
育児や介護などの理由で深夜帯に勤務できない場合に、一定の条件下において夜勤業務が免除される制度のことを「夜勤免除」と呼んでいます。
育児介護休業法によって定められているので、条件に該当する従業員から夜勤免除の請求があった場合には、事業主は深夜にあたる22時から5時までの労働をさせてはなりません。
特に、子育てを行う方にとっては夜勤が免除されるだけでなく、時間外労働の免除、いわゆる残業の免除も請求もチェックしておくといいでしょう。
今回この記事では、
・失敗しない夜勤免除の方法や基本条件
・夜勤のない転職先
などを解説します。
体や生活に大きな負担となる夜勤を条件下で免除できるのであれば、体や心を大切にしつつ今の職場で勤務を続けることができます。
何度も振り返って確認できるように、ブックマークをしていつでも見返せるようにしておきましょう!
そもそも夜勤とは?
看護師の夜勤の働き方は、病院や施設のルールによってさまざまですが、以下のような働き方が挙げられます。
夜勤の勤務形態の一例は以下です。
・2交代制:16~17時頃から翌朝の9時頃までの勤務
・3交代制:準夜勤は16~17時頃から1時頃までで夜勤と日勤のつなぎの時間帯を担い、深夜勤は0~1時頃から9時頃までの勤務
・夜勤専従:夜勤と呼ばれる時間帯だけ勤務する特殊な働き方で、入院している患者さんのいる病院や介護施設などで働くことが多い
時間帯を見ても、拘束時間を見てもハードワークなのは間違いないですよね。
ただ、病院側も夜勤の負担を軽減するため、シフト制で働くスタッフの夜勤の上限回数や勤務間隔、休憩時間などの規制が設ける工夫をしています。
例えば夜勤の規則として
「深夜業を含む夜勤の回数・時間数(上限)を3交代制勤務で月8回以内とする」
「勤務間隔11時間以上かつ勤務拘束時間13時間以内」などを設毛たりしています。
また、休憩時間も最低1時間を取るよう指示したり、拘束時間によっては2~3時間を推奨していたり、勤務時間の長さをカバーする工夫もしているようです。
とはいえ、家庭の事情や自身の体調などの理由で、どうしても夜勤ができない方も少なくないはずです。
夜勤免除される条件とは?
夜勤は時間も体力も必要になる勤務パターンです。
ましてやライフステージや体調の変化がある場合には請け負うのが難しくなることも想定され、免除してもらいたい状況になったりします。
ただ、一概に子育てや家族の介護をしているからと、誰にでも夜勤免除の条件が当てはまるわけではありません。
下記のような条件のもと免除の申請対象かを確認する必要があります。
・小学校就学前の子どもを療育している
・要介護状態にある家族を介護する必要がある
・妊娠中である
は申請対象となる家庭環境やご自身の状況です。
ただ、難しいのは上記に当てはまっている場合でも
「勤続年数1年未満」
「深夜に保育・介護が可能な同居家族がいる」
「そのほか請求できない合理的な理由がある」
といった場合、夜勤免除の対象外になってしまうこともあるので注意しましょう。
病院ごとの独自の制度もチェックしよう!
基本的なルールとして、夜勤が免除になる子供の年齢は「小学生入学前まで」となっていますが、病院によっては、免除までは難しくとも他の看護師より回数を減らす、シフトを調整するなどの対応をしてくれることもあるので
「免除にならない子供の年齢だけど、まだ夜勤を通常通りできる状況ではない」
とお悩みの方は一度相談してみるのも一つの手です。
保育・介護が可能な同居家族の定義
夜勤に出ている22時~5時の間、代わりに子供のめんどうや介護をしてくれる家族や同居人がいる場合には、夜勤免除の対象外になると記載しています。
では、この同居家族の定義とはなんなのでしょう。
・年齢は16歳以上
・深夜に就労していない
この2点が同居家族の対象者となります。
要するに、妻や夫、高校生以上のお子さんがいる方、両親と同居している方が当てはまりやすくなります。
ですが
「負傷、疾病等により子の保育が困難な状態でないこと」
も同居家族の条件になるので、申請の際に年齢や深夜労働がないというだけで判断して申請をしないのはもったいないです。
同居家族も保育やめんどうをみることができない場合にも、上司や総務などしかるべき場所に相談しましょう。
夜勤免除手続きで気をつけたいこと
夜勤免除を希望する場合には、ご自身での申請が必須です。
残念ながら、条件に当てはまっているからと自動的に適用されるわけではないので注意してください。
上司や人事に相談
まずは、相談をすることから始めましょう。
夜勤免除を希望する場合には、上司や人事総務などの窓口に相談してみまましょう。
相談と言っても、申請を希望する前提の話になるはず。
あまり申請実績がない病院だと、上司もどんなフローを踏んで免除の申請をするかを詳しくは知らないこともあることも想定しておきたいところです。
なので、用意できる書類は用意しておいたり、記入しておいたりとなるべくその後の流れがスムーズに進むようにしておくと安心です。
相談するときには以下に気をつけましょう。
・夜勤免除の開始日と終了日を明確にしておく
・免除希望日の1ヶ月前までには請求できるタイミングで相談する
・提出が必要な書類があれば、事前に用意して記入しておく
・職場によって申請に対する流れが異なることが多いので、分かる範囲で流れを確認しておく
相談のタイミングに関しても、人事評価のタイミングなど腰を据えて話せるとよりいいですね。
夜勤免除に当たって気をつけたいポイント
あくまでも自己都合で免除の申請を行っているので、ただ申請して通れば安心というわけでもありません。
夜勤分の手当が減ることや周囲への気遣いなど申請に当たって気にしておきたいことも確認しておきましょう。
給与シミュレーションをしておく
夜勤が免除された際の給与は考えておいたほうが無難です。
日勤のみの看護師の平均給料は、夜勤手当のある看護師に比べて年間約50~80万円ほど差がついてしまうこともあります。
これまでと変わらない生活ができるのかや補填する術などを検討するために一度夜勤手当を換算しない給与で生活をシミュレーションしておきましょう。
ちなみに日本看護協会が発表している「2023年病院看護実態調査」によると
三交代準夜勤の場合:4,234円/回
三交代深夜勤の場合:5,199円/回
二交替夜勤の勤務の場合:11,368円/回
が夜勤一回当たりの平均支給額となっています。
二交代制の病院で勤務している場合には、月に換算すると大きな金額になるので、慎重に計算することが大切です。
人間関係の調整
あなたが夜勤を免除される=誰かが代わりに働いてくれている
ということをしっかり受け止め、理解や協力を得られるよう気を配ることが大切です。
夜勤が免除されている間の周囲への対応例
・保育園の送り迎えの時間や子供の体調や持病など事前に情報共有できること周りのスタッフと共有しておく
⇒突然の予定変更や体調不良の際も慌てず対応できる環境を整えられる
・夜勤に対応してくれている看護師への配慮
⇒代わりに入ってもらっていると感謝の気持ちを忘れず、日勤での業務で手伝えることを積極的に探したり、業務に対して真摯に懸命に取り組むことで誠意を見せる
小さなことかもしれませんが、周りの協力があって夜勤を免除してもらっていることに変わりありません。
周囲の仕事に不備がないように環境を整えることが快く免除を受け入れてもらえる秘訣になるかもしれません。
免除期間終了後のキャリアプランを考える
夜勤免除が終了した後にどんなふうに働くかを考えるのもいいでしょう。
子どもの成長に合わせて働き方が変わるように、期間終了後の働き方がこれまで通りが本当に良いのかと思うのは自然なことです。
元の仕事に戻りこれまでの分まで働くのも一つですし、やはり夜勤のある環境では厳しいと他の仕事を探すこともあるでしょう。
夜勤のない免除が期待できる職場
では、まずどんな職場なら日勤のみで夜勤の心配がないのかを見てみましょう。
・病院の外来/クリニックや診療所
⇒受付時間が決まっていて、休診日もきちんと設けられている。
【仕事内容】
診療の補助
⇒脈拍や血圧の測定、問診、バイタルサインの測定)
⇒採血、注射、点滴などの医療処置
⇒心電図の測定、レントゲンの現像など
⇒検査の説明、治療の補助
患者さんのケア
⇒症状や状況を把握し、必要な医療処置を施す
⇒患者さんの健康管理や健康相談を行う
⇒患者さんの家族ともコミュニケーションをとる
事務作業
⇒カルテ入力(診療情報の記録や報告)
⇒薬品・備品の管理、発注
⇒診察室の清掃
⇒受付・案内・電話応対
看護師の基本となる仕事を日勤のみで行うイメージです。
病院によっては夜勤がなくても、給料が高いこともあるので要チェックです。
・美容クリニック
⇒突発的な患者はほとんどない予約制なので残業も少ない。施術の指名や商品販売などのインセンティブが発生することが多いので、営業的な要素が苦手ではなければ働きやすい。
【仕事内容】
美容施術
⇒レーザー装置や美顔器、脱毛器などの機器の操作
⇒ピーリングなどの薬剤塗布
⇒美容注射や美容点滴の投与
術後のアフターケア
⇒医療機器・器具の準備や片付け、消毒・滅菌
⇒備品・薬剤の管理
⇒服薬指導
専売品の販売
患者さんが抱える美容に関する悩みに寄り添い、希望に沿ったメニューの提案や施術を行うことで複数回の来院につなげたり、商品を販売する役割を担います。
・訪問看護ステーション
⇒日中に患者さんの元を訪ねて看護を行う※オンコールで夜勤待機をする可能性もある。
【仕事内容】
健康状態の管理
⇒バイタルチェック、自宅での生活状況の評価など
医療処置やケア
⇒点滴の管理、たんの吸引、褥瘡のケアなど
リハビリ
⇒寝返りや起き上がり、座位や立位などの訓練など
療養上のお世話
⇒食事や排泄、清潔な部屋の維持など
利用者や家族のメンタルサポート
⇒相談やアドバイスを行うなど
認知症や精神疾患のケア
ターミナルケア
⇒療養環境やサービスを整え緩和ケアに努めるなど)
・保育園
⇒園が空いている時間の勤務で看護業もそこまで多くない、休みも明確で残業も少なめ。
【仕事内容】
健康チェックや検温
⇒アレルギーのある園児への対応や内服が必要な園児の服薬管理・指導
ケガ・病気の応急処置
⇒保護者に連絡したり、受診の付き添い
検診対応
⇒身体測定、内科・歯科検診など
行事での応急救護
⇒衛生管理や、室温への配慮
園児が快適に過ごしているかを気にしながら、行事などにも参加するポディションです。
子供好きなら働きやすいのではないでしょうか。
・デイサービス
⇒9~18時などの提示が組まれることも多く、仕事内容もバイタルチェックが基本で医療行為は行わない。
【仕事内容】
身の回りの世話
⇒食事介助、入浴介助、排せつ介助から服薬介助まで幅広く
レクリエーションの企画・実施
⇒利用者さんが楽しめるアクティビティなど
健康チェック(バイタルチェック)
⇒利用者さんの家族への伝達
利用者さんの見守り
⇒車への移動介助や乗車サポート
訪問看護とやや類似している内容です。
自宅に行くか、施設で対応するかの違いが大きいでしょう。
・企業の産業保健室
⇒会社ごとの提示に合わせた勤務時間が基本で日勤のみ。健康診断やメンタルヘルスに関わる業務が基本で企業雇用となることも多い。
【仕事内容】
・健康診断や保健指導
・メンタルヘルスのサポート(長時間労働者との面談など)
・安全衛生委員会への出席
・休職者の相談対応
・病気やケガの応急処置
・産業医との連携
「仕事における健康問題の予防」「労働者の健康増進」「職場環境の改善」の3つが産業看護師が所属する目的といえます。
・行政機関(保健所/市役所)
⇒地域住民の健康管理や予防看護がメイン業務です。
【仕事内容】
母子保健活動(乳幼児健診、母親教室など)
健康診断、予防接種の実施
質病相談を含む健康相談
各種研修の実施
在宅療養支援
災害、薬物対策
病気や事故の予防に重点を置くところが、病気の治療をサポートする看護師とは異なる点でしょう。
また、地域全体の健康を考えたり、住民グループの活動を支援したりと、地域の方々が主体的に支えあう豊かな地域づくりに一役買う仕事で、個人だけでなく地域全体に目を向けた支援が可能です。
地方自治体が運営しているため、地方公務員として勤務することになり、公務員は、夜勤はなく残業も少なめなので、安定した条件で働くことができます。
エージェントを利用した転職で夜勤免除を手に入れる
いざ、転職を考えたときには夜勤のないクリニックや施設を選ぶのが無難でしょう。
ですが、自分だけで探すのは時間も労力も掛かります。
ここは転職エージェントに頼るのも賢い選択といえるでしょう。
エージェントごとの特徴
看護roo!:直接応募が可能!比較的好条件の求人を多数記載、紹介している
ナースではたらこ:キャリアアドバイザーの逆指名ができるので相性の良いアドバイザーに転職相談ができたり求人の紹介が受けられる
マイナビ看護師:模擬面接を行ってくれる。病院以外の職場で働きたいと考える方も使いやすい
レバウェル看護:日本最大規模の転職サイト。LINEでの相談ができるので手軽さを求める方に。
スーパーナース:専任のキャリアコンサルタントがついてくれる。全国の求人がエリア問わず豊富なので、キャリアプランを実現しやすい傾向
このように自分に合うエージェントを利用することも夜勤免除への近道かもしれませんね。
まとめ
夜勤免除=悪いことではありませんし、キャリアの終わりでもありません。
周囲の協力なくしては実現できないものですが、誰にでも与えられた権利です。
また、自分だけでなく周りの看護師も今は大丈夫でもいつか免除のタイミングが来るかもしれません。
新たな働き方のスタートして捉え、免除期間終了後のことや新たなステップと前向きに捉えてみることも大切です。
しごと・レトリバーのLINE相談は:
- 24時間365日受付
- 匿名可能
- 登録3分で求人情報閲覧可能
▼今すぐアクション
👉 LINE登録はこちらから
QRコード読み取り: