
「慢性硬膜下血腫の患者さんを受け持つことになったけど、病態や症状の見方、術後の観察ポイントまでしっかり整理したいな…🤔」
「再発や合併症のリスクも高いって聞くし、どんな生活指導をすればいいのか自信がない…」
そんな疑問やお悩みはありませんか?
この記事では
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慢性硬膜下血腫の病態と原因
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よく見られる症状と見逃しやすいサイン
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主な治療法と流れ(手術・保存的治療)
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看護師が押さえるべき観察ポイントとケア方法
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再発予防や退院後の生活指導のコツ
が分かりますよ♪
慢性硬膜下血腫の看護では「病態理解」「術後・経過観察」「再発予防」の3つをバランスよく押さえることが、安全で質の高いケアにつながります。
この記事では、慢性硬膜下血腫の症状や原因から治療法、看護の実際、再発予防のための生活指導まで、現場でそのまま活用できる形で詳しく解説していきます✨
🧠 慢性硬膜下血腫ってどんな病気?症状・原因をやさしく解説
慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)は「軽い頭部外傷のあと、数週間〜数か月かけて症状が進む」ことが特徴の疾患ですよね。
高齢患者さんでは“加齢かな…”と見過ごされがちだからこそ、病態をきちんと理解して観察に結びつけることが大切です。
ここでは、発症の仕組み・症状の見極め方・高齢者に多い理由を、臨床で使える視点で整理します❤
慢性硬膜下血腫の仕組みと発症メカニズム
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どこに血がたまる?
脳の表面(くも膜側)と硬膜の間=硬膜下腔に血液や滲出液がゆっくり貯留します。
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きっかけ
多くは軽微な頭部外傷で、脳表面の架橋静脈が損傷。
初期は症状が目立たず、受傷自覚が乏しいことも。
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なぜ“慢性化”する?
出血後にできる膜(外膜・内膜)で線溶活性や炎症が持続 → 再出血や滲出が起こり、浸透圧で徐々に血腫拡大。
その結果、脳圧迫(正中偏位)が進み、症状が段階的に出現します。
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時間軸の目安
受傷から2〜12週で発症することが多く、片側性が主ですが両側性のこともあります。 -
リスク因子(看護の着眼点)
高齢・脳萎縮、抗凝固薬/抗血小板薬内服、アルコール多飲、反復する転倒歴など。
内服歴と転倒歴のダブル確認が重要です📝
よくある症状と見逃しやすいサイン
次の表は、病棟で「どこを見るか」が一目で分かるように整理しています。
観察と根拠をセットで押さえると、記録・報告がスムーズになります✨
症状・所見 | 具体例 | 観察のコツ(看護) | 緊急度の目安 |
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頭痛 | 鈍い持続痛、朝方強い | 疼痛スケールで日内変動を記録。 鎮痛効果の有無も追う。 |
進行/難治は医師報告 |
片麻痺・巧緻性低下 | 箸が持ちにくい、ボタン留めに時間 | 左右差・経時変化をMMTや片脚立ちで簡易チェック | 突然の悪化は至急 |
言語障害 | ろれつ不良、失語様 | 呼名・復唱・理解を短時間で評価、基礎値と比較 | 新規出現は至急 |
歩行障害 | ふらつき、すり足 | TUGや歩幅観察。転倒既往と併せて評価 | 立位不安定は危険 |
認知機能変化 | 物忘れ、性格変化 | 家族からの情報を必ず聴取。 日ごとに悪化しないか |
進行性なら至急 |
意識低下 | 傾眠、反応鈍い | GCS/JCSで定時評価。眠前後で差がないか | 急変リスク高い |
瞳孔差/対光反射異常 | 片側散大 | 瞳孔径と反射をダブルチェック | 神経外科へ直結 |
嘔気・嘔吐 | 食思不振、嘔吐 | 脱水・誤嚥予防を並行評価 | 持続/頻回は注意 |
ワンポイント:「日々じわじわ悪化」が慢性硬膜下血腫らしさ。“昨日よりどうか”を口頭でも確認すると見逃しが減ります👀
高齢者や外傷後に多い理由とは?
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脳萎縮で静脈が伸展:高齢になると脳と硬膜の距離が広がり、軽い衝撃でも架橋静脈が切れやすい状態に。
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抗血栓療法の影響:抗凝固薬・抗血小板薬で止血遅延/再出血しやすい。内服変更時期やINR等の情報共有が鍵。
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転倒・打撲の見逃し:受傷の自覚が薄く、家族・施設からの情報が必須。受傷から時間が空いていても疑う視点を持つ。
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アルコール多飲:脳萎縮や外傷リスク増、栄養不良も加わり慢性化しやすい。
看護の寄り添いポイント❤
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「ここ最近の物忘れ・ふらつきはありませんでしたか?」と生活変化から聴き出す。
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内服歴(抗凝固/抗血小板)は処方箋・お薬手帳でダブルチェック。
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受傷歴が曖昧でも、“軽いぶつけも後から影響”と家族に周知し、再受診目安(頭痛増悪・麻痺・言語/意識変化)を明確に伝える。
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🏥 治療法を知ろう!慢性硬膜下血腫の手術とその流れ
慢性硬膜下血腫は、進行すると脳の圧迫が強まり命に関わることもあります。
そのため、症状や画像所見によっては手術が必要になるケースが多いです。
ここでは、代表的な手術である「バー・ホール手術(穿頭洗浄法)」の内容や、手術後の経過観察、また保存的治療が選ばれる場合について整理していきます❤
バー・ホール手術(穿頭洗浄法)の概要
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目的:硬膜下腔に溜まった血腫を取り除き、脳の圧迫を解除すること。
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方法の流れ:
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局所麻酔または全身麻酔下で頭皮を切開。
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直径1〜2cm程度の小さな穴(バー・ホール)を頭蓋骨に開ける。
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硬膜を切開し、生理食塩水で血腫腔を洗浄(穿頭洗浄)。
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ドレーンを留置し、術後1〜2日間持続排液を行う。
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メリット:低侵襲で高齢者にも施行しやすく、回復が早い傾向。
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看護師の関わりポイント:
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手術説明前に患者・家族の不安傾聴
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手術部位のマーキング確認
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ドレーン管理や洗浄液の性状観察の準備
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手術後の入院生活と経過観察
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入院期間:おおよそ1〜2週間(患者の全身状態や再発有無により変動)
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観察ポイント:
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意識レベル(GCS/JCS):術直後から定時評価し、改善傾向か確認
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ドレーン排液:色・量・性状(急な増加や血性変化は要報告)
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バイタルサイン:血圧変動や発熱の有無
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術部創部:出血・腫脹・発赤など感染兆候の有無
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神経症状:麻痺・言語障害・ふらつきの再出現有無
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リハビリ:症状が改善したら離床・歩行練習を開始。転倒予防が重要です。
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看護師の寄り添いポイント❤:
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「今日は昨日より歩きやすそうですね」など改善を共有し、回復意欲を高める
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家族には再発時の症状サインを入院中から伝える
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保存的治療が選ばれる場合とは
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適応:
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血腫量が少ない
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神経症状が軽度または無症状
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高齢・合併症で手術リスクが高い場合
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治療内容:
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安静と経過観察(定期的CTで血腫縮小を確認)
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脱水予防・頭部外傷予防
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抗凝固薬内服の調整(必要に応じて)
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看護のポイント:
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症状変化を毎日評価し、悪化時は即報告
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自宅療養指導では転倒予防・水分摂取・再受診目安を明確に伝える
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寄り添い視点❤:
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手術を選択しなかった不安を聞き取り、「慎重に見守ることも治療のひとつ」と安心感を与える
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🔄 再発や合併症を防ぐための工夫と生活指導
慢性硬膜下血腫は、手術で改善しても再発率が5〜20%程度とされており、高齢者や基礎疾患がある方ではさらに注意が必要です。
再発や合併症を予防するには、入院中だけでなく退院後の生活指導がとても大切です。
ここでは、再発防止・転倒予防・家族への説明ポイントを、現場でそのまま使える形でまとめます❤
再発のサインと早期発見のポイント
観察項目 | 再発時によく見られる変化 | 看護師の対応 |
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頭痛 | 再び鈍痛が持続・増悪 | 鎮痛効果の有無を確認し、増悪時は医師報告 |
片麻痺 | 再び手足の動きが悪くなる | MMTや握力で左右差を評価 |
言語障害 | ろれつ不良や言葉が出にくい | 呼名・復唱をチェック |
歩行障害 | ふらつき・歩幅減少 | TUG・歩行距離を観察 |
意識レベル低下 | 眠気増加・反応鈍化 | GCS/JCSで定時評価し記録 |
ポイント:退院後も「昨日と比べてどうか」という視点で観察し、異変があればすぐ受診を促す📞
転倒予防と安全な環境づくり
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環境面
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室内の段差解消
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床の滑り止めマット使用
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夜間照明の設置
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行動面
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無理な早歩きや急な動作を避ける
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杖や歩行器の積極使用
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看護師の工夫❤
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退院前に病室〜廊下の歩行訓練を行い、自宅環境に近い状況で確認
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家族にも介助方法を実演してもらい、危険ポイントを共有
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家族への説明で大切にしたいこと
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再発時の症状例(頭痛・麻痺・言語障害・意識変化)を具体的に説明
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再受診の目安を明文化(症状が出たら24時間以内に受診)
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「手術したから安心」ではなく、「術後も注意が必要」なことを強調
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情報を口頭だけでなく、紙やチェックリストにまとめて渡す
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家族からの質問や不安をしっかり聴き取り、納得感を持ってもらう
📚 看護学生・新人ナース向け!現場で役立つ実践アドバイス
慢性硬膜下血腫の患者さんを受け持つとき、病態理解だけでなく「どこを見て、どう記録し、どう共有するか」がとても大切です。
特に学生さんや新人ナースは、経験不足から観察が抜けやすいので、現場で役立つ具体的な方法をお伝えします❤
実習での観察チェックリスト例
観察項目 | 見るタイミング | ポイント |
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意識レベル | 定時・声かけ時 | GCS/JCSで基準値と比較、日ごとの変化も記録 |
バイタルサイン | 定時・症状出現時 | 血圧・脈拍変動は脳圧や出血再開のサインになることも |
神経症状 | 定時・離床前後 | 片麻痺、言語障害、歩行のふらつき有無 |
ドレーン排液 | 排液交換時 | 色・量・性状、急変化は至急報告 |
創部状態 | 毎シフト | 出血・発赤・腫脹など感染兆候の有無 |
ワンポイント❤:「定時の数値」だけでなく変化の方向性に注目することが重要です。
記録の書き方と情報共有の工夫
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数字とエピソードを両方残す
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例:「GCS 14(E4V4M6)→昨日より言葉が少なく会話に時間がかかる」
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報告は簡潔+変化の経緯
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例:「午前中は歩行安定、午後より右足の引きずりあり」
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申し送りは観察根拠も添える
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「血圧上昇と頭痛訴えが同時にあり、再出血を疑い医師報告」など、判断理由も明示
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先輩ナースに学ぶ患者さんへの声かけ
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「昨日より歩く姿勢が安定してきましたね」→改善点を共有してモチベーションUP
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「今日は少し頭が重い感じですか?」→主観的変化を引き出しやすい質問
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「何かいつもと違う感じはありませんか?」→小さな異変を患者本人から聞き出す
寄り添いポイント❤:
新人や学生は「聞く→記録→共有」の一連を意識することが重要。
小さな変化を拾えると、患者さんや家族からの信頼がぐっと高まります。
📝 まとめ
慢性硬膜下血腫は、高齢者や軽微な頭部外傷後に多く見られ、「昨日より少し変」という小さな変化を見逃さないことが看護の大切な役割です。
今回の記事では、病態の理解から治療法、術後の観察、再発予防、そして学生・新人ナースへの実践アドバイスまでをお伝えしました❤
慢性硬膜下血腫の理解と看護の重要ポイント
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発症メカニズムと症状の特徴を知っておく
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高齢者や抗血栓薬内服中の患者は特に注意
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術後はドレーン管理・意識レベル・神経症状を重点的に観察
患者と家族の安心を守るための視点
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再発サインを明確にし、家族にも分かりやすく説明
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退院後も転倒予防や生活習慣の工夫が必要
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情報は口頭+紙媒体で共有して理解を深める
今日から実践できるケアの工夫
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「変化の方向性」を意識した観察
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記録には数値+エピソードを残す
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患者の小さな改善を共有して回復意欲を高める
まとめメッセージ❤
慢性硬膜下血腫の看護は、病態の知識と観察力、そして患者・家族への寄り添いが鍵です。
あなたの気づきが、再発防止や早期発見につながります。
小さなサインを見逃さず、患者さんが安心して日常に戻れるようサポートしていきましょう🌸
<参考・引用>
日本経済新聞
さやま脳神経クリニック
桑名眼科脳神経クリニック
MEDLEY
恩賜財団済生会