
基本準備🌟
聴診前の大切な準備
聴診を始める前には、患者さんへの心のこもったお言葉がとても大切です。。
準備項目 | 詳細内容 | 配慮ポイント |
---|---|---|
説明と同意 | 聴力検査の目的と方法を説明 | 患者さんの不安を遠慮する声かけ |
切り替えピースの温め | 手で温めてから使う | 冷たさによる不快感を防ぐ |
環境整備 | カーテンを閉め、プライバシーを確保 | 恥ずかしい心への配慮 |
聴診器の装着 | 両手で耳管部を持って装着 | 機器の破損防止 |
💡看護師さんへのアドバイス:ピースピースが冷たいと患者さんがびっくりしてしまいました。
必ず手のひらで温めてから使って、「せていただきますね」と優しく声をかけましょう。
聴診器の正しい使い方 🎵
聴診器の構造と機能
聴診器には膜面(ダイヤフラム面)とベル面の2つの面があり、それぞれ異なる音を聴くのに適しています。
面の種類 | 適用する音域 | 主な用途 | 使用方法 |
---|---|---|---|
膜面(ダイヤフラム面) | 高音域 | 通常呼吸音、I・II音、拡張期逆流性雑音 | 皮膚に強く密着させる |
ベル面 | 低音域 | III・IV音、拡張期ランブル、低調な雑音 | ソフトに押しつける |
聴診器の装着方法
聴診器を装着する際は、以下の手順を守りましょう:
-
両手で耳管部を持つ– 片手での装着は破損の原因となります
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「ハ」の字になるように装着します– 耳の形に合わせた角度で装着します
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正しいな長さの確認– 看護師用は恥骨付近まで、医師用はへそ付近まで
呼吸音の聴診手順 🫁
基本的な聴診の流れ
呼吸音の聴診は、患者さんの呼吸状態を正確に把握するための重要な技術です。
手順 | 詳細内容 | 注意事項 |
---|---|---|
体位 | 座位または端座位 | 取れない場合は仰臥位または側臥位 |
聴診順序 | 上から下へ、左右対称に | 頭側から4段階の高さで実施 |
呼吸指示 | 「大きく吸って、吐いて」 | 一部一呼吸で聴取 |
聴取部位診査 | 肋間にピースを置いて | 骨の上は伝わりにくい |
正常な呼吸音の種類と特徴
呼吸音の種類 | 聴取場所 | 音の特徴 | 吸気・呼気の比 |
---|---|---|---|
気管支呼吸音 | 気管・頸部気管 | 高調・粗大、休止期間あり | 呼気≧吸気 |
気管支肺細胞呼吸音 | 胸骨第2肋間 | 中調、休止期不明 | 吸気>呼気 |
肺細胞呼吸音 | 肺野(下肺野) | 低調・柔らかさ、休止期なし | 吸気:呼気=1:2 |
💖患者さんへの優しい声かけ例:
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「お疲れさまです。今から胸の音を聞かせていただきますね」
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「大きな息を吸って…はい、ゆっくり吐いてください」
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「とても上手ですね。あと少しお願いします」
異常呼吸音(副雑音)の確認
副雑音の種類 | 音の性質 | 主な原因疾患 | 聴取のポイント |
---|---|---|---|
水泡音(パチパチという粗い音) | 粗断続音 | 肺炎、肺水腫、心不全 | 吸気時にゴボゴボ音 |
捻髪音(細かいパチパチ音) | 細かい断続音 | 間質性肺炎 | 呼気時にチリチリ音 |
笛音(ゼーゼー) | 高調連続音 | 気管支喘息 | 呼気時にヒューヒュー音 |
鼾音(rhonchus) | 低調連続音 | 気管支の狭幅・貯留 | いびき様の音 |
心音の聴診手順 💓
心音聴診の基本部位
心音の聴診は、4つの主要な現場で行います。
聴取領域 | 解剖学的位置 | 主な聴取音 | 体位のポイント |
---|---|---|---|
僧帽弁領域 | 左第5肋間鎖骨中線(心尖部) | S1、IV音 | 反対臥位で拡張期ランブル戦略 |
三尖弁領域 | 左第4~5肋間胸骨縁 | S1、限界期雑音 | – |
肺動脈弁領域 | 左第2肋間胸骨縁 | S2分割、拡張期雑音 | – |
大動脈弁領域 | 右第2肋間胸骨縁 | S2、限界期雑音 | 座位前屈で大動脈逆流雑音 |
心音の種類と特徴
心音 | 発生機序 | 聴取場所 | 正常・異常 |
---|---|---|---|
イ音(S1) | 房室弁閉鎖音 | 心尖部で最強 | 正常な心音 |
II音(S2) | 大動脈弁・肺動脈弁閉鎖音 | 心基部で最強 | 正常な心音 |
Ⅲ音(S3) | 心室拡張初期音 | 心尖部 | 若年者では生理的 |
IV音(S4) | 心房限界音 | 心尖部 | 通常は異常です |
聴診時の重要な配慮事項 🤗
患者さんとのコミュニケーション
聴力検査中は、患者さんとの良好なコミュニケーションを大切にすることが大切です。
配慮項目 | 具体的な方法 | 効果 |
---|---|---|
声かけ | 患者さんの名前を呼ぶ | 信頼関係の構築 |
説明 | 手順をわかりやすく説明 | 不安の軽減 |
共感 | 患者さんの気持ちに寄り添う | 安心感の提供 |
プライバシー | カーテンで遮蔽、露出を大事に | 恥ずかしい心への配慮 |
💝難聴の患者さんへの特別な配慮:
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耳元に近づき、低い声でゆっくり話す
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一語一語区切りながら説明する
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必要に応じて筆談やジェスチャーを活用する
聴診記録のポイント
聴診所見は以下の視点から詳細に記録しましょう:
記録項目 | 詳細内容 | 重要性 |
---|---|---|
音の強さ | 正常・減弱・強 | 状態の把握 |
音の高さ | 高調・低調・中調 | 疾患の鑑別 |
持続時間 | 短い・長い・連続性 | 重症度の評価 |
時相 | 吸気時・呼気時・連続性 | 原因の特定 |
放散 | 他の現場への伝播 | 変変部位の推定 |
聴診器のメンテナンス🧼
日常的な清掃・消毒
感染予防のため、使用後は必ず拭き取り・消毒を行います。
拭き取り箇所 | 薬剤を使用する | 方法 | 注意点 |
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ピースピース | 70%イソプロピルアルコール | ワイプで清拭 | 液体に浸さない |
イヤーチップ | アルコール綿または石鹸水 | 取り外して拭き取る | 完全に乾燥させる |
チューブ | アルコールワイプ | やさしく拭き取る | 強く擦らない |
全体 | 中性石鹸水 | ワイプで清拭 | 滅菌処理は行わない |
保管時の注意事項
注意事項 | 詳細内容 | 理由 |
---|---|---|
温度管理 | めちゃくちゃな高温・低温を嫌う | チューブの劣化防止 |
アメリカ日光 | 日光を避けて保管 | チューブの硬化防止 |
重量管理 | 重いものを乗せない | 変形防止 |
折り曲げ | きつく折り曲げない | 破損防止 |
聴診は看護師として必須の技術ですが、限定技術的な面だけでなく、患者さんとの心のつながりを感じられる貴重な時間でもあります。 正確な技術習得とともに、患者さんの気持ちに寄り添う温かい看護を心がけましょう。
<参考・引用>
医學事始
医療法人社団 鳳優会
アルフレッサメディカルサービス株式会社