときに上昇する物質で、血栓の形成や溶解の亢進を示します。高値であれば血栓症を疑います。
- 凝固系検査(PT-INR, APTT): 血液の固まりやすさを評価し、抗凝固薬の治療効果や出血リスクを把握するために重要です。
- 血糖値、HbA1c、脂質(LDLコレステロールなど): 脳梗塞の原因となる生活習慣病の有無や程度を評価します。
緊急処置と治療
脳梗塞は時間との勝負です。
発症から早期に治療を開始することが、後遺症を最小限に抑える鍵となります。
- t-PA静注療法(血栓溶解療法):
発症から4.5時間以内という限られた時間内に、血栓を溶かす薬(t-PA)を点滴で投与する治療法です。
脳の血流を再開させることで、症状の改善が期待できますが、出血のリスクもあるため、厳格な適応基準があります。- 看護師さんの役割:
t-PA適応の確認(時間、出血リスク、既往歴)、投与中の厳密なバイタルサインと神経学的所見の観察、出血兆候の早期発見、安静度の厳守など、非常に重要な役割を担います。
- 看護師さんの役割:
- 血管内治療(血栓回収療法):
発症から6時間(場合によっては24時間)以内に、カテーテルを使って直接血栓を取り除く治療法です。
t-PA治療ができない場合や効果が不十分な場合に選択されることがあります。- 看護師さんの役割:
治療前後の神経学的所見の観察、止血部(鼠径部など)の観察、安静度の管理、合併症(再閉塞、出血など)の早期発見が求められます。
- 看護師さんの役割:
- 抗血小板薬・抗凝固薬の内服:
血栓の形成を予防し、再発を防ぐために使用されます。
アスピリン、クロピドグレル(抗血小板薬)、ワルファリン、DOAC(直接経口抗凝固薬)などがあります。- 看護師さんの役割:
服薬状況の確認、副作用(出血傾向など)の観察、患者さんへの服薬指導、出血リスクのある行動への注意喚起などが必要です。
- 看護師さんの役割:
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第2章:【超重要】脳梗塞患者の急性期看護のポイントと急変対応
急性期の脳梗塞患者さんの看護は、時間との闘いであり、刻一刻と変化する病態を正確に捉えることが求められます。
ここでは、特に重要な観察項目と、いざという時の急変対応について詳しく見ていきましょう。
バイタルサインの重要性(異常値と対応)
バイタルサインは、患者さんの全身状態を把握する上で最も基本的な情報ですが、脳梗塞患者さんでは特にその変化に敏感になる必要があります。
- 血圧:
- 高血圧: 脳浮腫の悪化や出血性梗塞への移行リスクを高めます。過度な降圧は脳血流の低下を招き、梗塞巣の拡大につながることもあるため、医師の指示に基づく適切な管理が重要です。
- 低血圧: 脳血流の低下を招き、脳梗塞の悪化につながります。脱水や循環血液量減少の兆候がないか確認し、輸液管理を行います。
- 看護のポイント: 脳梗塞急性期は、血圧の変動が大きくなることがあります。定期的な測定はもちろん、患者さんの意識レベルや神経症状の変化に合わせて測定頻度を増やすなど、柔軟に対応しましょう。
- 脈拍・呼吸: 脳梗塞の種類によっては、心房細動などの不整脈が原因となることもあります。脈拍の乱れや呼吸パターンの異常は、脳幹部の障害や脳ヘルニアの兆候である可能性があり、特に注意が必要です。
- 看護のポイント: 脈拍の不整がないか、呼吸のリズムや深さに異常がないか、音がないか(ゼーゼー、ゴロゴロ)など、細かく観察しましょう。
- 体温: 脳梗塞発症後の発熱は、予後を悪化させる要因の一つです。炎症反応や感染、中枢性の発熱などが考えられます。
- 看護のポイント: 発熱時は、解熱剤の使用だけでなく、クーリングや感染源の特定・対処(肺炎、尿路感染など)も重要です。
意識レベルのアセスメント(JCS/GCSの評価と記録方法、変化の見方)
意識レベルの評価は、脳梗塞患者さんの神経学的状態の変化を捉える上で最も重要なアセスメント項目です。
- JCS(Japan Coma Scale): 日本で広く用いられる意識レベル評価スケールです。「3桁方式」とも呼ばれ、刺激なし(1桁)→簡単な呼びかけ(2桁)→痛み刺激(3桁)で評価します。
- 看護のポイント: 患者さんの反応を具体的に記載しましょう(例:「呼びかけに開眼し、日時が言える」)。
- GCS(Glasgow Coma Scale): 国際的に広く用いられる評価スケールで、開眼反応、言語反応、運動反応の3項目で評価します。JCSよりも細かく評価できます。
- 看護のポイント: 各項目を個別に評価し、点数で記録します。
- 変化の見方: 意識レベルの低下は、脳浮腫の進行や脳内出血、脳ヘルニアなどの重篤な状態を示唆するサインです。わずかな変化も見逃さず、直ちに医師に報告しましょう。
- 「いつもと違う」に気づく力: わずかな開眼の遅れ、呼びかけへの反応の鈍さ、言葉の混濁など、「なんとなくおかしい」と感じる直感も大切にしてください。
神経症状の観察と変化の報告
麻痺、感覚障害、失語など、神経症状は脳梗塞の代表的な症状です。
これらの変化を正確に評価し、記録・報告することが重要です。
- 運動麻痺:
- 観察点: 麻痺の部位(右片麻痺、左片麻痺など)、程度(完全麻痺、不全麻痺)、変化(悪化、改善)を観察します。
- 評価方法: 患者さんに指示に従って手足を動かしてもらう(例:「右手を上げてみてください」)。難しい場合は、重力に抗して動かせるか、重力除去の動きは可能かなどを評価します。
- 動画での評価方法: (ここに、実際に看護師が麻痺の評価を行っている短い動画や、評価ポイントを示したイラストを挿入すると、より分かりやすくなります。)
- 感覚障害: 触覚、痛覚、温冷覚などが鈍くなることがあります。
- 観察点: 患者さんが刺激を感じるか、左右差があるか。
- 失語: 言葉を理解できない(感覚性失語)、言葉を話せない(運動性失語)などがあります。
- 観察点: 適切な言葉が出てくるか、話している内容を理解しているか、指示に従えるか。
- その他の神経症状:
- 顔面神経麻痺: 口角の下垂、片側の閉眼不全。
- 瞳孔所見: 左右差、対光反射の有無と速さ、瞳孔の大きさ。脳圧亢進の重要なサインです。
- 眼球運動: 眼球の偏位、複視の有無。
- 構音障害: ろれつが回らない。
- 嚥下障害: 食事中にむせる、唾液が飲み込めない。
変化の報告: 「〇時〇分、JCS Ⅱ-10からⅢ-100に意識レベルが低下し、右片麻痺が悪化(右上肢の自動運動不能)、瞳孔は左3mm、右5mmで右の対光反射微弱となりました。直ちに医師に報告しました。」のように、時系列と具体的な変化を明確に伝えましょう。
急変時のサインと緊急対応フローチャート
脳梗塞急性期では、突然患者さんの状態が急変することがあります。
いち早く兆候を捉え、冷静かつ迅速に対応することが命を救うことにつながります。
【脳梗塞患者 急変時の緊急対応フローチャート】
1.急変のサインを認識する!
- 意識レベルの急激な低下(呼びかけに反応しない、JCSの悪化)
- 神経症状の急激な悪化(麻痺の増強、新たな麻痺の出現、失語の悪化など)
- 呼吸状態の悪化(呼吸回数の異常、不規則な呼吸、チェーンストークス呼吸など)
- 瞳孔の変化(左右差の出現、散瞳、対光反射の消失・減弱)
- 突然の嘔吐(特に頭痛を伴う場合)
- 痙攣の発作
- バイタルサインの異常(血圧の急激な上昇または低下、徐脈・不整脈など)
2.冷静に、しかし迅速に行動する!
- A(気道): 気道確保(誤嚥防止の体位、口腔内確認、吸引)
- B(呼吸): 呼吸状態の確認、酸素投与(SpO2をモニター)、必要に応じてアンビューバッグや挿管の準備
- C(循環): 血圧・脈拍測定、心電図モニター装着、静脈路確保(ルート確保)
- D(神経学的評価): 意識レベル、瞳孔、神経症状を再度評価
- E(環境整備): 転落防止、ベッド柵上げ、必要物品の準備(吸引器、酸素ボンベ、点滴、緊急カートなど)
3.医師に緊急報告!
- 「〇〇番の患者さん、〇時〇分に意識レベルが急激に低下し、JCSⅢ-100、右片麻痺の悪化を認めます。緊急で診察をお願いします。」のように、具体的な時間、変化、現在の状態を簡潔に、かつ正確に伝えます。
- 報告後も継続的に観察し、医師の指示を待ちます。
4.指示された初期対応を実施!
- 頭部CT/MRIの手配
- 緊急採血
- 薬剤投与(脳圧降下剤、抗痙攣薬など)
- 体位変換(頭部挙上など)
最も大切なこと:
どんなに経験豊富な看護師でも、急変時は緊張するものです。
しかし、「初期の観察と報告が、その後の患者さんの運命を左右する」という意識を常に持ち、訓練を重ねておくことが重要です。
シミュレーション訓練などを活用し、いざという時に体が動くように準備しておきましょう。
合併症の早期発見と予防
脳梗塞急性期には、様々な合併症のリスクがあります。
これらを早期に発見し、予防することが看護師の重要な役割です。
- 脳浮腫・脳ヘルニア: 梗塞巣の周囲に水がたまり(脳浮腫)、脳圧が上昇することで、脳が圧迫され、脳幹部が損傷する(脳ヘルニア)と生命に直結します。
- 看護のポイント: 意識レベルの低下、片麻痺の増悪、瞳孔不同、除皮質・除脳硬直などの異常姿勢に注意。頭部挙上(30度程度)、頸部屈曲を避ける体位調整、過度な刺激の回避などを行います。
- 出血性梗塞・再梗塞: 梗塞巣からの出血や、再び血管が詰まって新たな梗塞ができることがあります。
- 看護のポイント: t-PA投与後の出血兆候(点滴刺入部からの出血、血尿、吐血、タール便など)、神経症状の急激な悪化に注意。
- 肺炎・尿路感染症: 意識障害や嚥下障害による誤嚥、カテーテル留置などが原因で起こりやすいです。
- 看護のポイント: 定期的な口腔ケア、誤嚥に注意した食事介助、体位変換、早期離床、清潔な排泄ケアが重要です。発熱、SpO2低下、痰の増加、尿の混濁などに注意。
- 深部静脈血栓症(DVT)・肺塞栓症(PE): 麻痺や安静臥床によって下肢の血流が滞り、血栓ができやすくなります。これが肺に飛ぶと肺塞栓症となり、命に関わります。
- 看護のポイント: 早期離床、弾性ストッキングや間欠的空気圧迫装置(IPC)の使用、下肢の浮腫・発赤・疼痛の観察、ROM訓練などを行います。
体位変換、安静度と早期離床の重要性
脳梗塞急性期では、安静度が非常に重要ですが、だからといって全く動かないでいると、褥瘡や肺炎、DVTなどの合併症リスクが高まります。
- 体位変換: 定期的な体位変換は、褥瘡予防だけでなく、誤嚥性肺炎予防や肺の換気改善にも繋がります。麻痺側の関節拘縮予防も意識して行いましょう。
- 安静度: 医師の指示された安静度を厳守します。血圧や意識レベルが安定していれば、早期に離床を開始することで、合併症予防やリハビリテーションへの移行がスムーズになります。
- 早期離床: 意識が安定し、バイタルサインが落ち着いていれば、発症早期からベッド上での座位訓練や、車椅子への移乗訓練を開始します。これにより、体力の維持、廃用症候群の予防、精神的な安定に繋がります。
看護のポイント: 患者さんの状態に合わせて、安全に配慮しながら、できるだけ早期からのリハビリテーションを促しましょう。転倒リスクを常に評価し、必要に応じて介助者を増やすなどの対策も怠らないでください。
まとめ
この記事では、CI(脳梗塞)の基本的な病態生理から、急性期の患者さんを看護する上で不可欠な観察ポイント、そして緊急時の対応フローまでを詳しく解説しました。
脳梗塞の看護は、時間との闘いであり、患者さんのわずかな変化も見逃さない観察力、そしていざという時に冷静かつ迅速に対応する判断力と行動力が求められます。特に急性期は、患者さんの予後を大きく左右する重要な時期です。
今回ご紹介した知識やフローが、皆さんが自信を持って脳梗塞患者さんに向き合い、質の高い看護を提供する一助となれば幸いです。焦らず、一歩ずつ、知識と経験を積み重ねていきましょう✨
<参考・引用>
メディカルブレイン
公益社団法人 日本脳卒中協会
近畿大学病院
看護roo
富士脳障害研究所附属病院