
胸腔ドレナージって、観察項目は多いし、急変のリスクもあってなんだか怖い…😥。
「エアリーク」とか「呼吸性変動」とか、言葉は知ってるけど、それが『なぜ起こるのか』『何を意味するのか』って先輩に聞かれると、自信を持って答えられないな…🤔
そうですよね、分かります…!
教科書だけではイメージしにくい部分も多く、私も新人時代は同じように悩んでいました😣
この記事では
- そもそも「なぜ」胸腔ドレナージが必要なのかという根本的な目的
- ドレナージシステムの心臓部、「水封」の原理
- エアリークや呼吸性変動が観察できる「仕組み」
- 自信を持ってアセスメントするためのポイント
が分かりますよ♪
胸腔ドレナージへの漠然とした怖さをなくすには、「なぜこの治療が必要なのか(目的)」と「どういう原理で動いているのか(仕組み)」という2つの根本を、しっかり繋げて理解することが一番の近道なんです!✨
この記事では、胸腔ドレナージの目的と、その心臓部である「陰圧」と「水封」の仕組みについて、たくさんのイラストや図解を使いながら、どこよりも分かりやすく丁寧に解説していきますね!
一緒に不安を解消していきましょう💪
胸腔ドレーン看護を知りたい方はこちらの記事をチェック✅
胸腔ドレーン管理の基本と実践:初心者が押さえるべき5つのポイント
第1章:すべての基本!正常な「胸腔」は”陰圧の真空パック”
胸腔ドレナージを理解するために、いきなり病気や治療の話から入るのではなく、まずは私たちの体が「正常なとき」にどうなっているのか、基本の”キ”から一緒に見ていきましょう!
ここが分かると、後の話が驚くほどスッと頭に入ってきますよ😊
肺と胸腔って、どんな関係?
まず、「肺」と「胸腔(きょうくう)」の位置関係からおさらいしましょう。
ちょっと想像してみてください。 あなたの「肺」が、ピンク色の風船だとします🎈
そして、その風船をぴったりと覆っている、硬い「箱」。これが肋骨などで作られた「胸郭」です。
この風船(肺)と箱(胸郭)の間の、ごくわずかなスキマ。 このスキマこそが「胸腔」なんです。
実際には、このスキマには「胸膜(きょうまく)」という薄い膜が2枚あります。
肺の表面を覆う膜(臓側胸膜)と、胸郭の内側を覆う膜(壁側胸膜)です。
この2枚の膜の間は、潤滑油の役割をするごく少量の液体(胸水)で満たされているだけで、本来はほぼ真空に近い状態でピッタリとくっついているんです。
最重要ポイント!「陰圧」ってなんだろう?
さて、ここからがこの章で一番大事なポイントです!✨
実は、この「胸腔」というスペース、常に『陰圧(いんあつ)』に保たれています。
「陰圧」って言葉、なんだか難しく感じますよね?😅
大丈夫です、簡単に言うと「周りの空気(大気圧)よりも圧力が低い状態」のこと。
私たちがストローでジュースを吸うとき、ストローの中が陰圧になるからジュースが上がってきますよね。
あんなふうに、常に「吸い込もう」とする力が働いているとイメージしてみてください。
じゃあ、「なんで胸腔は陰圧なの?」
それは、肺と胸郭が、まるで綱引きをしているみたいに、お互いを引っ張り合っているからなんです。
- 肺(風船) → ゴムの力で、常に内側へ「しぼもう」とする力が働いています。
- 胸郭(箱) → 逆に、常に外側へ「広がろう」とする力が働いています。
この、内側へ向かう力と外側へ向かう力が、密着した胸腔を介して引っ張り合うことで、間の空間は常に外へ吸い出されるような状態…
つまり「陰圧」になるんです。
そして、この陰圧の力があるおかげで、しぼもうとする肺は常に胸郭側に引っ張られ、ピンと広がった状態を保つことができているんです。
まさに、お肉やお魚が空気に触れないように、袋の中の空気を吸い出してピッタリとさせる「真空パック」のような状態!
だから、この章のタイトルを『陰圧の真空パック』と名付けたんです😊
【この章のまとめ】
正常な体では…
✅ 胸腔は、肺と胸郭が引っ張り合うことで「陰圧」になっている。
✅ この陰圧(真空パック状態)のおかげで、肺は常に広がっていられる。
まずはこの「正常な状態」を、しっかり頭に入れておいてくださいね。
では、もしこの真空パックに穴が開いて空気が入ってしまったり、中に水が溜まってしまったら…一体どうなると思いますか?
次の章では、いよいよドレナージが必要になる「異常事態」について見ていきましょう!
第2章:【目的】なぜドレナージが必要になるの?〜真空パックの破綻〜
第1章では、正常な胸腔が「陰圧の真空パック」状態になっていることを学びましたね!
🧠 この章では、「もし、その大切な真空パックが破れてしまったら…?」という、ドレナージが必要になる本題に入っていきます。
代表的な2つのトラブル事例を見ながら、胸腔ドレナージが一体「何のために」行われる治療なのか、その目的を一緒にハッキリさせていきましょう!✨
Case1:胸腔に「空気」が溜まっちゃう!【気胸】
肺に穴が開くなど何らかの原因で、第1章で学んだ「真空パック(胸腔)」の中に空気が「シューッ!🌬️」と入り込んでしまう状態です。
真空だった空間に空気が入ると、保たれていた陰圧が失われてしまいます。
その結果、綱引きで引っ張られていた風船(肺)は、本来の力でしぼんでしまうんです。
この状態を「気胸(ききょう)」と呼びます。
このときの胸腔ドレナージの目的は、
「失われた陰圧を取り戻すために、胸腔内の空気を抜くこと」です❤
Case2:胸腔に「液体」が溜まっちゃう!【胸水・血胸など】
今度は、真空パックの中に、炎症や出血などで作られた液体(胸水や血液、膿など)が「ジャブジャブ…💧」と溜まってしまうケースです。
液体がどんどん溜まっていくと、そのスペースの分だけ風船(肺)が圧迫されて、息を吸っても十分に膨らむことができなくなってしまいます。
これを「胸水(きょうすい)」や「血胸(けっきょう)」などと呼びます。
このときの胸腔ドレナージの目的は、
「胸腔内の液体を抜いて、肺が広がるスペースを作ること」です❤
この2つのケース、何が起きて肺がしぼんでいるのか、下の表でサッと比較してみましょう!
結論!胸腔ドレナージの「目的」はコレだ!
ここまで見てきた2つのケース、原因は「空気」と「液体」で違いましたが、どちらも肺がうまく機能できなくなっていましたよね。
つまり、胸腔ドレナージの目的は…
『胸腔内にあるジャマ者(空気や液体)を体の外に出して、失われた”陰圧の真空パック状態”を取り戻し、しぼんでしまった肺をもう一度ふくらませてあげること!』
これに尽きます!💪❤
この「肺を助けてあげるんだ!」という目的が分かっていれば、「なぜ排液量を毎日測るんだろう?」「なぜエアリークの観察が大事なんだろう?」という日々のケアの意味が、よりハッキリと見えてきますよね😉
さあ、目的が分かったところで、次の章ではいよいよ「どうやって助けるの?」というドレナージシステムの仕組みについて見ていきましょう!
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第3章:【仕組み】どうやって動いている?ドレナージシステムの解体新書
第2章で、ドレナージの「目的」はバッチリですね!
この章では、いよいよ「どうやってジャマ者を体の外に出すの?」という、ドレナージシステムの「仕組み」について見ていきましょう。
一見すると複雑そうなドレナージバッグ…。
でも大丈夫!実は、3つのシンプルな部屋に分かれているだけなんです🔧
バッグを分解するみたいに、それぞれの部屋の役割を一つずつ探検していきましょう!
すべてはここから!「水封(ウォーターシール)」の魔法✨
3つの部屋を探検する前に、このシステムの核となる、とっても大事な原理についてお話ししますね。
それが「水封(ウォーターシール)」です。
難しく考えなくてOK! コップに入った水にストローを差している状態を思い浮かべてください🥤。
ストローから息を吹けば「ブクブク…」と泡は出せますよね?
でも逆に、ストローから空気を吸おうとしても、水を吸わない限り空気は吸えません。
-
外から空気が入らない:水が逆流を防ぐ「関所」の役割
-
中からは空気が出せる:肺から漏れた空気は泡になって排出
この原理が、ドレナージシステムの根幹です❤
このように、『中(体)からは出せるけど、外からは入れない』という、一方通行の弁の役割を「水」を使って作っているのが「水封」なんです!
このシンプルな原理が、胸腔内に空気が逆流するのを防いでくれているんですね。すごい!👏
ドレナージバッグ、3つの部屋の役割を見てみよう!
さあ、水封の原理がわかったところで、いよいよバッグの中を探検です!
実際のドレナージバッグは、これから紹介する3つの部屋が一つにつながっている構造になっています。
① 排液室 (コレクションチャンバー)
文字通り、胸腔から出てきた液体(排液)を溜めておく場所です。
まさに「コレクション」するお部屋ですね!
私たちはここで、1日にどれくらいの量の排液が出たか、その色やドロドロ具合(性状)はどうかなどを観察します👀
② 水封室 (ウォーターシールチャンバー)
先ほど学んだ「水封」の仕組みが使われている、このシステムの心臓部です!🫀
体内に空気が逆流するのを防ぐ、大切な「関所」の役割をしています。
そしてこの部屋をよーく観察すると、患者さんの肺の状態を知るための重要なサインが2つも読み取れるんですよ。
それが「呼吸性変動」と「エアリーク」です。(これは次のQ&Aの章で詳しく解説しますね!)
③ 吸引圧制御室 (サクションコントロールチャンバー)
胸腔からもっと効率よく排液・排気するために、持続的に吸引をかけるときに使うお部屋です。
病院の壁についている吸引器の圧は強力すぎるので、この部屋で「患者さんにとって安全で適切な吸引圧」に調整する、いわば安全装置の役割をしています🛡️
決められた水位まで滅菌蒸留水を入れることで、設定以上の圧がかからないように守ってくれるんですね。
どうでしょう?それぞれの部屋の役割を、下の表でまとめておさらいしてみましょう!
こうして分解してみると、意外とシンプルじゃないですか?😉
それぞれの部屋が持つ「役割」が分かれば、日々の観察でどこを、なぜ見るべきなのかがクリアになりますよね!
さあ、最後の章では、今日学んだ知識がどう臨床に繋がるのか、よくある疑問に答えるQ&A形式で、さらに理解を深めていきましょう!❤
第4章:知識がつながる!臨床疑問Q&A
お疲れ様です!いよいよ最終章です✨
第1〜3章で学んだ「目的」と「仕組み」の知識を武器に、実際の臨床現場でよく出会う「なんでだろう?」を解決していきましょう。
日々の観察が「なるほど!」に変わる、大切なQ&Aです。
これが分かれば、あなたも胸腔ドレナージマスターに一歩近づきますよ!🎓❤
Q1. 水封室の水面が呼吸で上下する「呼吸性変動」って、なぜ起こるの?🤔
A. それは、患者さんの呼吸による胸腔内圧の変化が、水面に伝わっているからです!
第1章で、胸腔は「陰圧」だと学びましたよね。
実はこの陰圧、呼吸によって常に強くなったり弱くなったりしているんです。
- 息を吸う(吸気):
横隔膜が下がり胸郭が広がるため、胸腔内の陰圧はより強くなります。
その吸い込む力で、水封室の水面は体側に引き寄せられ上昇します↑。 - 息を吐く(呼気):
横隔膜が上がり胸郭が縮むため、胸腔内の陰圧は弱くなります。
その結果、水面は元の位置に下降します↓。
この上下運動の繰り返しが「呼吸性変動」の正体です。
この動きが確認できるということは、「ドレーンチューブが詰まったりねじれたりせず、胸腔とちゃんと繋がっていますよ」という大切な証拠になるんですよ👍
Q2. 水封室が「ブクブク…」となるエアリーク。結局、何を見ているの?🫧
A. エアリークは、胸腔内に漏れ出た空気が、ドレーンから排出されている直接的なサインです!
第2章で学んだ「気胸」を思い出してください。
肺に穴が開くと、そこから空気が胸腔に漏れ出ていましたよね。
その漏れ出た空気が、ドレーンチューブを通って、第3章で学んだ「水封室(空気の関所)」にたどり着き、水の中を「ブクブク…」と泡になって通過していく。これが「エアリーク」です。
つまり、エアリークがあるということは、「まだ肺から空気が漏れ続けていますよ」ということを意味します。
逆に、このブクブクがなくなれば「空気漏れが止まったかも?治ってきたサインだ!」とアセスメントできる、とっても重要な観察項目なんです。
(⚠️ブクブクがない場合ドレーンの閉塞などの異常も考えられるため、慎重な観察が必要です。)
:
状態 | エアリークの特徴 | 意味 |
---|---|---|
挿入直後は持続→徐々に断続的 | 肺の穴が修復中 | |
急に増加・持続 | 気胸悪化・ドレーン接続不良 | |
泡が持続+呼吸困難 | 緊張性気胸のリスク |
- 吸気時のみ→正常な呼吸性変動
- 持続的→肺瘻や回路トラブル
- 咳嗽時のみ→軽度の空気漏れ
- 安静時も持続→重度の漏れ
- 透明な泡→空気漏れ
- 血性泡→出血を伴う損傷
- 術後3日目でも持続→瘻孔形成の可能性
現象 | 対応 |
---|---|
急なエアリーク増加 | ①ドレーン接続部の確認 ②胸部X線の実施を提案 |
持続する泡+SpO₂低下 | 緊張性気胸を疑い即時医師へ報告 |
泡が突然消失 | ドレーン閉塞を疑いミルキング実施 |
エアリークは「肺の治癒過程」と「ドレーンシステムの正常作動」の両方を反映します❤
例えば、術後経過とともに泡が減れば「肺の修復が進んでいる」と判断でき、逆に増加すれば「早期に医療介入が必要」と気付けるのです!
Q3. ドレーンバッグを、必ず患者さんより低い位置に置くのはなぜ?👇
A. 答えはシンプル!排液や水封室の水が、患者さんの胸腔に逆流するのを防ぐためです!
これは物理の「重力」の原理ですね。
水は高いところから低いところへ流れます。
ドレーンバッグを患者さんの胸(胸腔)より低い位置に保つことで、排液がスムーズに流れ落ちるようにしているんです。
もし、バッグの位置が胸より高くなってしまうと…
せっかく排出した液体や、細菌が繁殖している可能性のある水封室の水が、体内に逆流してしまう危険があります。
これは重篤な感染症に繋がりかねません。とっても怖いですよね…!😱
なので、患者さんの体位変換や車椅子への移乗、歩行の際には、バッグの位置が常に胸より下にあるかを意識することが、安全管理の基本中の基本になるんです。
さあ、今日の知識をまとめた表がこちらです!明日からの観察でぜひ役立ててくださいね。
【まとめ】”目的”と”仕組み”が分かれば、アセスメントは怖くない
ここまで読み進めてくださったあなたは、もう胸腔ドレナージの基本をしっかり理解できていますよ。
最後に、今日学んだことの最重要ポイントを振り返って、あなたの知識を「いつでも引き出せる武器」に変えていきましょう。
この記事を読む前の「なんだか怖いな…」という気持ちが、今「なるほど、そういうことか!」という自信に変わっていたら、とても嬉しいです😊。
胸腔ドレナージ理解の「3つの魔法のキーワード」
もし、明日からまたドレナージのことで分からなくなったら、この3つのキーワードだけ思い出してください。
-
キーワード1:『胸腔は”陰圧の真空パック”』 💖
これが私たちの体の正常な状態!このおかげで肺は常に広がっていられるんでしたね。 -
キーワード2:『目的は”陰圧の回復”』 💪
溜まった空気や液体(ジャマ者)を外に出し、この真空パック状態を取り戻すことが治療のゴールでした。 -
キーワード3:『仕組みは”水封の原理”』 💧
「中からは出せるけど、外からは入れない」という一方通行の弁が、安全なドレナージの心臓部でした。
この3つのキーワードさえ押さえておけば、あなたはもう胸腔ドレナージの基本をマスターしたも同然です!🎉
明日からのあなたへ贈るメッセージ
この記事を通して根本原理を理解したことで、あなたはもう、ただマニュアルに沿ってケアを行うだけではありません。
なぜエアリークを見るのか?なぜ呼吸性変動を確認するのか?
――その一つひとつのケアに、「こういう理由があるんだ」と根拠を持って患者さんを観察し、小さな変化に気づける看護師への、大きな一歩を踏み出しました。
その知識とアセスメント能力は、何よりも患者さんの安全を守り、そして不安な日々を過ごす患者さんの安心を守る、あなたの大きな力になります。
自信を持って、日々のケアに臨んでくださいね。
<参考・引用>
エキスパートナース
ナース専科
胸腔ドレーンの管理と気胸について
看護roo
コキュトレ
プチナース
龍角散