
他業種に比べ、給料が高いと言われる看護師ですが、貯金状況は、看護師に限らず年代や手取りによって変化していくものです。
一人暮らしや実家暮らし、はたまた世帯を持っていたり、子育てをしていたりと、貯金できるかどうかも含め人によって生活状況が異なります。
その中でも、将来や目的のために貯金をしたいと考える方も多いはずです。
・自分の貯金額は平均と比べてどうなのだろう
・どのくらいの貯金をしておくのが安心?
・どうしたらもっと貯金ができるようになるのか
こんな風に不安や疑問を抱く方も少なくないですよね。
ただ、周囲の人に気軽に聞くことができないデリケートな話題でもあるのも事実なのでなかなか実情を知るのが難しくもあります。
今回この記事では、
・年代別の貯金額の平均
・具体的な金額感を知る生活シミュレーション
・先取り貯金のやり方や注意点
などを解説します。
自分のため、家族のため、将来のため貯金をすることはとても大切なので、しっかり読んで、対策していきましょう。
何度も振り返って確認できるように、ブックマークをしていつでも見返せるようにしてくださいね!
看護師の平均貯金額は300万円超えって本当?
しかし、なかなか貯金ができていないと感じている方や十分な貯金額を貯金できているのだろうかと不安を感じている方もいるようです。
看護師の貯蓄額に関する調査を行ったところ、看護師の平均貯蓄額は、預貯金、資産運用額、年金積立金の合計で302万円1,000円でした。(パーソルキャリア株式会社)ただ、こちらはあくまでも平均。
貯蓄額が50万円未満と回答した看護師の割合は、全体の約30%を占めていて、金額別としては最多の回答数となりました。
年代別の平均貯金額
経験年数が増えると給料も増えていくので、年代別にしたときは以下のような平均額になります。(看護師専門の転職支援サービス「DODAナース」看護師の貯蓄は、どれくらい?)
年代 | 平均貯蓄額 |
20代 | 206万7,000円 |
30代 | 245万2,000円 |
40代 | 434万8,000円 |
50代 | 483万3,000円 |
こうした調査結果から、40代を超えるとグッと貯金額は増えてることが分かります。
40代は管理職になる看護師が増える年代であることが影響していると考えられます。
同時に、結婚や子育てといったライフステージの変化も多くなるタイミングでもあります。
担当業務別
年代でも違いがでますが、担当する業務も貯金額に影響を与えます。
以下が平均貯蓄額が高い担当業務TOP5となっています。(看護師専門の転職支援サービス「DODAナース」看護師の貯蓄は、どれくらい?)
担当業務 | 平均貯蓄額 |
手術室 | 608万7,000円 |
看護教員・教育担当 | 600万円 |
訪問看護・訪問入浴 | 415万円 |
救命救急 | 406万9,000円 |
施設内(老人施設など) | 390万7,000円 |
やはり、命の危機に瀕する患者さんが多い手術や救命救急が上位に来ているのは納得ですよね。
一方、教員や教育担当の時世代を育てるポディションも多く貯金ができる結果となっています。
ライフイベントには貯金が必要!
結婚、出産だけでなく、転職や異動、それに伴う引っ越しなどもすべてライフイベントと捉えられると思います。
もちろん、退職後のいわゆる老後も一つもライフイベントになるのではないでしょうか。
それぞれのライフイベントごとにどのくらいの貯金があると過ごしやすいのか、滞りなく進めることができるのか確認してみましょう。
転職に向けて必要な貯金額はどのくらい?引っ越し・生活費をシミュレーション
仕事を変えることで一時、貯金に頼ることになっても、転職して収入アップを図ることで、その後の貯金額を大幅に増やすことも可能になります。
2~3人の家族なら約50万~70万円程度と言われています。
引っ越し費用には以下のようなものが含まれます。
・前家賃
・敷金、礼金(かからない物件もある)
・仲介手数料(家賃の0.5~1か月分+税が平均)
・段ボールなど荷造り資材の購入費用
・荷物の運送費用(引っ越し業者により異なる)
・鍵交換費用(約20,000円)
・火災保険料(15,000~20,000円)
このように引っ越しには多大な費用が掛かります。
そこで、
・引っ越し先でも使える家具などはそのまま使用する
・敷金礼金のかからない物件を探す
・荷物の搬送を自分で行う
などなるべく貯金に響かないよう節約できるところは工夫するのも大切です。
生活費は、引っ越し初月の場合、一人暮らしで~約15万円を見込んでおきたいところです。
光熱費、水道代をはじめとする料金や交通・通信費、被服費、その他の消費支出なども生活費と捉えておきましょう。
目安の金額は以下です。
・光熱費・水道費:約1万円~2万円
・被服費:約5千円~1万円
・交通・通信費:約1万円~2万円
その他の消費支出:約3万円~4万円
結婚に向けて
結婚にかかる費用には
・結納や婚約
・挙式、披露宴
・新婚旅行
・新生活の初期費用
などが挙げられます。
費用の内訳は
・結納式・両家の顔合わせ:約29万円
・婚約・結婚指輪(2人分):約61万円
・挙式・披露宴:約360万円
・新婚旅行(お土産代含む):約77万円
・新生活にかかる費用:約72万円
(ゼクシィ 結婚トレンド調査2020)
(ゼクシィ新生活準備調査2016)
これだけ見ると貯金をいくらしていても不安がよぎりますが、親族や挙式・披露宴の招待客からのご祝儀で、かかる費用の3分の2程度はカバーできるのが一般的と言われているので、記載額を全額負担するわけではありません。
結婚費用のための夫婦の貯蓄額の平均は317.2万円と(ゼクシィ結婚トレンド調査2023)では発表されています。
もちろん、こちらも工夫次第で費用は抑えることが可能です。
・式の時期を考える
・内容や桜蘭を見直す
・ブライダルローンなどの利用を検討する
など現実的に実施するために工夫して超金額を増やすのも一つの手です。
老後資金の貯金は1,300万円が目安?
看護師と言えど、老後は訪れますし、退職した後は金銭にゆとりをもって暮らしたいですよね。
公的年金以外で老後に求められる金額は、約1,300万円ほどといわれています。
これはあくまでも生活していくための金額目安であって、趣味や旅行を楽しむことを考えると、貯金をしておくに越したことはありません。
趣味なども楽しむ生活を理想とする場合には、生活費以外のお金も重要になるので、自分にとっての貯金額はいくらくらいになるか考えておきましょう。
看護師の老後資金としては、貯金のほかに退職金や年金などが充てられます。
退職金は、勤続年数や職場によって異なり
勤続5年:50万円~100万円
勤続10年:250万円~300万円
勤続20年:450万円~600万円
勤続30年~40年:1,000万円以上
が相場となっています。
また、老後の生活費は、総務省統計局(令和4年度)のデータによると、65歳以降の老後に必要な生活費は、独身者で約16万円、夫婦2人で約28万円です。
さらに、ゆとりある老後を送るために必要と考える生活費は月額約38万円です。(住友生命)
他にも、健康寿命をすぎると、医療費や介護費用などの保険医療の支出を中心に、生活費の負担がさらに重くなるといわれているので、医療費のことも考えておかないといけません。
疑問解消!効率よく貯金するには?
貯金を効率よく行うには
・家計の収支を把握
・無駄な支出を見直す
・貯金額の目標を立てる
・先取り貯蓄をする
など具体的な行動を起こせるよう整えることがポイントになります。
家計の見直し
貯金を増やすために家計の見直しでまず注目したいのは、固定費・収入です。
【固定費】
家賃(住居費)や光熱費、保険料、携帯代、サブスクリプションといった毎月固定でかかる費用のことを固定費と呼びます。
毎月定額で引き落とされるため、削減できると大きな節約効果が期待できる項目です。
ガス会社などを金額比較して安い会社の乗り換えたり、保険も適切な金額とプランかを確認して無駄のないプランかどうかを確認するなど、個々にかかってい現状の金額を把握し、見直すことが大切です。
必要以上に削らないよう、外せない条件などは事前にまとめておきましょう。
【収入】
収入を増やすことも外せない項目です。
給料をすぐに上げるのは難しいので、ポイントカードやキャッシュレス決済を利用するなど、賢く支払いを行うことを意識しましょう。
クレジットカード払いの場合、クレジットカードのポイントも加算されることもあるのでお得に支払いができますよ。
口座を分ける
貯蓄を成功には口座を分けることも有効です。
口座を分けることは、貯金のしやすさだけでなく、家計を管理しやすくなったりするメリットも。
貯蓄専用の口座を作り、給与口座から毎月の貯蓄額を移す場所を作りましょう。
こうすることで貯金を習慣化できますし、貯金額の把握もしやすくなります。
貯金を続けるモチベーションにつながることもあります。
給与が支払われる口座から毎月自動的に貯金用の口座に送金されるよう設定すれば、毎月お金を移動させる手間も減らすことができます。
また、預金が1,000万円以上になった場合は、複数の口座に預金を分けることで、金融機関の破たんリスクを分散させることも大切です。
貯金目標を立てる
あらかじめ目的と目標を考えましょう。
結婚資金を貯める、引っ越し資金を貯めるなど具体的にして、その上で期間や貯金額を設定してみましょう。
設定した後でも、生活状況が変わり目標を達成するのが難しそうな場合には無理をせず、その都度目標の見直しを行うことがおすすめです。
貯金目標の立て方(収入に対しての貯金割合)
一般的に収入の20~30%程度が毎月の貯金額の理想と言われています。
このパーセンテージは、結婚や出産、マイホームの購入、子どもの進学といったお金のかかる様々なライフイベントに備えられるだけでなく、老後資金を貯めることを想定した場合の目安となるパーセンテージとなっています。
給与に対しての貯金額は、高ければ高いほど貯まるペースも早くなるので一見よく見えますが、それを継続していけなければ本末転倒です。
貯金のために健康を疎かにしたり、過度な節約などを行うなどは避けられる金額や割合を設定するようにしましょう。
具体的には
月収30万円:毎月6~9万円
のペースくらいで貯金するのがよいでしょう。
先取り貯金を取り入れよう
そもそも先取り貯金をご存じでしょうか。
先取り貯金=給料が入った時点で一定の金額を貯蓄に回す貯金方法
のことを指し、無駄遣いを防ぐことで毎月確実に貯蓄を増やすことができる貯金方法となっています。
先取り貯金のメリット
先取り貯金のやり方には以下のような方法があります。
・給与が振り込まれる口座から貯蓄用の口座へ自動振替設定
・勤務先が給与から貯蓄額分を天引きしてくれる社内貯金制度などを利用する
・財形貯蓄制度や自動積立定期預金を利用する
先取り貯金を行うメリットには
・毎月一定額を貯金できる
・無意識の浪費を防ぐことができる
など、貯金ができた月とできなかった月といったムラが生まれにくく口座を分けていることによって、無駄遣いがしにくい状況に貯金が置かれていることが大きなメリットになるでしょう。
よくある失敗
通常の貯金でも同じですが
・貯金額の設定を高くしすぎる
・貯金を優先しすぎて生活が苦しくなる
ことが懸念されます。
こうした失敗を防ぐためには、生活に合う金額設定を行うことが大切です。
ライフステージが変わったり、生活状況が変わるタイミングは設定金額を見直すタイミングでもあるので、都度状況に合わせた貯金を心掛けてください。
成功させるコツ
先取り貯金を成功させるコツとして
・家計の「見える化」を行い見直す
・貯金を自動化させ忘れないようにする
・金額を高く設定しすぎない
・明確な「目的」と「目標」を設定する
・定期的な貯金額の見直し
を意識しましょう。
会社の制度や福利厚生を確認して、確定拠出年金やiDeCoの利用を検討してもいいかもしれませんね。
無理せず行っていきましょう。
貯金をするときの注意点
ここまで貯金の方法や金額感の決めた方をご紹介してきましたが、以下ではまとめとして貯金をする際の注意点をおさらいしていきます。
「目的」と「金額」を明確にする
なんのために貯金するのか、そのためにはいくらをどのくらいの期間で貯金するのかを明確にします。
ライフステージの変化に備える、老後の生活を楽にしたいなど目的は人それぞれです。
目の前に迫った目的のために、短期間で設定する場合と、積立のように長期的に貯金していくのでは、給与とのパーセンテージを変えることもあります。
あくまでも目的に合わせた目標設定を行いましょう。
生活スタイルに合う方法で
管理するのが苦手なのに口座をごちゃごちゃにしてしまったり、仕事が忙しく毎月手動での貯金が難しいといったそれぞれの生活スタイルがあると思います。
家族がいる、これから家庭を持つ、転職を検討している、転職が決まったなども生活スタイルの1つと言えるのではないでしょうか。
・貯金を自動化する
・口座を分ける
といった貯金手段を自身の生活と照らし合わせて決めてみると、わずらわしさが軽減されることもあります。
無理のない節約を取り入れる
貯金のために無理をしない節約は効果的です。
・お弁当を作る
・一駅歩く
・無駄な電源コンセントは抜いておく
普段の生活に馴染むような節約として上記は定番です。
使わなくても良いお金は使わないようにするという意識で生活してみると無駄が省け、貯金に回す金額に余裕が出ることもあります。
まとめ
貯金は意識して行わなければ、勝手に増えるものではありません。
その証拠に、世間では高収入と言われる看護師でも、貯金額が50万円未満の人が少なくないのも事実です。
モチベーションを維持するには、旅行や結婚資金、将来の備え、転職時の備えなど、貯金をする理由から目標金額を決めることも大切です。
・生活に合う金額設定
・目的と目標を明確にする
・ライフスタイルに合う貯金方法を選定
これらを参考にして貯金を行ってみてくださいね。
生活と照らし合わせて、目的と目標を立て、計画的に行っていきましょう!