
「患者さんが胸の痛みを訴えている…!」 この一言に、心臓がドキッとする看護師の方は少なくないでしょう。
「この胸痛は様子を見ていいもの?それとも、今すぐ医師を呼ばないと危険なもの?」
その一瞬の判断が生死を分けることもある胸痛は、看護師にとって最も緊張する症状の一つです。
この記事では、特に経験の浅い看護師さんや、胸痛への対応にまだ自信が持てないあなたのために、**「見てわかる」「明日から使える」**をコンセプトに、危険な胸痛を見抜くための具体的な思考プロセスと対応方法を徹底解説します。
この記事を読めば、もう胸痛対応に迷いません。自信を持って的確なアセスメントと初期対応ができるようになります。
【結論】これだけは押さえて!緊急度MAXの胸痛 5つのサイン
時間がない中でも、まずこれだけは確認してください。
以下のサインが1つでも見られたら、生命を脅かす危険な胸痛(レッドフラッグ)の可能性があります。
ためらわずに、すぐに医師へ報告・応援を要請してください。
【危険な胸痛を見抜け!】
- サイン1:突然発症の引き裂かれるような激痛
- 「今まで経験したことのない痛み」「背中が引き裂かれるような痛み」と表現されることが多い。
大動脈解離を強く疑います。
- 「今まで経験したことのない痛み」「背中が引き裂かれるような痛み」と表現されることが多い。
- サイン2:冷や汗・嘔気・顔面蒼白を伴う
- 強い自律神経症状は、心筋梗塞など重篤な心疾患のサインです。
バイタルサインの急変に注意してください。
- 強い自律神経症状は、心筋梗塞など重篤な心疾患のサインです。
- サイン3:呼吸困難・息切れがある
- 心不全の合併や、肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の可能性があります。
SpO2(酸素飽和度)の低下に注意が必要です。
- 心不全の合併や、肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の可能性があります。
- サイン4:肩・顎・背中への放散痛
- 痛みが胸だけでなく、左肩や腕、顎、歯、背中などに広がる(放散する)場合、心筋梗塞の典型的な症状です。
- サイン5:意識レベルの低下・失神
- 脳への血流が著しく低下している状態で、極めて危険な兆候です。
ショック状態に陥る可能性があります。
- 脳への血流が著しく低下している状態で、極めて危険な兆候です。
【胸痛の原因となる疾患の一覧】
胸痛患者遭遇時の思考フローチャート【5ステップ】
危険なサインを念頭に置きつつ、次に示す5つのステップに沿って行動することで、焦らず的確な対応ができます。
Step 1:患者発見と初期対応
患者さんが胸痛を訴えたら、まず駆けつけて安全を確保し、バイタルサインを測定します。
- 行動リスト
- 患者を安静な体位(安楽な座位またはベッドで半座位)にする。
- すぐにバイタルサイン(意識レベル・血圧・脈拍・呼吸数・SpO2・体温)を測定する。
- 応援の看護師を呼ぶ。
【Point】なぜ最初にバイタルサイン?
バイタルサインは、体の状態を客観的に示す最も重要な情報です。
特に血圧低下や頻脈、徐脈、SpO2の低下は、循環動態が破綻しかけているサインであり、緊急度を判断する上で不可欠です。
Step 2:OPQRSTを用いた問診
バイタルサインを測定しつつ、痛みの性状を具体的に聴取します。
このとき役立つのが「OPQRST」というフレームワークです。
- O (Onset):発症様式
- 「いつから、どんな状況で始まりましたか?」(例:安静時、労作時、夜中など)
- P (Palliative/Provocative):寛解・増悪因子
- 「どうすると楽になりますか?」「逆に、どんな動きや体勢で痛みが強まりますか?」
- Q (Quality):痛みの性質
- 「どんな痛みですか?」(例:締め付けられる、圧迫される、焼けるような、引き裂かれるような)
- R (Region/Radiation):部位・放散
- 「胸のどのあたりが痛みますか?」「他に痛みが広がる場所はありますか?」
- S (Severity):痛みの強さ
- 「痛みの強さを0から10で表すと、今はどのくらいですか?(0が無痛、10が過去最悪の痛み)」
- T (Time course):時間経過
- 「痛みはずっと続いていますか?それとも良くなったり悪くなったりしますか?」
❤️🩹うまく言語化できない患者さんには、症状に一番近いものを選択してもらう方法も手です。
Step 3:緊急度判断(レッドフラッグの確認)
Step1(バイタルサイン)とStep2(問診)の情報、そして冒頭で挙げた「緊急度MAXの5つのサイン」を統合し、緊急度を判断します。
Step 4:医師への的確な報告(SBAR)
緊急性が高いと判断したら、SBAR(エスバー)を用いて医師へ簡潔かつ的確に報告します。
【SBAR報告例文】
S (Situation/状況):
「お疲れ様です。〇〇病棟の看護師△△です。A個室の〇〇様(65歳男性)が、10分前から突然の胸痛を訴えています。痛みのスケールは8/10です。」B (Background/背景):
「〇〇様は高血圧と糖尿病の既往があります。2日前に〇〇の手術目的で入院されました。」A (Assessment/評価):
「バイタルサインは血圧88/50、脈拍110回/分、呼吸数28回、SpO2が92%です。冷や汗と顔面蒼白が見られます。問診では『胸が締め付けられるようだ』と話しており、左肩への放散痛もあります。急性心筋梗塞を疑います。」R (Recommendation/提案):
「すぐに診察をお願いします。心電図モニターとルート確保、採血の準備を始めておきます。」
Step 5:指示受け・検査準備
医師の到着を待つ間、または指示を受けながら、迅速に検査・治療の準備を進めます。
- 準備リスト
- 12誘導心電図の装着・記録
- 静脈ルートの確保(太めの留置針で)
- 緊急採血の準備
- 酸素投与の準備
- 除細動器(AED)の場所を確認
落ち着いて対処できるようにするには、イメージトレーニングで流れを普段から把握しておくことが大切ですよ🌟
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【4大緊急疾患】疾患別対応の早見表
胸痛を引き起こす代表的な4つの緊急疾患の特徴をまとめました。
アセスメントの参考にしてください。