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心不全看護の第一歩!症状・病態生理から検査値まで読み解くアセスメント実践ガイド

「心不全の患者さん、どこからアセスメントしたらいいんだろう?🤔」
「病態生理と症状がどうつながるのか、いまいちピンとこないな」
「検査値を見ても、看護にどう活かせばいいのか分からない…」
そんな風に感じたことはありませんか?

心不全患者さんの状態は複雑で、アセスメントに戸惑うこともありますよね💦

この記事では、

  • 心不全とは何か?その基本的な定義と分類
  • 心不全の主な原因や、症状を悪化させる誘因
  • 体の中で心不全がどう進むのか、そのメカニズム
  • 心不全の主な症状と、看護師が見るべき身体所見のポイント
  • 呼吸困難、むくみ、倦怠感などの症状のアセスメント方法
  • 心音や呼吸音、頸静脈の観察など、身体所見のアセスメントのコツ
  • BNPや胸部X線、心電図、心エコーなどの検査データを看護に活かす読み方
  • 患者さんの生活習慣、ADL、家族背景といった社会・心理的側面にどうアプローチするか
  • アセスメントシートを使た効率的な情報収集と活用方法

が分かりますよ♪

心不全患者さんの適切なアセスメントには、病態生理や症状の基礎知識だけでなく、身体所見や検査データ、さらには患者さんの生活背景まで多角的に情報を統合して読み解く視点が不可欠です。
それらの情報を基にアセスメントを行うことが、個々の患者さんに寄り添った看護を実践する「第一歩」となるんです。

この記事では、心不全患者さんのアセスメントに必要な「基礎知識」と「実践的な視点」を、看護師さん目線で分かりやすく解説していきます。
あなたの心不全の看護への「分かった!」をサポートしますね!✨

 

慢性心不全(CHF)の基礎知識と病態生理

心不全の患者さんと向き合う時、「この症状、心臓から来てるのかな?」「なぜこんなに息が苦しいんだろう?」って疑問に思うことはありませんか?🤔
心不全の患者さんをしっかりサポートするためには、まず病気の基本的なことや、体の中で何が起こっているのかを理解することがとっても大切ですよね!

ここでは、心不全の「なぜ?」を紐解いていきましょう!

 

心不全とは何か?定義と分類

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなる状態のことです。
一言で「心不全」と言っても、その原因や現れ方は様々なんですよ。

定義

心不全は、心臓のポンプ機能が低下することで、全身に十分な酸素や栄養を供給できず、様々な症状を引き起こす状態を指します。
これによって、体がむくんだり、息切れがしたりといった症状が現れるんです。

分類

心不全はいくつかの視点から分類されます。

  • 経過による分類:
    • 急性心不全: 急速に発症または悪化する心不全です。
    • 慢性心不全: 症状が安定と増悪を繰り返しながら、長期的に進行する心不全です。私たちが日常的に関わることが多いのはこのタイプですね。
  • 障害部位による分類:

    • 左心不全: 左心室の機能低下により、肺に血液がうっ滞し、呼吸器症状(息切れ、咳など)が主に出現します。
    • 右心不全: 右心室の機能低下により、全身の静脈に血液がうっ滞し、体幹のむくみや肝臓の腫れなどが主に出現します。
    • 両心不全: 左心と右心の両方の機能が低下している状態です。
  • 駆出率による分類:
    • HFrEF(駆出率低下型心不全): 心臓の収縮力が低下しているタイプです。
    • HFpEF(駆出率保持型心不全): 心臓の拡張機能が低下しているタイプで、収縮力は比較的保たれています。最近注目されている分類ですね。

 

心不全の主な原因と誘因

心不全は、様々な病気が原因となって引き起こされます。
元々心臓に負担がかかる病気があると、心不全になりやすくなるんです。

 

主な原因

心不全の主な原因となるのは、以下のような病気です。

  • 高血圧症: 高い血圧が続くことで心臓に常に負担がかかり、心臓の筋肉が厚くなったり、伸びにくくなったりします。
  • 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など): 心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで、心臓の筋肉がダメージを受け、ポンプ機能が低下します。
  • 弁膜症: 心臓の弁がうまく機能しない(開きにくい、閉じにくいなど)ことで、血液の流れが悪くなり、心臓に負担がかかります。
  • 心筋症: 心臓の筋肉自体に異常がある病気です。
  • 不整脈: 脈が速すぎたり遅すぎたり、不規則になったりすることで、心臓のポンプ機能が低下します。

 

誘因

普段は落ち着いている心不全の症状が、急に悪化することもありますよね。
それが「増悪因子(誘因)」です。
以下のようなことがきっかけになることが多いです。

  • 感染症: 風邪や肺炎など、感染症にかかると体に負担がかかり、心臓にもストレスがかかります。
  • 塩分・水分摂取過多: ラーメンやポテトチップスなど、塩分を摂りすぎると体内の水分が増え、心臓に大きな負担がかかります。脱水も心不全を悪化させることがあります。
  • 不整脈の出現・悪化: 心房細動などの不整脈が起きたり悪化したりすると、心臓の動きが乱れ、ポンプ機能が低下します。
  • 薬の飲み忘れ・中断: 心不全の治療薬をきちんと飲まないと、心臓への負担が増加し、症状が悪化してしまいます。
  • 過度の身体活動: 体力以上の激しい運動や無理な活動は、心臓に過度な負担をかけます。
  • 貧血: 血液中の酸素を運ぶ赤血球が少ないと、心臓はより多く血液を送り出そうと頑張るため、負担が増えます。

 

心不全の進行メカニズムと代償機構

心臓が悪くなってくると、体はなんとか頑張って機能を保とうとします。
これが「代償機構」です。
でも、この頑張りが長く続くと、かえって心臓に負担をかけてしまうことがあるんです。

進行メカニズム

心臓の機能が低下すると、体は必要な血液量を確保するために、様々な反応を起こします。

  1. 心臓の拡大と肥大: ポンプ機能が弱まると、心臓はより多くの血液を送り出そうとして、部屋が大きくなったり(拡大)、筋肉が厚くなったり(肥大)します。
  2. 神経体液性因子の活性化: 脳からホルモンが出たり、自律神経が活発になったりして、心臓の拍動を速めたり、血管を収縮させたりして、一時的に血圧を上げたりします。

 

代償機構と悪循環

これらの反応は、一時的には全身への血液供給を維持する「代償機構」として働きます。
しかし、この頑張りが長く続くと、心臓は常に過剰な働きを強いられることになり、かえって心臓の機能低下を加速させてしまう悪循環に陥ってしまうんです😭

  • 心臓の拡大・肥大: 初めはポンプ力を補いますが、過度になると心臓の壁が伸び切ったり、硬くなったりして、かえってポンプ機能が低下します。
  • 神経体液性因子の持続的な活性化: 血管が常に収縮した状態になることで心臓はさらに抵抗が強い中で血液を送り出そうと頑張る必要があり、心臓への負担が増し、心筋細胞もダメージを受けてしまいます。

代償機構と悪循環のまとめ

代償機構 主な作用 長期的デメリット
Frank–Starling機構 右室・左室拡張末期容積(前負荷)増大により一時的に収縮力↑、拍出量維持 前負荷過剰で壁応力↑、心筋酸素消費増大
交感神経系活性化 心拍数↑、心筋収縮力↑、末梢血管収縮による血圧維持 心拍数↑による酸素需要増大、長期的β受容体ダウンレギュレーション
RAAS(レニン–アンジオテンシン–アルドステロン系)活性化 アンジオテンシンIIによる動脈・静脈収縮、アルドステロンによるNa⁺・水貯留で循環血液量↑ 体液貯留による容量負荷増大、血圧上昇が心筋リモデリング促進
バソプレシン(ADH)分泌増加 腎遠位尿細管で水再吸収↑、血漿浸透圧維持 原心筋負荷増大によるうっ血悪化
心室リモデリング(肥大・拡張) 心筋肥大・心腔拡張で1回拍出量維持 線維化・硬化進行で拡張能・収縮能低下、さらなる心不全進行
ナトリウム利尿ペプチド(ANP/BNP)分泌 ↑ 血管拡張・利尿促進により循環血液量・前後負荷軽減 心不全進行とともに効果減弱

このように、代償機構が長期的に働くと、心臓は疲弊し、さらに機能が低下するという悪循環に陥ってしまうため、早期に治療介入を行い、この悪循環を断ち切ることが重要になります😨

 

心不全の症状と身体所見(具体例と見分け方)

心不全の症状は、心臓のどの部分が悪くなっているか、どのくらい進行しているかによって様々です。
患者さんの「いつもと違う」に気づけるよう、主な症状と身体所見をしっかり押さえておきましょう!

 

主な症状

心不全の主な症状は、大きく分けてうっ血症状低心拍出量症状の2つがあります。

  • うっ血症状: 血液がスムーズに流れないために、血管の中に血液がたまってしまう症状です。
    • 肺うっ血による症状(左心不全で多い):
      • 呼吸困難: 労作時呼吸困難(少し動くと息が苦しい)、発作性夜間呼吸困難(夜中に突然息が苦しくなる)、起座呼吸(座らないと息が苦しい)などがあります。
      • 咳・痰: 痰に血液が混じることもあります(ピンク色の泡状痰)。
    • 体うっ血による症状(右心不全で多い):
      • むくみ(浮腫): 特に足の甲や脛など、重力のかかる部分に現れやすいです。指で押すとへこんだまま戻らない「圧痕性浮腫」が特徴です。
      • 体重増加: 体内に水分が溜まることで、急に体重が増えることがあります。
      • 腹部膨満感・食欲不振: 肝臓や消化管に血液がうっ滞することで起こります。
      • 夜間頻尿: 夜間に横になると、日中に下肢に溜まっていた水分が全身に再分布し、腎臓への血流が増えて尿量が増えるためです。
  • 低心拍出量症状: 心臓から送り出される血液量が少ないために、全身の臓器に酸素や栄養が不足する症状です。
    • 倦怠感・易疲労感: 少し動くだけで体がだるく、疲れやすいです。
    • 動悸: 心臓が頑張って血液を送ろうとするため、ドキドキと強く感じる状態です。
    • 冷汗・皮膚の冷感: 末梢の血管が収縮して、手足が冷たくなります。
    • 集中力低下・意識障害: 脳への血流が不足すると起こります。
分類 主な症状
前方障害(低灌流) 疲労感・倦怠感(全身倦怠感、易疲労感)
労作時息切れ、安静時呼吸困難(起坐呼吸、発作性夜間呼吸困難)
動悸(頻脈、不整脈の自覚)
食欲不振、めまい・失神(意識障害)
後方障害(うっ血) 下肢浮腫(足関節や下腿に圧痕性浮腫)
体重増加(1週間で2kg以上)
咳嗽・喀痰(特に横になると悪化、ピンク泡沫状痰)
腹部膨満感・腹水、食欲不振・悪心(消化管うっ血)

身体所見(具体例と見分け方)

聴診器や視診・触診で確認できる、心不全の特徴的な身体所見です。

  • 心音:
    • III音(S3): 拡張早期に聴こえる異常な心音で、「ドッドッドッ」というギャロップ音のように聴こえることがあります。心不全の重要なサインの一つです。
    • 心雑音: 弁膜症が原因の場合や、心臓の拡大によって弁が相対的に閉鎖不全を起こしている場合に聴こえます。
  • 呼吸音:
    • 湿性ラ音(クラックル): 肺に水が溜まっている時に聴こえる「パチパチ」「プチプチ」という音。まるで髪の毛を指でこすり合わせたような音です。
    • 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー): 気管支が狭くなることで聴こえる音。心不全でも気管支が浮腫で狭くなり、喘鳴が聴こえることがあります(心臓喘息)。
  • 頸静脈の怒張: 首の静脈が盛り上がって見える状態です。右心不全で全身に血液がうっ滞しているサインです。患者さんを半座位にしてもらい、首の血管が浮き上がっていないか確認しましょう。
  • 肝頸静脈拍動: 首の付け根の静脈を圧迫すると、肝臓が腫れて痛むことがあります。これも右心不全のサインです。
  • 肝腫大: 肝臓が腫れて触れることがあります。右心不全で肝臓に血液がうっ滞している状態です。
  • 下腿浮腫: 足の甲や脛がむくんでいる状態。指で押すとへこみが残るのが特徴です。
  • チアノーゼ: 唇や爪の色が青紫色になる状態です。血液中の酸素が不足しているサインです。

NYHA心機能分類とステージ分類

心不全の患者さんの状態を把握するために、世界中で使われている分類法があります。それがNYHA心機能分類心不全ステージ分類です。
これらを理解すると、患者さんの状態を「見える化」できるようになり、看護計画も立てやすくなりますよ!😊

👀NYHA分類について詳しく見る
心不全看護の羅針盤!NYHA分類とステージ分類で変わる患者ケアの質

NYHA心機能分類

NYHA心機能分類は、心不全患者さんの自覚症状と身体活動制限の程度に基づいて、I度からIV度までの4段階で評価します。
患者さんの「しんどさ」を測る、私たち看護師にとって身近な指標ですよね。

クラス 症状の概要 身体活動制限の具体例
クラスI 心疾患はあるが、身体活動に制限はない。通常の身体活動で疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛は出現しない。 普段通りの生活を送れる。ジョギングや階段昇降なども問題なく行えます。
クラスII 軽度から中等度の身体活動に制限がある。安静時には症状はないが、通常の身体活動で疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛が出現する。 普段の買い物や軽い運動で少し息切れを感じる。長時間の立ち仕事がしんどいと感じることがあります。
クラスIII 著しい身体活動に制限がある。安静時には症状はないが、軽度な身体活動でも疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛が出現する。 入浴や着替えなどの日常生活動作でも息切れや動悸を感じることがある。部屋の中を歩くだけでも辛い時がある。
クラスIV 身体活動を行うと常に症状があり、安静時にも心不全症状が出現する。どんな身体活動でも症状が悪化する。 安静にしていても呼吸が苦しい。寝ているだけでも症状が出ることがあるほどです。

 

心不全ステージ分類

心不全ステージ分類は、心不全の病気の進行度をAからDまでの4つのステージで評価します。
こちらは、症状の有無だけでなく、心臓の器質的な変化やリスク因子も考慮されるのが特徴で、予防から終末期まで長期的な視点を持つ上で重要です。

ステージ 病態の概要 治療・管理の目標
ステージA 心不全のリスク因子(高血圧、糖尿病など)を持つが、器質的心疾患も心不全症状もない状態。 心不全発症のリスク因子をコントロールし、心不全の発症を予防する。
ステージB 器質的心疾患(心筋梗塞の既往など)があるが、心不全症状はまだ出現していない状態。 心不全の症状発現や心機能低下の進行を予防する。
ステージC 心不全の症状がある状態。器質的心疾患があり、現在または過去に心不全症状がある。 症状の緩和、心不全の進行抑制、入院や再入院の予防、QOL(生活の質)の維持・向上。
ステージD 難治性心不全。現在の治療法では改善が難しい重度の心不全で、特別な介入が必要な状態。 症状の緩和、QOLの維持、終末期医療の提供、または心臓移植や補助人工心臓の検討。

NYHA心機能分類とステージ分類は、それぞれ異なる側面から心不全患者さんの状態を捉えることができます。
この二つを合わせて考えることで、より深いアセスメントと個別化された看護へと繋がっていくんですよ!


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慢性心不全(CHF)患者のアセスメント

心不全の患者さんを受け持つとき、一番大切なのは「患者さんの”今”の状態を正確に知ること」ですよね。
そのためには、患者さんの訴えだけでなく、全身をしっかり観察したり、検査データから情報を読み解いたり、患者さんの生活背景まで理解することが必要になります。
まるでパズルのピースを一つずつ集めるように、様々な情報を組み合わせて、患者さんの状態を深く理解していきましょう!🔍✨

 

症状アセスメントのポイント(呼吸困難、浮腫、倦怠感など)

患者さんが「しんどいな」「なんかいつもと違うな」と感じていること、それが症状です。
私たち看護師は、患者さんの言葉の奥にある情報を丁寧に引き出すことが重要になります。

単に「息切れがある」だけでなく、その質、程度、そしてどんな時に起こるのかを詳しく聞いていきましょう。

 

呼吸困難

呼吸困難は心不全の代表的な症状です。患者さんの訴えを具体的に聞き出すことで、その重症度やパターンを把握できます。

  • いつから始まりましたか? 急性増悪なのか、慢性的に続いているのか。
  • どんな時に息苦しくなりますか?
    • 労作時呼吸困難: 「少し動くと息が切れるんです」といった、動いた時に感じる息苦しさです。どの程度の活動で息切れするか(例:階段○段で、平地を○m歩くと)を具体的に聞くことが重要です。
    • 発作性夜間呼吸困難: 「夜中に急に息苦しくなって、目が覚めるんです」という、夜間や横になった時に突然起こる息苦しさです。
    • 起座呼吸: 「横になると息が苦しいから、座っていないと眠れないんです」と訴えるように、体を起こした方が楽になる呼吸困難です。枕の高さや眠る時の姿勢なども確認しましょう。
  • 息苦しさはどのくらい続きますか?
  • 何か楽になる方法はありますか? (例:座る、窓を開ける、休憩するなど)

 

浮腫(むくみ)

 

むくみは心臓から全身へ送られる血液が滞り、体内の水分が皮下組織に溜まることで起こります。

  • いつから気になり始めましたか?
  • 体のどこがむくみますか? (足の甲、脛、顔、お腹など)
  • 時間帯によって変化しますか? (夕方になるとひどくなるなど)
  • 指で押すとへこんだままになりますか? (圧痕性浮腫の確認)
  • 靴がきつくなった、指輪が抜けない、などの具体的な変化はありますか?

 

倦怠感・易疲労感

 

心臓が十分な血液を送り出せないと、全身に酸素や栄養が行き渡らず、体がだるく感じたり、疲れやすくなったりします。

  • どんな時に疲れを感じますか? (朝起きた時、少し動いた後など)
  • 疲れを感じてからどのくらいで回復しますか?
  • 以前と比べて、疲れやすくなったと感じますか? (具体的に何が以前と違うか)

 

身体所見のアセスメント(心音、呼吸音、肝頸静脈拍動など)

 

患者さんの身体から得られる情報、それが身体所見です。視診、触診、聴診を通して、心不全のサインを見つけ出しましょう。私たちは、日々の観察のプロとして、これらのサインを見逃さないようにしたいですね!👀👂✋

 

心音

 

聴診器を使って心音を聴取します。

  • III音(S3): 「ドド・タ・タ」という、ギャロップのようなリズムで聴こえる異常な心音です。心不全で心臓が拡張しすぎている場合に聴かれることがあります。
  • 心雑音: 心臓の弁に異常がある場合や、心臓の拡大によって弁がうまく閉じない(相対的弁閉鎖不全)場合などに聴こえます。雑音の部位や性質(収縮期か拡張期かなど)を確認します。

 

呼吸音

 

肺に水が溜まっている(肺うっ血)と、呼吸音に変化が現れます。

  • 湿性ラ音(クラックル): 「パチパチ」「プチプチ」という、髪の毛をこすり合わせたような音が聴こえます。肺胞に水分が溜まっているサインです。特に、背中側の下の方から聴き始めるのがポイントです。
  • 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー): 心不全で気管支が浮腫で狭くなると、喘息のような「ゼーゼー」という音が聴こえることがあります(心臓喘息)。

 

肝頸静脈拍動

 

右心不全で全身の静脈に血液がうっ滞していると、首の頸静脈が太く怒張して見えたり、拍動が感じられたりします。

  • 患者さんを半座位(約30~45度)にして、首筋の頸静脈の怒張具合を確認します。怒張している場合は、どの高さまで怒張しているかを確認しましょう。

 

その他の身体所見

 

  • 下腿浮腫: 足の甲や脛を指で数秒間押してみて、へこみが残るか(圧痕性浮腫)を確認します。両足の左右差も確認しましょう。
  • チアノーゼ: 唇や指先、爪の色が青紫色になっていないか確認します。酸素不足のサインです。
  • 皮膚の冷感・湿潤: 低心拍出量によって末梢循環が悪くなると、手足が冷たくなったり、冷や汗をかいたりすることがあります。
  • 体重: 毎日の体重測定は、体内の水分貯留を把握する上で非常に重要です。急激な体重増加は、心不全増悪のサインとして特に注意が必要です。

 

検査データ(BNP/NT-proBNP、胸部X線、心電図、心エコーなど)の読み方と看護への活用

患者さんの状態を客観的に示すのが検査データです。
これらのデータをただ見るだけでなく、「なぜこの数値なのか?」「この数値から何がわかるのか?」を考え、看護にどう活かすかを理解することが、アセスメントの幅を広げます。💉📊

 

BNP/NT-proBNP

  • 何がわかる?: 心臓に負担がかかっている度合いを示すホルモンです。数値が高いほど、心不全の重症度が高い可能性や、心不全が悪化している可能性があります。
  • 看護への活用: 数値の変動をチェックし、患者さんの症状変化と合わせて評価します。急な上昇は心不全増悪を示唆するため、医師への報告やアセスメントの強化に繋げます。治療効果の指標にもなりますね。

 

胸部X線

代表所見 意味 観察ポイント
心胸郭比 (CTR) > 0.5 心拡大 過去画像と推移比較
肺門血管陰影増強・上肺血管拡張 血管うっ血 増悪の早期所見
Kerley B線(下肺外側 1–2 cm線状影) 間質性肺水腫 ケアリー線出現で利尿・塩分制限強化
バタフライシャドー 肺胞性肺水腫 緊急対応・陽圧換気検討
  • 何がわかる?: 心臓の大きさ(心胸郭比CTR)や、肺に水が溜まっていないか(肺うっ血、胸水)を確認できます。
  • 看護への活用: 心臓の拡大があれば、ポンプ機能低下を示唆します。肺野の白い影(浸潤影)や肋骨横隔膜角の鈍化(胸水)があれば、呼吸困難感などの症状と結びつけてアセスメントします。治療によって画像が改善しているかも確認しましょう。

 

心電図

  • 何がわかる?: 心臓の電気的な活動を記録し、不整脈の有無や心筋梗塞などの心筋の異常がないかを確認できます。
  • 看護への活用: 不整脈(心房細動、心室性期外収縮など)の有無や種類を確認し、患者さんの動悸や息切れなどの症状との関連をアセスメントします。ST上昇やT波の変化があれば虚血を示唆し、胸痛などの症状と合わせて緊急性を判断します。

 

心エコー(心臓超音波検査)

  • 何がわかる?: 心臓の動き(収縮力、拡張力)、弁の機能、心臓の大きさなどをリアルタイムで詳しく見ることができます。特にEF(駆出率)は、心臓のポンプ機能を示す重要な指標です。
  • 看護への活用: EFが低下している場合は、心臓の収縮力が弱いHFrEFと判断でき、それに合わせたケア(過度な労作制限、水分管理など)を計画します。弁の動きや逆流の有無も確認し、症状との関連をアセスメントしましょう。

 

その他の検査データ

  • 腎機能(BUN、Cr): 心不全では腎臓への血流低下や、利尿薬の影響で腎機能が悪化することがあります。
  • 電解質(Na、K): 利尿薬の使用により、電解質バランスが崩れることがあります。特に低K血症は不整脈の原因となることも。
  • 肝機能(AST、ALTなど): 右心不全で肝臓にうっ血があると、肝機能が悪化することがあります。

これらの検査データは、患者さんの全身状態を客観的に把握し、心不全の重症度や治療の効果、合併症の有無などを評価するために欠かせない情報です。
常に最新のデータをチェックし、患者さんの症状や身体所見と合わせて総合的に判断するようにしましょうね!💡

 

社会・心理的側面のアセスメント(生活習慣、ADL、家族背景、心理状態)

心不全患者さんの看護は、病気そのものだけでなく、患者さんの「人生」全体を看ることが大切です。
生活習慣、ADL、家族背景、そして心理状態といった社会・心理的な側面も、アセスメントには欠かせない視点なんです。
患者さんがどんな生活を送っているのか、どんな気持ちを抱えているのか、じっくり耳を傾けてみましょう👂💖

 

生活習慣

患者さんの毎日の生活習慣が、心不全の悪化や管理に大きく影響します。

  • 食事内容: 塩分摂取量は多いか、水分制限は守れているか、栄養バランスはどうか。好きな食べ物や食習慣についても聞いてみましょう。
  • 喫煙・飲酒歴: 喫煙は心臓に大きな負担をかけます。飲酒量も心不全に影響することがあります。
  • 運動習慣: どのくらいの頻度で、どんな運動をしているか。過度な運動は心臓に負担をかける一方、全く運動しないのも良くありません。
  • 休養・睡眠: 十分な睡眠が取れているか、不眠や途中で目覚めることはないか。

 

ADL(日常生活動作)

心不全の症状によって、日常生活でできることが制限されることがあります。

  • セルフケア(入浴、着替え、整容など): 自分でできることと、介助が必要なことは何か。症状がどの程度影響しているか。
  • 移動: 屋内での移動はどうか、屋外への外出は可能か、歩行補助具は必要か。
  • 家事や社会活動: 以前行っていた家事や趣味、仕事などが継続できているか。

 

家族背景

患者さんのご家族は、ケアの協力者であり、また大きな支えとなる存在です。

  • 家族構成: 誰と暮らしているのか、キーパーソンは誰か。
  • 家族の理解度と協力体制: ご家族は患者さんの病気についてどのくらい理解しているか、ケアにどの程度協力できるか。
  • 介護負担: ご家族が介護で無理をしていないか、身体的・精神的な負担はないか。
  • 経済状況: 医療費や介護費用に関する不安はないか。

 

心理状態

慢性的な疾患である心不全は、患者さんの精神面にも大きな影響を与えます。

  • 病気への理解と受容: 自分の病気についてどのくらい理解し、受け入れているか。
  • 不安・抑うつ: 症状や将来への不安、落ち込みはないか。食欲不振や不眠など、うつ症状のサインにも注意しましょう。
  • 希望や目標: 退院後の生活や、今後やりたいことなど、患者さんの希望を把握しましょう。
  • ストレス対処法: ストレスを感じた時、どのように対処しているか。

これらの社会・心理的側面をアセスメントすることで、患者さんの「生活の質(QOL)」を向上させるための看護計画を立てることができます。
単に症状を抑えるだけでなく、患者さんらしい生活を送るためのサポートも、私たち看護師の大切な役割ですよね!寄り添い、傾聴する姿勢を忘れずにいきましょう😊

 

アセスメントツールの活用例(例:心不全患者向けのアセスメントシート)

アセスメントは、たくさんの情報を効率的に集めて整理する作業です。
そこで役立つのがアセスメントツールやシートです。
これらを活用することで、抜け漏れなく、かつ体系的に情報を集めることができますよ!📄✍️

アセスメントツールのメリット

  • 情報収集の標準化: 誰がアセスメントしても、必要な情報を漏れなく収集できます。
  • 情報の整理: 項目に沿って情報を埋めていくことで、患者さんの状態を体系的に整理できます。
  • 変化の把握: 定期的に同じシートを使うことで、患者さんの状態の変化(改善・悪化)を客観的に把握しやすくなります。
  • 多職種連携の促進: 共通のフォーマットで情報が整理されているため、医師や他のコメディカルとの情報共有がスムーズになります。

 

心不全患者向けのアセスメントシートの活用例

心不全患者向けのアセスメントシートには、以下のような項目が含まれることが多いです。

項目 確認する内容の例
主訴・現病歴 いつから、どんな症状が、どう変化しているか、既往歴、現在の治療内容など
身体所見 バイタルサイン、心音、呼吸音、頸静脈の怒張、浮腫の有無と程度、皮膚の状態、チアノーゼの有無など
症状の評価 呼吸困難の程度(NYHA分類)、動悸、倦怠感、胸痛、体重変化、夜間頻尿など
検査データ BNP/NT-proBNP、腎機能、電解質、胸部X線、心電図、心エコー(EF値など)の数値と前回値からの変化など
投薬状況 現在の内服薬、アドヒアランス(飲み忘れはないか)、副作用の有無
生活習慣 塩分・水分摂取量、喫煙・飲酒歴、運動習慣、睡眠状況、服薬状況など
ADL(日常生活動作) 入浴、着替え、食事、移動などの自立度と、症状がADLに与える影響
社会・心理的側面 家族構成、キーパーソン、家族のサポート状況、経済状況、病気への理解度、不安や抑うつ、趣味、社会的役割など
教育ニーズ 病気について理解していること、これから学びたいこと、セルフケアに関する知識の有無など

アセスメントシートは、あくまで「ツール」です。
シートの項目を埋めること自体が目的ではなく、シートを通して得られた情報を基に、患者さんにとって最適な看護計画を立てることが大切です。
患者さんとのコミュニケーションを深めながら、シートを効果的に活用していきましょうね!

<参考・引用>
国立循環器病研究センター
日本心臓財団
DAIICHI SANKYO ESPHA CO

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